「時代を創るメッセージストアを目指す〜モデル事例その1〜」

ショッピングセンター経営のヒント75:
時代を創るメッセージストアを目指す〜モデル事例その1〜

今回より、「時代を創るメッセージストアを目指す」をテーマに、内容を数回に
わけ、モデル事例を示しながらお伝えしようと思います。

まずは、「どうすればメッセージストアになれるのか?」ということですが、私
が考えるに、それには4つの要素が必要となってきます。

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1.お客様を感動、興奮させるメッセージがお店にある!

2.そして、メッセージを現場で浸透させる仕組みがある!

3.3年後のビジョン従業員に伝えている

4.原点回帰で儲けを出すしくみがある

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そしてこの要素を持った企業を見ていると、どうやら5種類のモデルへと分かれ
ていることがわかります。それが以下の5つです。

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1)立地創造モデル

2)空間創造モデル

3)単品特化モデル

4)ニッチモデル

5)エンターテイメントモデル

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<< この中でも今回は 1)立地創造モデル、2)空間創造モデルについてご紹介し
たいと思います

1)立地創造モデル

●事例1:立地を創造するストーリーとは
〜創造は想像を超える!お客様の想像を超える繁盛店とは?〜

■「道中お食事処 山賊」 場所:山口県玖珂群玖珂町

【こんなお店!】
玖珂町は人口10,000人の少子高齢、過疎の町。この町に昭和43年から営業しているのが山賊だ。どんなお店かを説明するのは難しいが、簡単にいうと24時間営業のオープンエアの居酒屋だ。

そのお店は玖珂ICを出て右側に進路を取り、岩国・広島方面(2号線)を目指して進むと、山の中に突然その姿を現す。夜中でも太鼓が鳴り響き、のぼり旗が風に揺れ、提灯の明かりがまぶしく、その幻想的な雰囲気に誰しも暫し圧倒されるのは間違いない。

山の途中、いたるところにテーブルとイスが置かれ、冬はこのテーブルとイスが掘りごたつになる。そこで提供される料理は実に野趣豪快なものが多く、特にいろりで焼かれた山賊焼きと拳2つ分の大きさの山賊おにぎりがおすすめ。ここで働くおばちゃん達は実に話し好きで、料理を運ぶよりお客様と話している時間のほうが多い。

しかし、お客様も慣れたもので気にする様子もなく、おばちゃん達との会話を楽しんでいる。このおばちゃん達の笑顔は本当にすてきで、お店を愛しここで働くことにプライドをもっているのが感じられる。「商売は立地で決まる」これは原則だ。同じものを扱うなら、立地が良いにこしたことはない。しかし、与えられた立地の特性を最大限に活かし、立地を創造することができれば、このように働く人にとっても、お客様にとっても圧倒的に支持されるお店ができるのだ。

このようなお店は2つはできない、まさにオンリーワンのお店なのだ。


2)空間創造モデル

●事例2:共感を呼ぶコンセプトショップとは
〜独自のコンセプトで他店に差をつけるポイントは?〜

■「THE HANEZAWA GARDEN」 場所:東京都渋谷区広尾

【こんなお店!】
東京・広尾の閑静な住宅街に横たわる広大な敷地。一歩足を踏み入れると、そこは都会の喧噪と無縁の世界。大正ロマンの面影を今に残す異国情緒たっぷりの御屋敷、上質なアジアンリゾートを思わせる調度品の数々、3000坪に及ぶ広大な敷地でニュースタイルのハウススタイル・レストラン&ウェディングを提案しているのが「THE HANEZAWA GARDEN」である。

THE HANEZAWA GARDENホームページはこちら
http://www.thehanezawagarden.com/

■「ラスチカス」 場所:東京都渋谷区神宮前
(スペイン語で”女の子”。強くていたずら好きな女の子のイメージを彷佛とさせるその場所は人々が試し、生き、そして進化する場所。)

【こんなお店!】
オープンテラスからライブラリー・バー、エレガントなダイニングエリアから鯉が泳ぐテラスまで、ラスチカスは街のノイズと混乱から離れて一息いれるのに最高の場所。

世界中から集まった有能なスタッフ達が作り上げた多様性のある国際的な空気の中、友人とカフェラテを飲んだり食事をしたり。この場所で10年以上もの間、幅広いメニューと厳選されたワインで訪れる街の魅力的な人々を迎えている。

夏には外の空気に触れながらの食事、冬はライブラリーの暖炉の前で暖かい飲み物を。一年を通して、他には無い体験のできるラスチカスは東京に初めて訪れる人々にとっても見逃せない場所の一つとなっている。

ラスチカスホームページはこちら
http://www.vision.co.jp/lc/

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船井総合研究所 第六経営支援部
丹羽英之

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売れてるお店はここが違う!! 〜レストラン・コメスタ編〜

ショッピングセンター経営のヒント74:
売れてるお店はここが違う!! ?レストラン・コメスタ編?

今日はザッキーこと座喜味さんの話をしよう。

飲食・レストラン業界では有名な方で「小さな飲食店・レストランのサービス改造マニュアル(明日香出版社)」という本も出も出ている。ずっと以前から、座喜味さんがいるレストラン「コメスタ」に行ってみたいと思っていた。

昨年の9月ようやくその機会に恵まれた。この日は台風明けでお客様が少なく、予約がなくて入れたのはラッキーだった。はじめ、フロアには座喜味さんの姿がなく、とりあえず料理を堪能する。なぜか、お客様に年配のカップルやグループが多いのがこの店の特徴だ。

僕たちのテーブルを担当する◎◎さんに、食事が終わる頃、実は座喜味さんに会いにきたことを告げると、1分もしないうちに座喜味さんがご挨拶に現れたのだ。「もし宜しかった、あちらでご一緒にお茶でも如何ですか?」と僕たちをサロンスペースへと誘ってくれた。そこで、座喜味さんが話をしてくれた話は非常に多くの気づきを与えてくれるものだった。今日は、その中のいくつかを紹介したい。

店が暇なときに決まる「差」

最初に座喜味さんが教えてくれたのは、「お店が暇なときの対応でその後のお店が決まる」ということだ。普段忙しいお店は、なかなかお客様に十分な対応ができないし、お客様のことを知る時間がもてない。だからこそ、お店が暇なときは、お客様とお話をして、もっとお客様のことを知ることができるチャンスなのだという。『だから、今日僕はあなた方とこのような時間がもてることを非常に嬉しく思っている』と、おっしゃっていた。

プラスワンの「情報サービス」

次に教えていただいたのは、「お客様の本当に望んでいることをする」ということだ。ホテルマンでもあった座喜味さんが「コメスタ」の中で行っているサービスの一つがベルサービスだ。プロ野球やサッカーの試合があるときは、ベルを鳴らしたスタッフがその結果を、プラカードに書いてまわるという。

座喜味さん曰く、「ご家族でこられていても、お父さんは野球の結果が気になるものだし、カップルで来ていても、男性はサッカーの結果が気になるものだ。」地域密着を標榜しているコメスタでは、特に食事中に救急車や消防車が通ると店がざわつくという。だからこそ、いち早く関係所轄に連絡をとり、その場所や状況を把握して、それをお客様にお知らせするようにしている。そうすることで、お客様に安心してゆっくりとお食事をしてもらうことが目的だという。

スタッフマネージメントは「握手!」

座喜味さんが毎日していること。それはスタッフ全員とする握手のことだそうだ。スタッフが出社してくるとき、そしてスタッフが帰るときにスタッフ一人一人の目をみて握手をする。座喜味さん曰く、「彼らの目をみて毎日握手をしていれば、彼らの健康状態や精神状態の変化に気づき、適切な言葉をかけたり、無理をさせないで行動させることができる」と言う。

定休日はファン客創造のチャンス!!

そして、僕が一番凄いと感じたのは、「私は定休日でも料理長と2人でお店にでるんですよ。」という話だ。座喜味さんには顔と名前がわかり、そして過去お誕生日や結婚記念日を「コメスタ」でおこなったザッキーファンが非常に多くいらっしゃる。そんなコアなお客様に定休日を利用して、ザッキーが十分なおもてなしをする日をつくるのだという。

座喜味さんは一度お会いしたお客様の名前を忘れることがないと言う。また、お客様も自分のことを忘れることが少ないと言う。それは、ここで話をしている時にはわからなかった。でも、翌々日ポストに届いたハガキでそれがどういうことか理解できた。自分が接したお客様をもう一度思い出しながら、丁寧なお礼のハガキを書く。これをもらったお客様が座喜味さんのことを思い出す。座喜味さんとお客様との関係は、このサンキューレターで次ぎへと続くのだろう。

サンキューレター、誰もがその必要性と重要性を知っている。でも、これを本当に丁寧に、継続してやり続けているオーナー、店長、スタッフは実に少ない。お客様のことを親身に思って書くサンキューレター。これが地域密着、固定客化の第一歩ではないでしょうか?

真の地域密着とは

ショッピングセンター経営のヒント73:『真の地域密着とは

●地域密着とはいうけれど…

大型のショッピングセンターの出店に対する、地元主導型ショッピングセンターの生き残りについて、デベロッパーさんも地元専門店のオーナーさんもお題目のように地域密着という言葉を口にします。

しかし、この地域密着とは何を指して言っているのでしょうか?私から言わせると、地域密着を標榜している地元主導型のショッピングセンターの方が、地域密着していると言い難いケースが多いように見えるからです。

顕著な例では、地元専門店の販売スタッフの多くは、自店をよく利用しているお客様に対しては親切であるのに、そうでないお客様に冷たいということが挙げられます。また、「いらっしゃいませ」「こんにちは」といった基本接客力に弱いところが多いといえます。

せっかく、足を運んでもらったのにお客様の存在に気づいていない。だから、あいさつもできていない。そんなお店が実に多いのです。

●お客様への関心

競合ができて入館客数が減ったとき、地元専門店が自店の客数を維持するためには、目の前を歩いているお客様の入店率をあげ、買上率をあげていかなければなりません。それには、販売スタッフ全員が店の中に入ってくるお客様だけでなく、これまで以上に店頭を歩いているお客様に関心を持つことが必要なのです。

店頭でのハンドビラ、積極的な声掛け、呼び込み、試食・試飲など、すぐにできることが数多くあります。業種・業態を問わず、まずはお店側が全てのお客様に関心を持ち、自店の存在を知ってもらい、且つ一番商品を認知してもらうことからスタートしていく必要があるのです。

●地域密着への一歩目

そして、本気で地域密着を標榜するのならば、顔と名前のわかるお客様を100人はつくることが必要です。業種・業態によって、名前をとることができないお店でも、趣味や嗜好がわかるお客様を100人はつくることです。

「●●さん、元気?」「●●さんの好きなこんなの入ったわよ」「お子さん、今度卒業じゃない」といった会話ができるかどうかです。

「そんなことはしているわよ。」と言われるかもしれません。そうです。やっていないとは言いません。ただ、これまで関心をもっていなかった目の前を歩いているお客様にも、そうする覚悟をもって接してもらいたい。そうすれば、皆さんのお店はもっと良くなっていくと思っています。

だまされたと思って3ヶ月やってみてください。本気で3ヶ月これに取り組んだら、今度はお客様の方から名指しで貴方を指名してくることでしょう。本当に地域密着しているお店というのは、お客様が手土産をもってあなたのお店を訪ねてくるようなお店のことです。

それには、そんなお客様になってくれる可能性のあるお客様の数を増やすことが先決なのです。だから、すごく単純なのですが店頭に立って、お客様の入店率をアップするところからスタートしてみるのは如何でしょうか?