SC経営のヒント121:マーチャンダイジングミックス

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、マーチャンダイジングミックスについてお話ししたいと思います。
SCの見直しにご参考になればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■マーチャンダイジングミックス
複合ビルの作り方の基本は、小売業における品揃えと同じく、
マーチャンダイジング・ミックスにあります。
すなわち、「集客はするが収益性の低い店舗」と「収益性は高いが
集客力が弱い店舗」を組み合わせることで、施設全体として集客しながら、
賃料収入という収益を同時に確保してゆくという発想です。
立地のいい都心の商業ビルでは、たいていは上から下まで賃料の最大化を
はかる構成が検討されます。この場合のMDミックスは、そのビル単独ではなく、
商業地全体の集客力があるという前提で組み立てられます。
一方で、郊外型のSCのように、単独立地で「立地の開拓」をしなければ
いけない場合は、同じSCの中に集客部門と収益部門を同時に入居させることで
商業施設としての成立と収益の向上を図るという発想になります。集客部門は、
いわゆる核店舗と呼ばれるものがそれに値し、スーパーマーケット、
ホームセンター、GMS(総合スーパー)などが該当します。
近年増えてきたレジャー複合施設の場合には、この集客部門は
シネマコンプレックス、ボウリング、温浴施設などがそれにあたります。
一方で、ゲームセンター、パチンコ、飲食などは収益部門となります。
このMDミックスで高収益を上げているレジャー複合の代表例が
ラウンドワンといえます。
集客部門は賃料が相対的に低く、デベロッパーにとっては大きな床面積が
安い賃料のテナントで占められてしまうことを嫌気する場合もありますが、
この集客部門がしっかりしているからこそ、収益部門で稼げるといえます。
集客力の弱いSCに欠落しているものの多くはこの集客部門であり、
また繁盛しているSCはこれらのバランスが良いといえます。収益性に劣る
SCの場合は、収益部門を可能な限り増加させることが必要になります。
こうしてみると簡単なことのように思われますが、依然としてこのMDミックスの
バランスの悪い商業施設が多く、「この店はどちらの役割なのだろうか、
何人集めれば集客部門としてよいのか」といった視点でSCを見直して
いただけますと、新たなる発見があると思いますよ。