タイムサービスは10分間がポイント

ショッピングセンター経営のヒント72:
タイムサービスは10分間がポイント

●タイムサービス is 一番商品認知

ショッピングセンターで全館イベントとしてタイムサービスをよく企画します。この全館イベントとして実施するタイムサービスには、全館の回遊性アップと賑わいづくりという2つの目的があります。特に多層階のSCでは、1階のお客様を2階・3階へ、大箱のSCでは食品SMに集まるお客様をテナント専門店へ誘導させることができるのです。

このSCでのタイムサービスは、創業祭や特御招待会のような大型催事に実施するのが効果的です。というのも、普段より圧倒的にお客様が多いので全体の賑やかしをしやすく、テナント専門店の存在をあらためて認知させるにも効率的だからです。

SCでのタイムサービスのポイントはただ一つで、それは商品出しにつきます。

お客様が並んででも買いたいと思ってもらえる商品がでるかどうかなのです。ここでのタイムサービスはあくまでもイベントですので、売上アップが目的ではないという理解が必要となります。普段自店を利用しないお客様に自店の存在を知ってもらう。そして、できたら自店の一番商品を知ってもらうことで、結果として、その後の客数アップにつなげる企画であるという理解です。

つまり、全館イベントでのタイムサービスは将来に向けた販促イベントなのです。

●タイムサービスにおけるテナント間の認識の違い

ですから、普段利用されないお客様でも一回試しに行ってみようと思ってもらえる思い切った商品出しが必要なのです。単純に言ってしまえば、自店の一番商品を原価を切って提供することなのです。(もちろん個数は限定で)ここまで話を詰めても、テナント専門店間でこの企画に対する認識の違いがあり、商品出しに大きく差がでることがあります。

ここが共同店舗運営の難しいところであり、結果として、ウチはあんなにがんばったのに、あいつのところは対した商品を出ていなかったということになりがちです。ですから、はじめて、このような形式(将来に向けた販促イベント)でのタイムサービスを実施するときには、原価を割った分の補填を全体販促費で補うことでスタートするのが良いようです。

つまり、商品出しをしてもらう際に、今回売価、原価、予定個数、補填金額を記入してもらい、最終的に赤字分を販促費として補填するようにするのです。販促費の補填があることで、テナント専門店の足並みが揃いやすからです。

この補填を前提にした場合の商品出しの条件が、10分でなくなる商品の提供なのです。

●「10分間×テナント数」が成功の秘訣

タイムサービスは業種・業態あるいは店舗によって、様々な手法がありますが、私がSCでオススメするのは、上記のような回遊性アップと賑やかしを第一優先としたタイムサービスです。

このタイムサービスでは、参加店舗を30分毎にまわしていきます。例えば10時にオープンして21時に閉店するSCでは、10時30分にスタートし、11時、11時30分、12時、12時30分・・・と閉店までで22店舗、2日間で44店舗、3日間で66店舗が可能です。

実際には、お店によって、一番客数のとれる希望時間に設定しますので、必ずしも30分毎ではなく、15分毎になる場合もあります。ただ、同一時間に2店舗はやらないというルールが必要です。当日はタイムサービスが始まる5分前にその都度館内放送を入れます。
(余談ですが、この館内放送を入れるときに競馬のファンファーレを使うとインパクトがあります。)
それと同時にプラカードをもった店舗スタッフが店頭に立ってメガフォンで声掛けし、お客様に並んでもらいます。予定人数になったら商品とお金を引き換えるといった流れをつくるのです。

告知から完売まで、その間あわせて10分がひとつの目処となります。

もしも10分で商品が完売しなかったら、その場合はズルズルひっぱらずに商品を片付けてしまいましょう。ここが実はミソなのです。全館イベントとしてのタイムサービスはお客様を並ばせるからこそ、全館に賑わい性がでるという本来の意義を忘れずにやりこんでいけば、タイムサービスでも自店の名物催事にしていけるのです。

これまであった、以前よくやっていた、そんな企画でも、ちょっとした違いで、お客様をワクワクドキドキさせることができるのです。そんな、お客様を躍らせるタイムサービスを、皆さんのお店でも挑戦してみては如何でしょうか?

こんなタイムサービスどうですか?といった質問があれば気軽にメールをくださいね。
また、こんなタイムサービスをやってみました。といった報告をもらえたら嬉しいです。

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船井総合研究所 第六経営支援部
丹羽英之

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