SC経営のヒント112:今こそ立地で差別化を図ろう!

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今日は、ごく当たり前の事ではありますが、立地戦略について
お話ししたいと思います。
出店にも時流がありますので、皆様も是非参考にしてみてください。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■今こそ立地で差別化を図ろう!
流通小売及びサービス業において、その業績は70%以上が出店立地で
決まるといえます。(出店戦略でミスをすると、商品力といった戦術面や
販促力といった戦闘面でカバーするのが非常に難しいのが実際です。
つまり、どこに出店するかで、業績がほぼ確定してしまうのです)
一昨年の1月に楽天主催の「新春カンファレンス」にお客様の紹介で
参加したときから、あらためて立地の重要性を痛感しています。この時、
楽天ショップに出店している既存店舗の平均的な伸び率が177%。
この新春カンファレンスに誘ってくれたお客様も商店街にある本店を
楽天ショップの拠点に変更。ピーク時の半分まで下がっていた売上が
ピーク時の売上まで戻ったときでした。
これまで、多くのローカルチェーンが商店街から郊外店に、そして
ショッピングセンターへと出店することで業績を伸ばしてきましたが、今は
ネットショップが最も可能性のある出店立地になったといえるでしょう。
日々現場、特に店頭を回っている中で既存店舗の売上を大きく伸ばすことは
非常に難しくなっています。しかし、企業全体でみた場合、時流にあった
立地を選び、そこに出店するということは非常に重要な戦略といえます。
有店舗での出店はイニシャル投資も大きく、ハードルが大きいですが、
ネットショップへの出店は比較的取り組みが容易といえます。ただ、
ハードルが低い分、競合との差別化が難しいともいえますが、勝ち方の
ルールを知れば十分に勝算があるのも事実です。例えば、同じネット
ショップでも、どこに出店するかで売上が大きく変わるということを
知ることが重要です。(私のお付き合い先でも楽天ショップと
ヤフーショップでは売上の差が2倍以上あるからです。)
そして、最近ではこの立地がモバイルに移行してきています。特に
音楽CD業界においてその動きは顕著で、着うたフルの売上は
CDシングルの売上を抜き、業界全体がその対応を無視できない状況に
あるようです。アイチューンを利用する客層の多くは、パソコンを
持てる世代、一方、モバイルで着うたフルを利用する客層は中高生などの
若年層のようです。今扱っている商品が若年層を対象にしている企業は
いち早くモバイルでの対応を検討することをオススメします。
いずれにしても、時流にあった商品を取り扱う以上に、
どこで扱うかといった立地戦略を早急に検討していく時代といえるでしょう。

SC経営のヒント111:建築コストの上昇

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、賃料上昇の引き金になっている、建築費の上昇について
お伝えしたいと思います。
デベロッパー様、専門店企業様へも今後のご計画に参考になればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■建築コストの上昇
ショッピングセンター開発は、この10年、比較的安定して安い建設投資額の
恩恵をうけて高い収益性を持つ事業になりました。
郊外型大型SCの標準工事の投資コストは時代によって、およそ以下のようになっています。
90年代前半 坪50万円前後
90年代中盤 坪35万円前後
90年代後半 坪25~30万円
00年初頭  坪25万円以下
このように、バブル崩壊後建築コストは下落の一途であり、バブル期の
半額で建物ができるとなれば、売上が低くても収益の上がるSCが
できるといった具合です。これがSCの大規模化への追い風となりました。
しかし、この1年で建築コストは上昇しています。統計をとったわけでは
ないですが、肌感覚では2~3割の上昇といえます。鉄骨などの素材価格の
上昇、その後ろにあるエネルギーコストの上昇と、中国の建設需要が牽引に
なっている、などいろいろな要因が複合的にあるようです。ゼネコンの
営業姿勢の変化もあるのではないでしょうか。
ともあれ、建築コストが増加するということは何を意味するかというと、
SCデベロッパーがテナントに賦課する賃貸料を引き上げねばならない
ということです。NSCであれモールであれ、かかったコストに見合う率の
賃料を頂戴するという各社の社内ハードルがあるわけですが、コストが
上がり率が同じなら額を上げねばしょうがないということになるわけです。
今後、モール出店店舗にとっては、新規はもとより既存店の契約更新に
際しても、賃料の上げ圧力が強まるということになります。この認識を
もって今後の成長戦略を再構築するべき時期に来ているといえます。

SC経営のヒント110:~商品ではなく、思いを売る~ KAPITALって知ってますか?

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、人気上昇中のジーンズショップ、KAPITAL(キャピタル)さんの
お話をしたいと思います。
私が今までに行ったお店の中でも、特に思いがスタッフさんの接客と
店づくりに反映をしており、大変印象的でした。
皆様も是非参考にしてみてください。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■~商品ではなく、思いを売る~ KAPITALって知ってますか?
先日ある友人の紹介で、東京・恵比寿にある「KAPITAL」という
ジーンズショップに行きました。キャピタルは岡山に本社のある
ジーンズメーカーで、素材・製法にこだわる本格ジーンズを提供する会社です。
http://www.nextone.jp/no050331/sr/sr01.html
このメーカーが、卸・OEMから最終消費者に向けて直接販売をスタートさせ、
現在は岡山、兵庫、京都、愛知、東京、福岡と全国11店舗を展開しています。
http://www.kapital.jp/shop/index.html
このキャピタルジーンズのファンは熱狂的で、例えば山口からわざわざ
岡山まで足を運ぶそうです。私が行った恵比寿にはDuffle with KAPITAL店、
LEGS店、KAPITAL店と半径300m圏内に3店舗があります。私が何より驚き、
共感したのは、その商品とスタッフのレベルの高さです。
まさに、ジーンズにかける熱い思いを凝縮した商品とスタッフだったのです。
だから、それを提供する店づくりも非常に特徴的です。特に、
私が実際にジーンズを買ったDuffle with KAPITAL店は、なんと1Fで
靴を脱いでお店に入るスタイル。商品の展示の仕方もカジュアルショップと
いうよりは呉服屋さんといった感じで、お客様もスタッフから座って接客を
受けるのです。なぜ、靴を脱ぐかという質問に対して、そのほうがお客様と
ゆっくりお話ができるからだという答えが返ってきました。本当に
自信のある良いモノを徹底的に納得してもらうという姿勢を感じました。
また、私が行った日は偶然にも会員さん向けのシークレット企画の日でした。
送られたDMに添付されたキャピタルのキャラクター塗り絵を持ってこられた
お客様に特典があるという日だったのです。なぜ、ジーンズショップで
塗り絵といった疑問はありますが、こういった遊び心を忘れないという
姿勢も大切です。
モノ余りの時代に最も大切なのは、そのお店に本当に良いものをお客様に
伝えたいというメッセージがあるかどうかです。共感・共鳴の時代に
「KAPITAL」のようなメッセージショップが増えることを期待したいですね。