2025年、世界的に加速する「スタジアム併設型商業施設」の開発トレンドをご存知でしょうか?
従来の商業施設の常識を覆す、スポーツ施設を核とした新たな集客モデルが、いま開発担当者の注目を集めています。
なぜ今「スタジアム×SC」なのか?
ECの台頭により、「モノを買う」だけの商業施設は苦戦を強いられています。
一方で、”体験型コンテンツ”への消費は拡大し続け、特にスポーツイベントは「その場でしか味わえない感動」を提供する集客装置として再評価されています。
実際に海外では、アメリカのSoFiスタジアム周辺開発やイギリスのトッテナム・スタジアムは複合施設として、試合がない日でも週間来場者数15万人を記録。従来型SCの2〜3倍の集客力を実現しています。
また国内では、北海道日本ハムファイターズのエスコンフィールドやプロサッカーチームの「V・ファーレン長崎」とプロバスケットボールチームの「長崎ヴェルカ」の長崎スタジアムシティなど、スポーツ×エンタメの商業施設事例が急増しています。
では、そんな事例からみる開発のポイントとは何でしょうか?
成功事例に学ぶ3つの開発ポイント
1. 365日稼働する仕掛け
試合日だけでなく、毎日人が集まる仕組みが重要です。スタジアムツアー、チームミュージアム、フィットネス施設、eスポーツ会場などの併設で、オフシーズンや平日の集客を確保し、商業エリアについての季節による変動をできるだけなくしていくこと。
2. 滞在時間を延ばす動線設計
来場者の平均滞在時間は4時間超え。スタジアム→フードコート→ショッピング→エンターテイメントの自然な回遊性を設計することで、消費単価が従来型SCの1.8倍に向上しています。
3. 地域コミュニティとの共創
地元チームのホームグラウンドとなることで、地域アイデンティティの象徴として機能することも期待されます。ファンの帰属意識を商圏形成に活かし、リピート率70%以上を実現している事例もあることから、地元の”ファンづくり”に適した施設になることが考えられます。
日本での開発可能性
日本でも、JリーグクラブやBリーグクラブを核とした複合施設開発が始動しています。浦和、柏、神戸など先進的な取り組みを行うクラブでは、スタジアム周辺の商業開発により、試合日以外の収益確保に成功。また、野球場やアリーナなど多様なスポーツ施設と商業の融合も進んでいます。
2025年の改正スタジアム・アリーナ改革のガイドブック整備が進んだことにより、公共用地活用の規制緩和も進み、今後5年間で全国20か所以上での開発が予測されています。
従来の商業開発とは異なり、スポーツビジネスの特性理解とエンターテイメント要素の組み合わせが成功の鍵となり、”地域密着”&”独自のファンづくり”のヒントが詰まったこれらの施設の動向を、是非チェックしてみてください。