ハード投資抑制とソフト投資へのシフト

アフターコロナのムードの中で、大都市の巨大再開発など各所で大型案件が多数進んでいる関係もあり、建築・設備工事のコストが高騰して納期が遅延しています。
内装工事も同様で、労働環境のホワイト化もあり、職人さんが不足している状態が続いています。
2000年代に開業したモール型SCがそろってリニューアルタイミングを迎えているというのもあります。

2000年代前半に開業した大型SCはのきなみ成功しました。それは立地がよかった、規模が適正だったという要因もありますが、「時期がよかった」というのも大きいです。建築工事が少ない時期に、大型施設をうまく安いコストで建設できたということです。開業後の収益性はそのあとのSCよりずっと良くなりました。

いまはその真逆で、コスト高の時期なので、新規開発はかなり困難です。
SCによって状況は異なるとはいえ、あまり大規模なリニューアルを仕掛ける時期でもないと言えます。
いまは「大規模な開発や改装」を仕掛ける時期ではなく、「部分改装」と「ソフトリニューアル」に重点的に取り組む時期と言っていいと思います。

チャットボットやSNS販促など、これまであまり取り組んでいなかった店では新しい取り組みにチャレンジするチャンスでしょう。
採用難もあり売場から人が減っていますから、より効果的な接客販売のためのスタッフトレーニングを見直す時期にもなっています。
ハード投資はなるべく押さえて、ソフト投資に取り組むチャンスといえます。

テナント専門店は施設内インプロで売上を最大化しよう

デベロッパーの役割は集客ですが、
テナント専門店の役割は入店、買上率を上げて売上を最大化することです。

とは言え、
テナント専門店の多くが施設集客に対する入店、買上率をあげきれていないのが実際です。
単純に施設内のお客様に自店(商品・サービス)を認知されていないのが大きな要因です。

テナント専門店が売上を最大化するには
まずは、SC全体の客数が最大化する売上のトップ10週に集中して、
各テナント専門店がインプロを強化することです。

とは言え、
業種特性もあり、個々のテナント専門店のトップ10週が必ずしも、
SC全体のトップ10週と一緒ではありません。

ですので、
個々のテナント専門店は、施設のトップ10週に加えて、
自店のトップ10週で売上を最大化をしていく必要があります。

そこでのポイントは
SC内での自店の打ち出し商品、サービスをどれだけ施設内のお客様に
認知・露出できるか、それを集中できるかにあります。

例えば、フードコートの全てのテーブル、椅子の背に、
一店舗の商品・サービス・イベントがシールで貼られ、
柱のサイネージや床面にも同様に告知されている状態です。

これらの場所は、これまで施設販促の告知として使われることが多いですが
個々のテナント専門店の販促告知の場として開放していくことが求められます。

SCの最大の強みは基礎集客があることです。
デベロッパーとしてもこのスペースを開放することで新たな収益源ともなっていきます。

ぜひ、まだ手付かずの床、壁、天井などをインプロスペースに変え、
各テナントの売上を最大化できる環境を整えていきたいものです。