業績の厳しい店舗こそ、ピークアップ法を実践しよう!

来期の売上計画を策定する時期になり、多くの商業施設や小売店舗が売上目標を設定していることと思います。しかし、業績が厳しい店舗ほど、前年同月比(昨対)を基準に計画を立てる傾向が強く、結果として成長機会を逃してしまうことが少なくありません。特に、利益確保を優先しすぎた結果、在庫を減らしすぎたり、価格を上げたことで買上率が下がるなど、悪循環に陥る店舗も多いのが実情です。

このような状況にある店舗こそ、ピークアップ法を実践するべきです。売上を最大化するためには、単に粗利率を高めるのではなく、粗利高(=売上×粗利率)を増やすことが重要です。そのためには、売れるタイミングで確実に売上を伸ばす戦略が必要になります。


ピークアップ法とは?

ピークアップ法とは、「売れる月」「売れる週」「売れる曜日」「売れる時間」に、「売れる商品」の販売を最大化するという手法です。これにより、チャンスロスを防ぎ、売上を最大化できます。

しかし、業績の厳しい店舗では、「昨対比を超えると翌年度のハードルが上がる」と警戒し、伸ばせる時に伸ばし切らないことも多々あります。これでは、せっかくの成長機会を自ら潰してしまうことになります。

売上は、お客様の支持率の表れです。厳しい状況の中でも、売上が伸びる時間帯や人気商品の傾向を把握し、それを活かした売場作りを行うことが、業績回復の第一歩となります。


成功事例①:アパレル店舗のケース

あるショッピングモール内のアパレル店舗Aは、業績が低迷し、売上計画も前年同月比を少し上回る程度に抑えられていました。特に平日の売上が低く、土日に頼る状況でした。

そこで、ピークアップ法を導入し、**「土日の午後2時〜5時が最も売れる時間帯」**であることをデータ分析で特定。この時間帯に向けて以下の施策を実行しました。

  1. 土日午後の販売スタッフを増員し、接客率を向上。
  2. 人気アイテムを入口付近の「ベストポジション」に陳列し、入店率を上げる。
  3. 試着率を高めるために、フィッティングルーム近くにコーディネート提案を設置
  4. 「時間限定プロモーション」を実施し、ピークタイムの客単価を向上。

結果、土日の売上が前年比120%に増加し、さらに平日も「このお店は人気がある」という印象が広まり、客数が徐々に増加。月全体の売上も前年比110%を達成しました。


成功事例②:食品スーパーのケース

郊外の食品スーパーB店は、近隣に競合店が多く、価格競争に巻き込まれていました。特に**夕方の時間帯(16時~19時)**の集客力が低いことが課題でした。

そこで、ピークアップ法を活用し、以下の施策を実行しました。

  1. 夕方の買い物客に人気のある「お惣菜」「時短食材」を入口に配置
  2. 16時~18時の時間帯限定で「お買い得セット」販売(例:お惣菜+ご飯セットで特別価格)。
  3. レジ前で夕食レシピの提案POPを掲示し、ついで買いを促進

結果、夕方の時間帯の売上が前年比125%増加し、1日の総売上も安定して上昇しました。


ピークアップ法を成功させるために

ピークアップ法を成功させるためには、商圏特性と競合状況を理解し、売れるタイミングに売れる商品を適切に配置することが鍵となります。

具体的な実践ポイント

●売れる時間帯・曜日・商品の分析を行い、ピークタイムを特定する。
● 施設全体の客数データと比較し、自店舗の課題を明確化する。
● ピークタイムに合わせたスタッフ配置と売場レイアウトの最適を行う。
● デベロッパーやチェーン本部と連携し、売れる商品を確実に在庫確保する。

例えば、同じショッピングモール内の店舗でも、**売上の高い店舗と低い店舗の違いは「ベストポジションでの展開力」**にあります。商業施設全体の客数は同じでも、売れる商品を適切に配置できているかどうかで、売上に大きな差が生まれます。


まとめ

業績の厳しい店舗こそ、ピークアップ法を実践し、売れる時に売れる商品の販売を最大化することが重要です。売れるタイミングでしっかり売り切ることで、客数・客単価を上げ、売上のトップラインを伸ばすことができます。

店長や現場スタッフは、デベロッパーや本部と連携し、ピークタイムに向けた最適な売場づくりとオペレーションを整えることが求められます。特に、売上の伸びを警戒して成長機会を逃すのではなく、「伸ばせるときに伸ばす」意識を持つことが、業績回復のカギとなるのです。

来期こそ、ピークアップ法を活用し、売上回復のチャンスを最大限に活かしましょう!