SC経営のヒント111:建築コストの上昇

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、賃料上昇の引き金になっている、建築費の上昇について
お伝えしたいと思います。
デベロッパー様、専門店企業様へも今後のご計画に参考になればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■建築コストの上昇
ショッピングセンター開発は、この10年、比較的安定して安い建設投資額の
恩恵をうけて高い収益性を持つ事業になりました。
郊外型大型SCの標準工事の投資コストは時代によって、およそ以下のようになっています。
90年代前半 坪50万円前後
90年代中盤 坪35万円前後
90年代後半 坪25~30万円
00年初頭  坪25万円以下
このように、バブル崩壊後建築コストは下落の一途であり、バブル期の
半額で建物ができるとなれば、売上が低くても収益の上がるSCが
できるといった具合です。これがSCの大規模化への追い風となりました。
しかし、この1年で建築コストは上昇しています。統計をとったわけでは
ないですが、肌感覚では2~3割の上昇といえます。鉄骨などの素材価格の
上昇、その後ろにあるエネルギーコストの上昇と、中国の建設需要が牽引に
なっている、などいろいろな要因が複合的にあるようです。ゼネコンの
営業姿勢の変化もあるのではないでしょうか。
ともあれ、建築コストが増加するということは何を意味するかというと、
SCデベロッパーがテナントに賦課する賃貸料を引き上げねばならない
ということです。NSCであれモールであれ、かかったコストに見合う率の
賃料を頂戴するという各社の社内ハードルがあるわけですが、コストが
上がり率が同じなら額を上げねばしょうがないということになるわけです。
今後、モール出店店舗にとっては、新規はもとより既存店の契約更新に
際しても、賃料の上げ圧力が強まるということになります。この認識を
もって今後の成長戦略を再構築するべき時期に来ているといえます。