ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
前回は、リニューアルのポイントは既存顧客からの再来店がいかに
重要かをお伝えさせていただきました。
今回は前回の内容に引き続き、既存顧客の
再来店のポイントについてお伝えさせていただきます。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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ショッピングセンター経営のヒント100:
『既存顧客の再来店はポイントカードの効果的活用にあり』
最近、お付き合い先にポイントカードの特典見直しを検討して
いただいています。
現場では一律還元(100円で1ポイント)が基本ですが、
ポイントカードは優良顧客の顧客囲い込みツールという本来機能に
立ち返っていただくことが大切です。
特に、リニューアルを控えている場合、下記のステップに従って
「よく利用するお客様により多くの特典を与え、そうでない
お客様には積極的に還元しない」という基本原則からスタートします。
STEP1:優良顧客の復活をしよう
2:8の法則にあるように、流通小売の現場では、
上位20%のお客様で、お買上金額の70~80%を
占めていることが多いのです。昨年と今年のお買上上位ランキングを
見比べ、ランキングからはずれた上顧客への個別アプローチが必要です。
(年間100万円を使ってくれる上顧客が一人離反することは、
年間1万円利用するお客様の100人分に相当するからです)
STEP2:生涯顧客への育成をしよう
次に、年間買上金額(累計ポイント)に応じて特典を+@に
していくことを検討します。(買えば買うほど得する仕組みを導入)
例えば、50万円のお買上達成で5千円分のボーナスポイント
(5千円分の商品券でも可)、更に100万円の達成で1万円分の
ボーナスポイント(1万円分の商品券でも可)をもらえるのが理想です。
また、生涯顧客づくりを目標に5年~10年の累計ポイントで
海外旅行などの特典を与えることにも挑戦したいものです。
また、リニューアルを契機にポイントシステムを見直すようであれば、
マイレージ方式の導入を検討すべきでしょう。年(月)実績に応じて、
翌年(月)のポイントにプレミアムがつく方式に切り替えるのです。
(例えば、シルバーで1.2倍、ブロンズで1.5倍、ゴールドで2.0倍など)
STEP3:休眠顧客の復活をしよう
例えば、1年以上来店のない休眠顧客に対して来店促進のDMを
送付します。(基本的には400ポイント以上持っている再来店の
可能性の高いお客様が対象)これは、「リニューアルでの
ポイントシステムの変更に伴い」などの大儀をつけて実施すると、
リニューアルの事前告知にもなってより効果的です。
STEP4:新規顧客の獲得をしよう
これら休眠顧客の復活から漏れ、削除された会員数は、自然増に
任せるのではなく新規入会促進キャンペーンなどで早期に
埋めていくことが必要です。入会促進キャンペーンは人の
出入りが多い3.4月にかけて実施するのが最も効果的であり、
その際に獲得目標(離反・削除会員数×2倍)を
各テナント専門店さんに申告してもらうようにしましょう。
また、このような入会促進キャンペーンでは各テナント専門店での
取り組みに差がないようにすることが大切です。それには、
店長会を通じてモデルとなる店長さんや販売スタッフさんに
ロールプレイングしてもらうなどの機会をつくりましょう。
ポイントカードを導入している店舗は非常に多いのですが、
ポイントカードの本来機能である優良顧客の囲い込みを実現している
店舗は実に少ないのが実際です。特に地元主導型SCにおいて、
ポイントカードは最大の武器になりますので、ぜひ今回のステップに
挑戦していただきたいものです。
皆様から成果の声をいただけることを楽しみにしています。
月: 2007年2月
SC経営のヒント99:SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研の山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は「SCリニュアルに向けて」の第7弾として
「スケジュールと体制」についてお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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ショッピングセンター経営のヒント99:
『SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制』
リニューアルのスケジュールについては、オーナーサイドに
経験のある場合とない場合では勝手が違ってくると思います。
経験の乏しい場合は長い期間をとることが多いのですが、
おおむね着手から1年半~2年以内にはリニューアルオープンする
ことをめどとすべきでしょう。
新築の場合は許認可手続きや工期といった外的要因が一定の目安となって
スケジュールが決まりますが、リニューアルはむしろテナント調整などの
交渉ごとがボトルネックになりやすいといえます。そのため、
「いつまでに話をつけよう」というオーナー側の意思決定が
スケジュール策定の基準となります。
オープンの日取りに関しては、入居する業種の特性に応じて決めることが
よいでしょう。菓子店が多いSCでバレンタインデー中に工事を
しているというようなことがないように考えるべきです。
昨今は定期借家での契約も増えてきましたので、たとえば
5~6年といった契約期間をリニューアルのめどとしてゆくことが
可能となります。
体制づくりとして重要なことは、プロデューサーを軸とした業者さんの
動き方の体制をしっかりと定めることにあります。特に、
プロデューサーが外部の人間の場合、オーナー(依頼者)にとって
どのようなポジションに立つのかということが重要です。
テナントの配置調整、新規テナントの誘致、設計者との仕様調整、
内装やゼネコンとの工事区分や工期の仕切り、C工事指定業者の決定、
などなど、さまざまな利権にからむ意思決定をすることになります。
そのため、プロデューサーに権威付けがなされていないと、
各方面から横槍が入って立ち往生することになります。
一番いけないのは、各業者がすべてオーナーの下にぶら下がり、
プロデューサーの意見ではなくオーナーの意見でだけ動くように
なることです。
ちょっと極端な例ですが、各業者さんの利害対立が鮮明になると、
オーナーを味方にしてプロデューサーを悪者にするようなことをする
業者も出てくることがあります。そういう場合に、オーナーが
毅然とした対応をとることができるかどうかが、最後まで
一丸となった体制をつくれるかどうかのポイントになります。
プロデューサーにとっては、関連する各業者さんが要求するだけの
仕事をこなせる実力経験があるかないかをあらかじめ見抜く力が必要です。
どれだけ期待しても、できないことはできないので、結局は不十分な
結末に終わります。そのプロジェクトの難易度に適した
メンバリングを組むことが、プロジェクトを円滑に進めるための
最大の要素となります。そういった人材との
人脈を有することもプロデューサーの力量のひとつといえましょう。
SC経営のヒント98:リニューアル成功のポイントは、既存顧客の再来店にある
リニューアルは、ハード先行で行うリニューアルではない、
まずはソフトのリニューアルを実現することにあります。
ソフトのリニューアルとは、1つは商品のリニューアルであり、
もう1つは人(サービス)のリニューアルです。
前回のメルマガでもお伝えしましたが、リニューアルするから
業績アップするのではなく、リニューアルをきっかけとして、
この商品と人(サービス)が変わるから業績アップするのです。
リニューアルするきっかけは、競合出店による客数ダウンや
売上不振によることが多いようです。これまで、数多くの
リニューアルをお手伝いして言えることは、リニューアル前に
順調に業績を伸ばしている店舗のリニューアルは成功し、
昨年対比をクリアできていない店舗のリニューアルは往々に
して上手くいかないのです。
リニューアル効果が長く続くかどうかは、実際には新規顧客の
上積みよりも、既存顧客の再来店(離反顧客も含め)を確実に
増やせるかがポイントなのです。
リニューアルオープンは閉店セールも含めて、新しいお客様を
取り込む良いチャンスであることは間違いありません。
しかし、どんなに新しいお客様を増やしたとしても、既存顧客
を取りこぼしていたら、売上を維持・安定させることはできな
いのです。
それではどうしたら良いのでしょうか?
リニューアル成功のポイントは、既存店ベースで売上を
100%にすることなのです。
つまり、リニューアルをする前に既存顧客で売上を100%に
戻すのです。これができない内は、本当はリニューアルしては
いけないのです。
それは、業績を伸ばしている店舗は、既存顧客が良く見えて
いて、リニューアル計画そのものが非常に力相応であるのに
対して、業績不振の店舗のリニューアル計画は、どうしても
奇をてらうものになっているケースが多いからです。
まずは、既存店舗で100%をクリアし、小さな成功体験を
つくることが必要なのです。
そのために、自店をよく利用する顧客の声に耳を傾け、商品と
人(サービス)を見直すことからスタートしてみては如何で
しょうか?