近年、ECの台頭や郊外型大型店の競争激化により、ショッピングセンター(以下、SC)を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような状況下で、SCが生き残り、成長を続けるためには、従来の集客施策に加えて、熱烈なファンづくり(=生涯顧客化)が必要不可欠です。
ファンとは、単に商品を購入する顧客ではなく、SCの理念や提供する価値に共感し、積極的にSCを応援してくれる存在です。ファンは、口コミによる新規顧客の獲得や、リピート率・顧客単価の向上に大きく貢献し、SCの安定的な収益基盤を築きます。
本日は、地域密着型SCにおいて、ファンを効果的に生み出すための3つの秘訣を最新戦略と共にご紹介いたします。
秘訣1:地域コミュニティとの共創
ファンづくりの第一歩は、SCが地域コミュニティの一員として深く根ざすことです。地域住民のニーズを的確に捉え、SCが単なる商業施設ではなく、地域交流の拠点となることを目指します。
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 地域イベントの積極開催:地元のお祭り、文化祭、スポーツイベントなどをSCで開催、または協賛することで、地域住民との接点を増やし、親近感を醸成します。
- 地元の団体との連携: 町内会、PTA、NPO法人など、地域の団体と協力し、清掃活動、防災訓練、子育て支援プログラムなどを共同で実施することで、地域貢献への姿勢を示し、信頼関係を構築します。
- 地域産品の販売:SC内で地元の農産物や特産品を積極的に販売することで、地元の魅力を発信し、地域経済の活性化に貢献します。
秘訣2:顧客体験価値の最大化
ファンは、SCでの買い物体験を通じて、感動や喜び、特別な思い出を求めています。単に商品を提供するだけでなく、五感に訴えかける魅力的な空間づくりや、記憶に残るイベント企画、パーソナルな顧客対応を通じて、顧客体験価値を最大化しましょう。
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- テーマ性のある空間演出:季節ごとの装飾や、地域文化を反映した内装など、SC全体にテーマ性を持たせることで、訪れるたびに新しい発見がある、ワクワクする空間を創出します。
- 体験型イベントの企画:料理教室、ワークショップ、音楽ライブ、映画上映会など、参加型のイベントを定期的に開催することで、顧客同士の交流を促進し、SCへの愛着を深めます。
- パーソナルな顧客対応:顧客一人ひとりのニーズを把握し、きめ細やかな接客や、パーソナライズされた情報提供を行うことで、顧客満足度を高め、特別な存在感を演出します。
秘訣3:デジタルツールとデータ活用
現代において、デジタルツールはファンづくりに不可欠な要素です。SNS、アプリ、メールマガジンなどを活用し、顧客との継続的なコミュニケーションを図り、エンゲージメントを高めましょう。ポイントカードやハウスカードの高い施設、店舗ほど、ファンが多く、売上の安定性が高いのが特徴です。
具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- SNSでの情報発信と交流:SCの公式アカウントを開設し、イベント情報、店舗情報、地域情報などを発信。フォロワーとのコメント欄での交流や、SNSキャンペーンなどを実施することで、コミュニティ感を醸成します。
- アプリやポイントシステムの導入:SC専用アプリを開発し、クーポン配信、ポイント付与、イベント予約機能などを搭載。顧客の利便性を高めると共に、データ収集基盤を構築します。
- メールマガジンでの情報提供:顧客属性に合わせたセグメント配信を行い、イベント告知、セール情報、お役立ち情報などを提供。開封率やクリック率を分析し、効果的なコンテンツ制作に繋げます。
まとめ
地域密着型SCにおけるファンづくりは、地域コミュニティとの共創、顧客体験価値の最大化、デジタルツールとデータ活用の3つの秘訣を実践することで、実現可能です。
熱烈なファンは、SCの持続的な成長を支える強力なエンジンとなります。本日ご紹介した戦略を参考に、貴SCならではのファンづくりにぜひ挑戦してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。