SC経営のヒント104:昨今のファッションビル出店

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研の山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は今までのシリーズと逆の視点から「昨今のファッションビル出店」に
ついてお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■昨今のファッションビル出店
この数年、三大都市圏ではバブルの再来といっていい状態に突入しています。
特に中心地の好立地では次々と商業施設が開発されており、各専門店にとっては
出店のチャンスが拡大しています。
さて、今回は新築されるファッションビルについて申し上げたいと思います。
まず、都心のファッションビルや駅ビルは、それなりに賃料も高く入居も
容易ではなかったりしますが、一方でプロモーションも手がけ集客力もあり、
入居すれば成功をおさめられる確率は高いといえます。事例が豊富なので、
出店する側にとっても分かりやすいターゲットといえます。
一方、繁華街路面にできるファッションビルは、これは開発・運営主体も
様々で、大手の百貨店系列からベンチャー企業までいろいろです。また、
プロモーションに関しても独自で手がけるところもあれば、開業販促のみで
あとは何もしない、いわば路面店的なところもあります。
ここ数年の流れを見ていますと、まず、こういった複合ファッションビルに
多く見られるパターンは、建築のデザイン性は高いのですが、館内の
回遊導線があまり考慮されていない場合が多いということです。たとえば
エスカレーターがあっちについたりこっちについたり、あるいは中央部が
オープンモールになっていたり、あるいは変わった形状をしていて中央に
吹き抜けがどんと上がっていて、上層階も右と左が分断されていたりという
ケースが多いです。
特に都心部では大きな敷地が確保しづらく、どうしてもペンシルビルの
ような形状で上層階まで有効活用しようという建築プランにならざるを
得ない場合が多いのですが、物販店舗にとって重要なのは上下階の
回遊性への配慮です。
まずもって、エスカレーターが上下に素直に通っていないビルでは、
上層階に人が上がりにくくなります。また、過剰な建築デザインでもって
吹き抜けが強調されているものも同様です。さらに、オープンモールに
なって外気が導入されると、気候のいいシーズンはいいのですが、雨風寒さ
暑さには非常に弱くなり、ビル全館の回遊性が落ちるという弱点があります。
デザイン性、独自性、ユニークネスを追及するあまり、こういった
原理原則に反している物件に出店する場合は注意が必要です。上層階の
回遊が物理的に困難になっている場合、それは結局客数・売上の低下を
招くという結果を生むことが多いからです。
また、開業後のプロモーションについても、小規模複合施設であれば
入居するショップが各々でプロモーションを手がけるという割り切りも
可能ですから、無用に規模を追求しない商業施設であればよいともいえます。
大きくつくって歩合と販促費も相応にかけるか、小さくつくって、
路面店複合感覚でさほど高くない固定賃料で出店するか。どちらかの
方向性が明確であればそれなりに魅力的といえましょう。

SC経営のヒント103:地域一番店の落とし穴

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、以前の地域一番店だったSCの意外な落とし穴に
ついてお伝えさせていただきます。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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ショッピングセンター経営のヒント103:
『地域一番店の落とし穴』
適度な競合出店は、現在の店揃えや品揃えを見直す良いきっかけとなります。
競合の出店、それによる売上ダウンというやむを得ずの状況になる前に
何をすべきか?自分たちが変わらず、変わっていくお客様のことを嘆く前に、
時流適応していくことが急務です。
大店立地法の施行以来、それまで地域一番店だったSCが競合SCの出店に
より、苦戦しています。これら苦戦しているSCには共通した課題が
あります。それは特に年末・年始商戦でその傾向が表れています。
その特徴は新店、特に大型店の1人勝ちで、その他の店舗はその商圏内の
位置づけにより、昨年対比が下記のような数字となっているところが
多いようです。
一番店:100%以上・・・大型店、新店
二番店:90%台 ・・・競合出店前の一番店
三番店:80%台 ・・・競合出店前の二番店
四番店:70%台 ・・・競合出店前の三番店
大型店は家族で出かけて時間を潰せるなど、物販以外での集客要素が
ありますし、新店にはこれまでにない買物経験ができることを期待させる
要素があります。一方、競合出店前の地域一番店は規模が小さい上に店揃えに
変化がなく、この両方の要素が欠けているため特に苦戦を強いられているのです。
それではどうすれば良いのでしょうか?増床余地があれば店舗を大型化して、
時間消費する施設を付加することもできますが、多くの既存SCでは
現実的ではありません。そこで、ハード先行ではなく、ソフト(商品と人)の
リニューアルで時流適応していくが必要となるのです。しかし、
10年以上経過しているこれまでの地域一番店では、それまでの業績が
良かったが故に、変わるということに抵抗があるところが多いのが実際です。
お正月の検証をしていても、福袋が売れなくなっている。進物がでない。
単価が下がっている。など、お客様の変化には気づいてはいるものの、では
どう対応するかについて意見が出ないのです。これまでは、地域一番店として、
まず一番に自店を訪れていたので、お店の売りたいものが売れたのに対して、
競合の出店により、二番店、三番店になってしまっているとしたら、それに
合わせた商品と価格で対応しなければならないのです。一言で言ってしまえば、
一番店では比較的グレードの高い商品から売れていたのです。この
グレードはSCの店格(何番店か)と比例しており、店格が下がったらそれ
相応の値ごろな商品が必要となるのです。競合ができ小商圏となり、
客数が減っているのですから、まず、客数を上げていく商品と販促が急務
となります。これはお店をディスカウントストアにしろということでは
ありません。現在の商品構成(MD)に加えて、値ごろな商品を付加
あるいは強化することを意味しています。つまり、各テナント専門店が
MDラインの幅を下に広げることで、入りやすく、買いやすいお店になる
ことが必要なのです。売上が下がったときにまず優先すべきは客数を
戻すことであり、それが業績アップへの第一ステップなるのです。

SC経営のヒント102:再度基本を徹底する

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、テナントさんについてのお話をします。
デベロッパーさんとしても、ここが見えているのと、いないのでは
大きな差があるように思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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ショッピングセンター経営のヒント102:
『再度基本を徹底する』
最近よく耳にすることが、「基本を聞く機会が少ない」という言葉です。
ここで言う基本とは、「商売の基本」であることもありますし、
「売場の基本」であったりします。
店長はじめ、新しく入られたスタッフの方などの研修では基礎研修と
いう形で、最低限のことは学んでいます。
しかし、長い年月を経ていくうちに違った方向でのクセができてしまい、
結果的に、「基本」を実行できなくなっていることもあります。
よく、私どもが実施させていただくSCの店長会においても、基本の
講座に対する要望が多く、「実はこんな基本のところがよくわかっていなかった
んです」と店長会の後に言ってこられる方もいます。
基本は知っているけれど実行できていない、わりと感覚で売場をつくっている
といった店も少なくないようです。基本を踏まえた上で、自店なりの店を
つくっていくのと、最初から我流でやるのでは大きく違います。もちろん、
理解していて実行できている売場と、日々の営業の中で崩れてきている売場も
大きく違います。
店に行くと、同じカテゴリの商品の売場が分断されていたり、離れていたり
します。同じ商品の什器の棚の高さが異なっていたりします。サイズ違いの
商品が手前から奥に向かってL→M→Sと並べられていたりします。
こういった基本は、普段の営業の中では大きくは影響なく過ぎてしまったり
します。ですので、余計に気づかないうちに崩れてしまっていることも
あります。しかし、お客様は気づいているものですし、店側にとっても、
特にリニューアルなどの際、セールの際に大きな違いとなって現れます。
客数の多いお店、来店頻度の高いお店はより顕著にその傾向が出ます。
商品補充などの際にもスタッフの動線が長くなりますし、わかりにくい。
場合によっては、後回しになった商品群が長期に渡り手をつけられて
いなかったといった事態も起こります。
もし、店舗・SCでリニューアル・移転などをされる際には、この基本を再度
見直す良い機会になります。そうは言っても全店・全スタッフで見直そうと
思ったら、こうした場面でしかなかなかできないものです。
現状はどうなっているのか、どのあたりに改善の余地があるのかを見極め、
どのタイミングでそれを見直し、再度徹底させていくのかをいま一度考えて
みてはいかがでしょうか。基本は徹底すればするほど、結局のところ
近道になり自店の競争力に繋がります。
形だけの店舗がブームだけで衰退していくのを見れば見るほど思います。
「再度基本を徹底する」。是非、自店にあったタイミングで実行してみてください。

SC経営のヒント101:SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研の山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は「SCリニュアルに向けて」の第8弾、
最終回として「経営体制」についてお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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ショッピングセンター経営のヒント101:
『SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか』
SCリニュアルに向けての連載も最終回です。
今回は、SCを経営する体制そのものについてです。
1970年代から協同組合形式によるSC開発が盛んになりました。
80年代には大手量販店をキーテナントとした大型のSCも多数開発され、
90年代には現在にも通用するSCが全国に開発されました。
当時は開発すればそれなりに成果の出る時代でしたので、
各地で成功をおさめる事例が出来上がりました。しかし、10年後、20年後の
現在となり、それらの多くがかかえる問題点は、創業期のメンバーから
代替わりがうまく進んでいないということです。その結果、今後SCを
どのように発展させようか、あるいは手仕舞いさせようかということに関して、
長期的な視点が持てなくなっています。
地元主導SCの多くは、旧来の商店街に替わる新しい立地を自らの手で
創造するために着手されたものでした。それが結果として大きな
不動産開発利益を生むと分かり、不動産事業として発展した会社もありますが、
多くは「自分が経営する店」のためにSCを必要としたところから
出発しています。SC開発は、大変な苦労を伴いますが、やってみて
成功したらこれほど楽しいこともありません。だからこれからも夢は
捨てられない、でももう若くはないので次の世代に期待したいが、
なかなかそういう人材も育っていない、というのが多く見られるケースです。
うまく世代交代が進んで、デベロッパーとしてのマインドあふれる経営者が
率いているSCは発展をとげていますが、実態を見る限り、むしろ
そういうケースのほうが少ないといえます。
そういうSCは、今こそ運営する組合・会社の経営体制を見直す必要があります。
たとえば、資産の売却や運営母体の変更を考える時期にきている地元主導SCが
数多くあると思います。同じ場所で苦しんでいてもしょうがないのですが、
これまで心血注いできたものにどのような割り切りをすればよいものか、
着地点が見つかっていないケースも多々あるといえます。
まだ元気なうちにはいろんな処分方法があるのですが、空き床だらけに
なってしまうとどうにもやりようがありません。SCが元気に生きているうちに
次なる手を考えねばならないのです。
私が過去にお手伝いした事例の中には、保有資産を売却して預かり金を清算し、
組合の役割を賃貸床の確保のみに限定し、組合の運営負担を楽にしたケースも
あります。運営会社の人材を生かしつつ経営体制を変革するには
いくつかの手段があります。現在もそのようなご相談をいただくケースが
多くあります。
事業は起業の時は大変ですが希望に満ち溢れています。一方、
手仕舞いは夢よりも現実を冷静に見つめて考える必要があります。
そういう意味で、元気なときほど有利な出口を見つけやすいということが
重要なポイントといえます。
SCリニューアルについて連載してきました。次回からは新たなテーマに
とりくみたいと思います。