居抜きや軽装建物による開発

観光やインバウンド客層も動き出し、大型店舗のリニューアルも増加し、業界的にはいよいよこれから新規出店・・・という盛り上がりがあるのですが、一方で土地代と建設コストは非常に高騰しています。

コロナで土地代が下がるかと思いきや、一等地はむしろ上がっています。
ローカルの事案でも、地主が強気の値段で売りに出している話を耳にします。
ステイホームからリモートで都市部のオフィス需要が減少して建設コストは下がるかと思いきや、銀座など大都市圏では大型再開発が盛んであり、物価高もあって大都市だけでなく地方都市においても建設工事についてはコストアップの一途です。

店を新たに開発して攻めたい時期ではあるのですが、特に大型開発においては「建設コストが安い時期に開発する」というのが基本原則になります。投資してしまったものは後から取り返すことができません。

そのため、これから店舗開発を考えるには「居抜き開発」も工夫してゆかねばならないと思います。
大型店の居抜きは物件条件が合うかどうかですが、専門店開発はむしろ居抜き物件に集中して新規案件を探すほうが適しているように思います。

私共のご支援先様でも、蕎麦屋の居抜きでラーメン店を開発して、当初は苦労されましたが、2年ほど頑張っていたらグーグルマップの口コミで高評価が増えて、いまでは行列繁盛店になっている店もあります。

もう一つは投資コストがあまりかからない「軽装の開発」を行っていくことです。
これも私どものご支援先様で、ホテルの屋上にテントサウナをつくったり、近くの湖の湖畔にサウナ小屋を建てるなどの取り組みをしている宿泊施設があります。
「メゾネット」スタイルの軽い建物で新しいホテルの開発にチャレンジされている例もあります。
グランピングなど、広い敷地となると土木コストがかかってしまうこともありますが、小さな敷地で開発できるビジネスモデルであればチャレンジしやすいです。

しばらくは新規に大きな手は打ちにくい時代ではありますが、コスト相場もある程度待てば落ち着くかもしれません。
焦らず好機をうかがうことも必要と思います。

施設に最適化されたチェーン店舗の作り方

皆さんの施設に入居しているテナントには、全国で展開するようなチェーン店舗も多いかと思います。

ご存知の通り、チェーンストアは本部が集約したデータをもとに、店舗設計やオペレーション、品揃えなどを決定しており、どこに出店しても一定以上の実績を出せる仕組みを整えています。

この仕組みは店長の力量で売上にバラつきが出ない点では優れていますが、入居している施設に最適化されている訳ではないため、館やフロア、業種のポテンシャルを十分に活かし切れていない場合も多いのです。

逆に言えば、本部で設計された仕組みの一部を、自身の施設に合わせたものに変えてもらうだけで、売上のトップラインを上げることも可能になるのです。

そこで本日は、館とチェーンストアのポテンシャルを最大限に活かして、売上を最大化するための方法についてお伝えします。

 

施設内のチェーンストアにテコ入れをして売上を最大化するには、チェーン本部と館の間で共通の評価軸を持つことが重要です。その評価軸になるのが、月坪売上です。

チェーン本部と連携し店舗の月坪売上を、館全体の平均とチェーン内の平均の両面から比較していくことで、お互いの良さを十分に活かしきれているのかを検証することができるようになります。

店舗の月坪売上が館の平均よりも下回っていれば、施設のポテンシャルを十分に活かせていないことになりますし、チェーンの平均を下回っているのであれば、そのブランドを活かせていないことになります。

検証の結果、改善の余地があるのであれば、デベロッパー側とチェーン本部で保有するデータを出し合い、その施設における最適解を探していくことが求められます。

例えば、館のトップ10週の買い回りデータや消費データをもとに、在庫や人の融通をチェーン本部に働きかけたり、チェーン全体での売れ筋や主要な顧客層といったデータをもとに、館のキャンペーンやイベントを開催したりする、などが考えられるでしょう。

 

皆さんの施設でも店長会議などを通して、このようなデータをチェーン側に提供しているところも多いかと思います。しかし、実際には本部にまで情報が伝わっていなかったり、店長だけで働きかけても本部が動かないことも多くあるのです。

重要なのは、デベロッパーとチェーンの本部が相互理解を深めて、個別最適化した店舗を協力して作り上げていくことです。

そのためにも、本部とのやりとりを店長だけに任せるのではなく、デベロッパー側からも積極的に情報交換を働きかけていくことが求められるのです。

 

ぜひ皆さんも、施設内に出店するチェーン本部との関わりを強め、館とチェーンブランドのポテンシャルを最大限に活かした店舗づくりに挑戦してみてください。