SC経営のヒント122:SCのカラーを出す

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
近頃、地元の名産品を全国に伝えていくことと地産地消という、一見正反対の
動きですが、双方の重要性を感じています。フードマイレージなどの運動も
広がり、提供者側は商品だけでなくその背景にある想いもうまく提供していか
なくてはなりませんね。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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■SCのカラーを出す
秋季になり、新規オープンするSCも増えてきましたが、どの施設も見ていて、
設備やテナントに一定の安心感があります。良い意味で、SC開発も安定してきた
ということかもしれません。
中国ではまだまだSCの数も多くなく、百貨店が街の中心地にあるというのが
一定のパターンですが、近年SCも増えてきました。
上海を例に挙げると、伊勢丹や第一百貨、新世界などの百貨店のほかに、
上海アウトレットや恒隆広場 Plaza66、Bund18、来福士広場などの特徴ある
SCも出てきました。
つくりでは日本に比べると異なる部分もあるのですが、そこで感じるのは、
非常に個性を持った館のカラーがあるということです。
恒隆広場 Plaza66は、66階と44階のオフィス棟を持つ商業施設ですが、
いつ訪れても客数が多いとは言えません。香港の置地廣場などを越える
高単価のスーパーブランドや高感度のセレクトショップ、専門店ばかりが
入っているため仕方がないのですが、そもそもそれらのスーパーブランドは
小売のために施設に入店しているというよりも、デベロッパーサイドとしては
オフィスの付加価値を上げるために入店させているといえます。
結果として上海の中では飛びぬけて高いオフィス家賃が取れているそうです。
一方、来福士広場や伊勢丹には大食代という大型のフードコートが入っています。
買い回りで来たお客様が気軽に立ち寄れるということで、恐ろしい集客力を誇って
います。クーポン制になっているため、支払いを一括で行うことができ、
ファミリーにも対応しています。テイクアウト専用の店もあれば、
イートインタイプの店、鉄板焼きなどで目の前で調理してくれる店など実に多彩
です。
それらの施設に共通するのが、館のカラーが一目でわかるということです。
日本ではコンセプトだけつくって、なかなか現場に浸透しない現状があります。
現場レベルでは、コンセプトをそもそも知らない、知っていても実現できない
など理由は様々ですが、今一度、館のカラーは何なのか、しっかり打ち出されて
いるかをデベ側、テナント側双方から再確認してみることも必要かもしれません。