SCビジネスの岐路

商業施設は都市部で開発されるものが大多数ですが、この都市部でのビジネスというのが岐路を迎えています。
リモートワーク増加で大都市への出社や出張が減少しています。それに伴って都市部の商業施設の集客も落ちています。
もちろんある程度回復はしていますが、従前の水準にまで至らない施設も多いです。

今年からインバウンドの流入も増加しはじめ、業況の明るいホテルも出てきましたが、絶対数としては2019以前には戻らない状況です。
観光客が流入していた商業施設も、店によって格差はありますが全体としてそこまででもないといえます。
今後人口が減少していく中、観光流入も取りづらいとなると、都市部でのビジネスもメリットが薄れてきます
一方で土地は価格が下がらず、建築コストは大幅に上昇していますので、新規に商業施設を開発することも容易ではなくなってきました。とはいえ既存建物の改修活用では限界もあります。

専業の商業施設デベロッパー・オペレーターにとっては現在が岐路と言えます。
商業施設の管理のみならず、周辺事業への参入をすでに検討されている方も多かろうと思います。

コンピューター業界のように、今後はハード先行ではなくソフト・サービス主体のビジネスに変化してゆくことが必要になってくると思えます。
テナント管理を外販化する動きや、外部施設の管理や販促を受託する動きはこれまでもありますが、インバウンド販促やSNS販促やフードコートなどの特定の売場開発に特化するなど、より特徴を際立たせた取り組みが求められることになるでしょう。

また、地代の安い土地を購入して地方創生型の商業施設を開発するという方法論もあります。
売上が伸びない環境下で、人件費・エネルギー費用・地代家賃といった固定費が上がり続けていることの影響が大きいため、従来のような借地や借家ではなく土地から取得してビジネスを実施するという方法論が見直されていますし、道の駅のように行政施設を比較的安価に活用する方法も注目されています

今後の経営計画の見直しとともに、従来の業務の枠を超えたチャレンジにとりくむ時代になってきたと思えます。