超専門店チャレンジの時代

一般的に物販飲食の専門店は、1店舗年商で1億円を超えてくると収益が上がり多店化意欲が出てきます。
1億円を超えてくる店は限られており、頭一つ抜け出た企業が多店化を志向して、結果出店に成功できた店がリージョナルチェーン化して、さらに市外県外に拡大していってナショナルチェーンになってゆくというのがこれまでの流れでした。
そういう流れ自体は今後もあるでしょう。
しかし最近気になる繁盛店というのはそれらとはちょっと次元が異なってきているように感じられます。

先だって弊社の食品研究会でお話くださったスイーツ企業様などは、店舗数は4店舗しかないですが、年商10億円が目前でした。WEBでの販売もありますが、なにより1店舗1店舗が1.5~2億円という超繁盛店になっています。立地も住宅街で、商業施設から誘致の声が多数かかるものの、住宅街でさらに増やしてゆきたいとのことでした。

こういうお店は、これまで百貨店業界が誘致をすすめてきた「圧倒的地域一番店」といえます。
これからの専門店が目指すべきあり方として、このような「超専門店」化が理想的と感じられます。

1店舗売り上げが2億円以上を志向している、立地に左右されずSNSで集客できる、製造直売で収益性は高いが製造にすごく手間工夫をかけて商品を本物化している、そういう志向性の店です。

従来であれば、ある程度の商品を開発して、それを短期間に100店舗出して面を押さえたら勝ちという「場所取り」の発想で拡大してきたチェーンが多かったといえます。
しかし、そのような成功の方法論がなかなか通用しなくなってきたいま、新しく出てくる繁盛店はより商品を高単価・本物志向として「自分たちでしか作れないもの」を差別化要因としてブランディングしていく会社になるだろうと思います。

もちろんそういう会社はいままでもありましたし、そうやって大きくなってきた会社がいまそこそこのチェーンになっているという現実もありますが、同時に商品力そこそこでも多店化できてきた店もありました。

専門店業界の方は超専門店化を指向し、デベロッパーはそういう超専門店を上手に迎え入れることのできるSCを開発すること、そういう視点から考えるとSCのあり方も変化してゆくと思います。
店舗の外観や営業時間等の自由度を上げるためにアウトモールやヴィレッジを設置したり、そういった店ばかり集めたゾーンを形成するというのもあり得ます。もちろんアウトモールは効率が低下するというのは一般論としてはそうですが、「特別な店」には「特別な環境」が必要になりそうです。