店舗の粗利率をアップするには、様々なやり方がありますが 即効性のあるのは下記の2つになります。 ①商品の売価を見直す ②相乗積の高い商品の売上を伸ばす(ロスをなくす) 今回は①商品の売価の見直しについてお伝えします。 売価見直しのタイミングで、最も重要なのは消費者の理解です。 その意味では、各種の報道がされる中で本年度が最後のチャンスともいえます。 「値決めは経営」とも言われますが、 その値決めのルールを改めて見直す良い機会でもあるのです。 いまだに、 原価→売価(原価に対して一定の値入れをかけて売価を決める)の店舗が多くあります。 ここでの問題は、プライスの数が多くなることで買上率が低くなることや 本来もっと利益がとれる商品の値入れが低くなってしまうことです。 値決めする際に、お客様が店舗でよく見るプライス(なじみのあるプライス)に揃えていくことも重要です。 その上で、1円にこだわることが重要です。 例えば、 売価:90円 原価:70円 粗利益:20円 粗利率:20.0% 売価:98円 原価:70円 粗利益:28円 粗利率:28.5% +8.5% 売価:99円 原価:70円 粗利益:29円 粗利率:29.2% +9,2% この例では、98円を99円に変えることで、粗利率は+0.7%となります。 実際に、末尾の売価を98円→99円、980円→990円(999円)に 変更すると、店舗全体の粗利率が+1~2%の効果があります。 10億円の売上高の店舗であれば、粗利額で1千万円~2千万円アップすることになるのです。 この売価を見直すときの注意点が1つだけあります。 当たり前のことですが、競合となる店舗の価格調査をすることです。 売価変更することで、売上高(買上率)が下がってしまっては本末転倒だからです。 自店の相乗積の高い商品で、他店と競合するものの価格は据え置く 自店の相乗積の低い商品は、価格を変えるというステップとなります。 ぜひ、最後の売価変更のタイミングで利益の最大化に挑戦してもらいたいものです。
月: 2023年12月
SCに出店するメリットとは
Twitterが普及し始めたころ、ネットの集客だけで成り立っている店があると話題になっていました。今から15年くらい前の話で、そのころはそんな店があるのか?と感じました。
しかし、いまやインスタで集客している店は珍しくもなんともなく、店舗や商品の告知はSNSでやるというのが一般化しています。
SCにはキーテナントとかアンカーテナントという考え方があります。
キーテナントほど大きくはないがそれなりに集客力のある店をサブキーテナントと呼んだりもします。
これらは面積が大きくて大量に集客できる店ということになりますが、同時に「自社でチラシを打つ店」でもあります。ユニクロやニトリやマクドナルドといった全国チェーンはテレビCMを打ってくれますので、SC全体の集客にも寄与してくれます。
その一方で、多くの小型専門店は集客をSCの館集客力に依存してきました。
これがいままでのSCの考え方でしたが、いまは小さな店でも程度の差はあれSNSで集客しています。
SCの集客力だけで成立するというのではなく、自分自身の集客力を高めようとみな努力してきました。
そのなかで活用されてきたツールがインスタ、LINE、X、食べログ、グーグルマップなどです。
館の側は、入居していただく専門店を選定するうえでこのSNS集客力=フォロワー数や評価点数を評価しています。しかし、店を選定する館のほうは、一部の館がLINE登録者を獲得しているくらいで、SNS集客に熱心な大型商業施設というのはあまり見受けられません。SNS向けのイベントとかもないわけではないですが話題になりません。
SCは場所を提供するだけで、集客は店がSNSで独自にやるだけであれば、店にとってSCに出店する魅力は以前より下がることになってしまいます。
最近ある繁盛店を見に行ったのですが、その店はかなりくたびれた小さなSCに出店していました。
家賃も安いと思いますし、SC自体の集客力はほとんど期待できません。
しかしその飲食店は繁盛しています。
集客は自分たちでSNSや口コミサイトでおこない、SC出店の成果は適切な面積を確保できたことと、駐車場が多数確保されたことだと感じられました。他の店が繁盛していないので行列場所も確保でき駐車場も使えます。
専門店にとって、なぜSCに出店する必要があるのか?
それは「管理がしっかりしている」「デベロッパーが信頼できる(繁盛SCをたくさんつくってくれるなど)」「スタッフ教育してくれる」「著名SCに入居していることで信用力が増す」などの期待もあると思いますが、最大のメリットは「集客」してくれることに尽きます。
その一方で定借であることや賃料が割高であることも事実です。それを補ってあまりある恩恵がないと、独自集客力のある専門店側にとって、あれこれ制約が多く家賃の高いSCに出店しなくてもよいのではないかとなります。
むしろ今後は前述の事例のように衰退したSCに有利な条件であえて出店するという方法論も考えられます。
SC側としても集客を立地・設備だけでなく、イベント・チラシ・SNSと多面的に再構築していく時代になったのではないでしょうか。SNS時代にSC側の販促費の活用方法も以前と変化してゆくことが求められます。SNS活用もコストのかかるクーポンやインフルエンサー活用だけではなく、SCのファン層を足元から掘り起こす取り組みが必要になると思います。