SCや駅ビルに多数展開しているチェーン店というのは、商品力とビジネスモデルの完成度が高い会社が中心になります。成功するビジネスパッケージを作り上げたからこそ多店舗展開が可能になったわけです。
一方で、ローカルの専門店やメーカーの直営店など、店舗経験の浅い店が出店している場合もあります。
そういう店が思うように売り上げが上がらない場合に、SC 側は何を提案すればよいでしょうか。
やはり「何を売るか」ではないかと思います。
商品戦略の根幹は「何で集客するか」「何で収益を上げるか」「どのような世界観を形成するか」となります。
「集客商品=話題性・人気・割安・市場規模大・客層広い・リピート性高い・数売れる商品」
「収益商品=(集客力はすこし弱いが)高粗利で高収益が得られる商品」
「品揃え =(あまり売れないが)お店の世界観を形成するために必要な商品」
という役割になります。
集客のために安く売る商品と、収益のためにしっかり粗利をとる商品を設定する。
これをマージンミックスともいいます。
基本はこの2極をしっかりと確立することが店舗経営の基本ですが、加えて現代では世界観を構築して「どんなコンセプトの店なのか」をお客様に印象強く覚えていただくことが大切になってきています。
古典的流通業とは、仕入れ値に対して掛け率一定
近代的流通業とは、マージンミックスによる集客・収益商品の確立
現代のチェーン店に求められるのは、集客・収益を確立した上での「世界観」の確立
このようになります。
成功しているチェーン店は、これがビシっとできています。
無印良品・ロフト・カルディコーヒーファームなど成功しているチェーン店は独自の世界観をしっかりと確立しています。内装什器のデザインだけではなく品揃えで世界観を形成していることが大事です。
一方で、いまひとつ売上が上がらない迷走気味の店というのは、上記の商品戦略の根幹にブレが感じられることが多いです。
それも集客商品のパワーダウンが一番ダメージ大きいです。
集客商品が目立たない、数が売れていないと集客は弱くなります。なのでまずはスター商品を目立たせて数が売れるようにして、来店客数を上げる必要があります。
チェーン店でも、かつての集客商品が弱くなってしまったが次の柱がないとか、収益商品が衰退したが次の収益リーダーが生まれていないとかいったこともあります。
デベロッパーとしては、チェーン店の商品構成まで口出しできる余地はあまりないでしょう。
でも「これをもっと売りませんか」という提案は可能だと思います。
売れる店とは、「誰に何をどう売るか」がしっかりしています。
商品戦略の柱を決めて、さらに「誰に売るか」「POP」「接客」「店頭演出」「売場演出」「館内・外部・SNS広告」などを決めて取り組むことが大切になります。
宣伝も大事ですが、やはり売上は商品あってこそ。
出店者さんとの協議にこういう視点も含めてお取組みいただけましたらと思います。