自分たちは何者なのか

ある程度の歴史を重ねてきたSCにとっては、

「自分たちはどういうSCであり、今後さらにどうあるべきなのか」

というテーマはとても気になるテーマになってきています。
SCに限らず、こういう問いかけというのはあらゆる業界・あらゆる企業内で声が上がってくることです。

船井総研にも「船井流」という考え方があり、新しく入社する社員には経営に対する基本的な考え方が説かれています。

同じようにSCにおいても「自分たちは(他とは異なり)こういう経営・運営をしてきたSCで、これからもその伝統を守って地域に愛され入居者とともに発展していきたい」という考えを整理したいという声をいただくようになってきました。

私共は多数の独立系SCとお付き合いしてまいりましたが、地域地域で長く繁栄しているSCには、何かしらの信念というものがしっかりとあります。

それは対お客様であったり、対地域であったりと様々ですが、長期にわたる信頼関係を構築するために地道な努力を重ねている館というのは多いです。
外部の我々が知って驚くようなことも多いです。
その一方で、ある程度の年月とともに内部スタッフも入れ替わり、そういった歴史伝統が伝承されずに薄れていくことを危惧される声もあります。

いままで、多くのSCが競争激化とともに変容してきました。
しかし、これから先は競合があまり出店できなくなり、市場もあまり伸びない中での「安定」が訪れます。
これをじり貧と称することもできるでしょう。
いずれにしても大きな手は打ちにくいが、それは自分もライバルも同じこと。
大きな投資をおさえて、地道に改善を積み重ねてじわじわと経営改善する時期であるというのが、いまのSCに求められていることといえます。

みなさまのSC内部でも、ぜひ「自分たちの強みは、大切にしたいことは何なのか?」についてワークショップを開催してみることをお勧めいたします。

PDCAが回らない本当の理由とは?

PDCAがまわらない。

専門店チェーン店の現場でよく聞かれる言葉です。

実際にPDCAがまわっていない本当の理由を理解している本部は多くないのが実際です。

そもそも、正しいP(計画)予算が立てられていないことが多く、

正しい計画予算ができたとしても、AP(行動計画)にまで落とせていないとPDCAはまわりません。

 

つまり、計画的に商品を仕入れ(つくり)、計画的に売り切るアクションプランが肝になるのです。

 

専門店チェーンの計画予算は、既存店は昨対をベースに、

新店は既存の類似店舗の売上をベースに、伸び率をかけて算出することが多いです。

この伸び率に根拠がなく、現場の納得感が得られていないのも課題と言えます。

 

基本的に売上高の高い店舗が評価されることが多いのですが、

集客力の高い商業施設に出店している店舗の売上は高くなるのが一般的です。

 

とは言え、集客力の高い商業施設の家賃(月坪家賃)は標準店に比べて高くなり、

正しい評価をするには、商業施設の月坪売上=自店の月坪売上の差分を考慮する必要があります。

 

つまり、正しい計画予算の作成は、出店する商業施設のフロア(業種)の月坪売上と

自店の月坪売上から算出することが重要なのです。

 

そして、伸び率も同様で、商業施設の伸び率にあわせて算出が必要です。

チェーン店において、平均的に売れる商品が必ずしも自店でも平均的に売れるわけではありません。その商業施設の客層にあった商品がやはり一番売れるのです。

その商業施設においての適時、適品、適価、適量、適提案が求められるのです。

 

専門店チェーンの多くが3~5年(早い店舗では1~3年)で、店長が変わることが多いですが、店長が変わると売上が上がったり、下がったりすることが多いと思います。

売上があげられる店長は、出店する商業施設の集客に対する入店率、買上率、リピート率を上げられる店長ということになります。

つまり、商業施設の集客に対するシェアを最大化できるかがポイントなのです。

 

ぜひ、正しい予算設定と施設集客に対するシェアを最大化できるアクションプランの作成からPDCAをまわしていきたいものです。