SCにおける”ポップアップ店舗”を活用した新戦略

前回記事では、SCの新たな店舗のあり方として「ポップアップ店舗」をご紹介しました。お客さんを恒常的に集めるために、ポップアップ店舗を活用してSCとしての「店揃え」を充実させていく重要性をご説明いたしました。

今回は、そんなポップアップ店舗を活用したSCの新たな戦略をご提案します。

まず1つ目のご提案は、ポップアップ店舗出店者への販売代行サービスの提供です。
DtoCの事業を行う出店者さんは、基本的にSCなどの商業施設の店舗型販売において売上を伸ばしていくノウハウをあまり持っていないことがほとんどです。売りを優先するのでなく、ブランド認知を優先させる傾向が強いと言えます。

そこで、そのような出店者に対して、店舗の販売を熟知する施設デベロッパーの社員がポップアップ店舗における販売代行を行うのです。
ポップアップ店舗をテストマーケティングの場として活用し、店舗での消費者の反応や感想をデベロッパー社員が出店者に対してFBを行ったり、売り上げ向上のためのマーケティング戦略を提案したりします。
そうすることで、テナント料として出店者の売上からのフィーだけを回収していたところを、販売代行・マーケティング代行を含めたより高いフィーを回収することが可能となります。
いわば、従来SCが「場所貸し業」であったところから、「販売・マーケティング代行業」へとレベルアップをしていくというイメージになります。

2つ目のご提案は、SC内のポップアップ店舗を活用して、SCデベロッパーが自らBtoCの新規時事業を立ち上げるという戦略です。
従来、SCデベロッパーは建物という箱だけ用意して、そこにいかに充実した店舗を入れていくかが重要でした。逆に言うと、人が自然と集まってくる時代においては、箱を作って店を入れるだけで売上はとれていたとも言えます。
しかし、前回記事でも触れたように、「簡単にお客さんを集めて簡単に売上が上がる」時代は終わったと言えます。これからは提案の1つ目でも記載したように、「場所を貸す」以外で、いかに売上を取れるかがSCに取って、とても重要な事項になってきます。

そこで、SCデベロッパーが自らBtoC事業を立ち上げ、SCのテナントとして出店することでさらなる売り上げ向上を図っていこうとういうものになります。

前回お伝えしたように、SCにいきなり本出店するのはリスクが高いと言えます。SCのポップアップ店舗として出店し、消費者のニーズの把握、消費者の商品への反応を試すなどトライアルを行いながら、出店を進めていく形が双方にとってリスクのない手法となります。

ポップアップ店舗は①期間限定のためリスクが抑えられる ②店舗の独立性が高く、消費者の目に止まりやすい=注目度を上げやすい という2点の特徴から新規事業のトライアルには最適な手段と言えるのです。

その観点から言えば、すでに消費者のニーズ把握を把握しているSCデベロッパーが販売代行を請けおったり、自ら事業をしていくことは今後の事業戦略において十分に検討に値すると思います。

集客が困難なこの時代に、いかにテナントの売り上げ以外でSCとしての収益を上げられるかが、今後のSCの生き残りのために必要条件となってくることが予想されます。
本日ご提案した2つ新戦略のように、「ポップアップ店舗」を上手に活用して頂ければと思います。

次回はデベロッパーが行う新規事業の具体策をお伝えさせて頂きます。

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