地元主導型SCに数多く携わった経験から感じたことは、
商業集積の再生のためには
①立地を変える
②商売を変える
③商売人を変える
これらのいずれか1つ以上を実施しないといけないということです。
たとえば、商店街が再開発でビルになって駐車場ができるというのは①になります。
商店が郊外に移転してSC化するのも①です。
また、既存SCが大規模化して駐車場が増えるというのも①になります。
立地が変われば、それ以外の要素が同じでも商店にとっての環境は大きく変化します。
集積が大きくなったり、形が変わったり、道路ができたり、駐車場が出来たりといったことです。
いままではこれを指して「まちづくり」「都市開発」と呼んでいたように思います。
②は、これまで生活型の商売だったのが観光型に変身するなどの例です。
事例としては少ないですが、成功したら面白いです。
③は、テナント入れ替わり、息子さんに代替わりや第三者賃貸などで商売人が変わる場合になります。
商売人が変わることで同じ商売であっても質が変化します。
このような条件を満たさずに、
①いまの場所のまま ②いまの商売のまま ③いまの商売人のまま
の場合ですと、いまの商売が落っこちないように維持することは出来ても、一度だめになってしまった状態を再生するまでには至らないのが現実といえます。
①の同じ場所で立地を変えて再生させようというのが従来からの再開発の発想ですが、いまや難易度が上がってしまっています。建築コストも高騰し、市街地再開発はますます困難になります。
②の商売を変えての再生で有名なのが滋賀県の「長浜黒壁」です。生活型商店街を観光型に変身させることで成功しました。事例は少ないですがこの方法論は成功したら効果的です。
③の商売人を変えた事例では、この15年くらいで全国各地に「小さな再生事例」が生まれています。
新潟の沼垂テラス、松山の三津浜、富山の岩瀬など、ユニークな街づくりが増えてきています。
こういった先例にならって、古民家再生旅館や古い街並みを生かした観光ストリート、美食を売りにした街づくりや分散型ホテルなどに取り組む事例が増えてきました。
なんであれ、人を集めるのに必要なのは「集客核」です。
かつては大型店やスーパーだった核が、いまは宿やお風呂やスイーツやレストランやカフェだったりします。
宣伝もWEB・SNSが主体で、感度の高い若い人を集めて成功している例が多いですね。
こういう街を訪問したら、未来への希望を感じられて本当にワクワク楽しくなりますね。
今の時代の「人を集める力のあるもの」はなんだろうか?というのがポイントになります。
だめになってしまった商業集積もレトロテイストと安い物件費を活かして活性化してゆきたいものです。