SCリニュアルに向けてvol.1 リニュアル前に準備すること

ショッピングセンター経営のヒント87:

SCリニュアルに向けてvol.1 リニュアル前に準備すること

●事前に計画をたてておく

リニュアルの話が出る発端は、
だいたいが設備の老朽化や内装の陳腐化と同時期に業績の低下が起こるときです。
あるいは競合店ができるとの情報がある場合もそうですが、
リニュアルに着手してからオープンまで相応の時間がかかる場合もあり、
競合情報をつかんでからでは手遅れというケースが多いです。

するならば、競合開店の前にしなければ意味がありません。
できれば、開業から何年おきにはリニュアルすると計画してからスタートする必要があります。
あるお手伝い先ではほぼ5〜6年に1度は投資をするというスケジュールがあり、
これまでに3回もリニュアルを実行しています。

●まずは即時業績向上

それでは皆さんリニュアルしましょう、
でうまく進めばいいですが、たいていは各テナントの業績が低下して、
オーナーの投資意欲も萎えていることが大半です。
ですので、こういう場合はまずは即時業績向上から入ることが大事です。

具体的には、店長勉強会を開催するとともに、特別招待会や周年祭などの大型祭事を企画し、
これを成功させて弾みをつけます。
その後は継続的に個店の支援を実施し、
特に不振店はリニュアル後どうすべきか個別に相談に乗ってアドバイスしてゆきます。

●資金のめどはたっているか

お金がなければ何もできません。
なければ、出てくる方法を考えてねばなりません。
銀行が貸してくれればそれでいいという場合もありますが、

私が過去にかかわったケースでは、以下の様々な手法を考案しました。

◇第三者に土地建物を売却してリースバックに切り替えリニュアル費用捻出
◇別館を第三者に売却することで資金確保
◇主要株主の増資により調達

このほかには土地建物の証券化という方法もあります。
たいていこういう資金捻出については、
ご相談にのるたびに「そんなことが可能なのか?」と驚かれますが、
知恵を絞ればなんとかなるものですし、実際ウルトラCみたいなこともやっています。

●経営体制は今後も大丈夫か

社長の年齢、後継者の有無、
あるいは協同組合やそれに類する地元主導の場合、現役員がいつまで続けるのか。
リニュアルすると、その投資回収に相応の期間を必要としますから、
「リニュアルを最後に勇退する」なんてわけにはいかなくなります。

いつまで今の体制で経営を続けるのか?この問題は非常に大きいです。
特に地元企業の経営によるデベロッパー様には、永遠に若く元気ではなく、
しかも後継者が育ちにくいような環境で、出口をどこに見据えるのが適切なのか、
この課題から目を離さないでほしいと思います。

次回以降は、SCリニュアルの計画を考える上での実務に言及してゆきたいと思います。

●[次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.2 面積バランスは適正か
SCリニュアルに向けて vol.3 レイアウトはこのままでいいのか
SCリニュアルに向けて vol.4 MDにかたよりがないか
SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか

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競合対策

ショッピングセンター経営のヒント86:『競合対策

競合対策するうえで最大のポイントは前叩き(前準備)にあります。
よく様子を見てから手を打とうとされますが、これは最もダメなケースです。
お客様が自店から離れてしまってから、お客様を戻すことは至難の業です。
新しいお店は既存店舗よりも店舗規模、店揃え、アクセス、ロケーション
ともに優っていることが多いのが普通です。
では、どうすれば良いのか?☆ポイントは大きく3つあります。

☆ポイント1:食品強化

既存のショッピングセンターはその規模、ロケーションに関わらず、
核店舗の食品SMの売上構成比が高く、最も客数が多いのが普通です。
ですから、基本的にはこの核となる食品SM同士の戦いで勝てれば大丈夫なのです。

これらの食品SMの力が同等、または負けている場合でも
足元の商圏が厚ければ勝てるものです。
それは新規オープンの競合店は確かにアクセスが良いのですが、
店舗規模が大きく広域集客可能なロケーションに出店しているので、
足元商圏が必ずしも厚いとは言えないのです。

お客様は食品のようなデイリーユースのものは
結局のところ近くて便利なところで買いますので、
平日5日間の勝負に勝てれば十分に勝算はあるのです。
競合SCがオープンする前に、核となる食品SMの改装リフレッシュ、
増床リニューアルができるのがベストです。

そこまでできない場合は、商圏内で圧倒的に集客できる名物催事をつくることです。
火曜100均、金曜夕市、日曜朝市。
核となる食品SMにお客様が入っていれば、
テナント専門店の売上を維持することは十分に可能なのです。

☆ポイント2:固定客化

これまでのケースを振り返ると、競合SCが出店した際に売上を大きく落とすのは、
ティーンズ、ヤングをターゲットとしたアパレル、雑貨店のようです。
彼ら、彼女たちは店舗に限らず新しいものに流れる傾向にあり、
固定客化しづらい世代であるからです。

逆に、売上を維持伸ばしているのはミセスアパレルや理美容・サービスなどの
固定客化がしっかりとなされているテナント専門店なのです。
確かに業種特性はありますが、本屋さんでも、
お客様の顔と名前、趣味嗜好までしっかりと把握している店舗は
売上を落とすことはありません。

テナント専門店の多くは、よく言われるように、
上位20〜30%のお客様で自店売上の70〜80%を占めているようです。
つまり、この上位20〜30%のお客様だけを維持するだけでも、
売上が30%以上下がることはないのです。

そこで大事なことは、上位顧客の離反をなくすこと。
競合が出店する前に、
自店の上位顧客の中で最近こなくなっているお客様にアプローチすることなのです。

☆ポイント3:前叩きの迎撃販促

オープン初日売上の50倍、セール期間中売上の20倍が年商の目安となります。
これは何を意味するのか。新規オープンする店舗は、
この目標売上を達成するだけの在庫を持っているということです。

せっかく競合対策をするのであれば、
彼らの準備した在庫が売れてから仕掛けるのではなく、
売れ残るように仕掛けることがポイントなのです。

先に仕掛けることは自店の売上がとりやすいだけでなく、
競合となるSCにも大きな影響を与えることができるからです。
この迎撃販促では、これまでにない目標売上(最大日販)を掲げ、
これを達成するために周到に前準備することが大切です。

また、この最大日販に挑戦する過程でテナント専門店を一体化させるのです。
最大日販ができるときは、過去最高の客数となります。
この迎撃販促の成功は、テナント専門店の自信につながると共に、
お客様に自店の凄さを改めて認識してもらうことができるのです。

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