チェーン店の出店パターン

チェーン店の出店パターンを多数見ていますと、骨格となる出店パターンは以下のようになっていると感じられます。

①横展開・・駅ビル・モール等規模感の近い館に水平展開する
②面出店・・ドミナント出店で特定エリアに集中的に出店していく
③線出店・・あるターミナルで出店し、その後沿線沿いに出店
④出たとこ勝負・・誘致された物件次第で出店
⑤総当り・・チャンスがあるたびどんどん出店して、不振店はすぐ撤退

①の方法論で店を増やした例は駅ビルブーム・大型モールブームで成長したナショナルチェーンなどです。これはとても分かりやすく、たとえば「200億円売れる館なら自社もこのくらい売れる」というルール化が容易でした。ここでの成功ポイントは「何億円、何店舗以上」などの「しきい値設定」にあります。

②はコンビニやスーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグなど、どちらかというと小商圏業態に適した出店パターンです。広告宣伝の効果を高めやすいという利点がありますが、出店する「物理的間隔」をミスると自社競合になってしまいます。

③は店舗数が10-20店舗程度のチェーン店でよくみられるパターンで、移動がしやすく管理しやすい利点がありますが、沿線沿いに自社店舗が増えつつ市場開拓が一段落すると、沿線丸ごと売上が踊り場を迎えやすいで、これはどのくらいの「スピード感」で出店するかというのが要点になります。

④は店舗数一桁のリージョナルチェーンでよくあるパターンです。お誘いがあったから出店してみた、成功したから続ける/失敗したから閉店した、ということの繰り返しです。「運だのみ」といえますが、運の強い店はこういう出店でも成功しています。

⑤はレアケースではありますが、急成長チェーンはだいたいこういう出店戦略になります。

このほか、居抜き物件ばかり狙うとか、古い商業施設の三等地ばかり狙うとか、特定のチェーンの出店ロケにコバンザメしていくなど、各社なりの出店成功パターンづくりをおこなっているチェーンが大多数です。

チェーン店側にとっては自社の力量に見合った出店戦略をとるべきですし、誘致する館側にとっては店舗側の出店戦略に合致してくるかどうかを見据えたうえで誘致活動をすることが適していますね。

現場スタッフと共に!効果的な固定客化の方法

最近、SCのテナント研修向けテキスト作成のために
優秀店舗の店長へのヒアリングをしています。

優秀店長の定義はいくつかあると思いますが
今回は下記4つの店舗の店長からヒアリングさせていただいています。

①売上伸び率が最も高い店舗
②新規会員数の伸び率が最も高い店舗
③会員の稼働率(利用率)が最も高い店舗
④接客力(MS評価)が最も高い店舗

上記4つの店舗に共通するのが、自力販促と固定客化になります。
そして、そのポイントは接客・サービスにありました。

SCデベロッパーの役割は集客で、テナント専門店の役割は買上率になります。
特に、駅ビル、駅ナカの場合は圧倒的な施設集客があり、テナント専門店は
不特定多数のお客様をより効率的に「さばく」ことで、売上を最大化してきました。

コロナ前までは、そこに出店するテナント専門店は自力集客しなくても、
チェーン内の一番店になることが多かったですが、
今回のヒアリングでわかったことは、
立地に関わらず、商売の基本は、やはり特定多数の固定化であり、
そのためには、対面での接客・サービスが最大の差別化になるということです。

接客を通じて、お客様に寄り添いながら店舗内での体験価値を高め次回来店予約をする。

例えば、観光客(インバウンド)であっても、1年後の来店のきっかけづくりを意識して
接客するということです。

また、固定客化の基本は、お客様の顔と名前と嗜好を覚え、スタッフ間で共有することですが
今回の店長はいずれもここを最も重視していたのが印象的です。

店舗毎の売上(利益)予算の達成は、ベースとなる常連様の存在が大きく
ここのシェアをどれだけあげられるかがポイントなのです。

店頭での声掛けから、入口としての新規会員数の増、接客による利用率の増が結果として
売上増へとつながり、好循環が生まれるのです。

とは言え、この好循環は現場スタッフの巻き込みがなくては実現しません。
ですから、優秀店長は何より、高い目標に対して、現場スタッフに寄り添い
モチベーションを上げ、自ら率先してお手本を示してマネジメントしていると言えます。

次回は、現場スタッフを巻き込みながら、目標達成するマネジメントのポイントについてお伝えさせていたきます。