SC経営のヒント123:閉店セールで過去最大の集客を実現!?戦略的なチラシのまき方

<目次>
1、ご挨拶
2、上手な閉店セールの仕掛け方
 1、最大商圏にチラシをまき、新規客の獲得を
 2、チラシは回数と枚数を優先
 3、閉店セールはオープンセールの事前告知
 4、事例

1、ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、丹羽英之でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。

お付き合い先のショッピングセンターで8月30日から「店舗改装のための
閉店セール」が始まりました。8月30日から9月2日(4日間)の第1弾の売上は、
昨年対比で(・ファッション 378.1% ・フード 184.1%
・サービス 122.0% ・ライフグッズ 328.8% ・レストラン
185.8%)。8月30日から9月10日までで全店で昨年対比160%、
その後も140%で推移しています。

今回は4回にわたって閉店セールの上手な仕掛け方についてお伝えします。
1・2回はデベロッパーの立場での上手な閉店セールの仕掛け方、
3・4回はテナント専門店の上手な閉店セールの対応についてお伝えします。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之

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2、上手な閉店セールの仕掛け方

閉店セールは店舗にとってオープンセールの次に客数を集められる
大切な企画です。そのため、閉店セールは業種・業態を問わず、
即効性のある販促企画として繰り返し実施するところが多く、店舗改装のための
閉店・売り尽くしというタイトルで打つことが多いのが実際です。

完全閉店でない、店舗改装のための閉店セールの場合、下記のような
原理・原則を知っていると効果的と言えます。

1、最大商圏にチラシをまき、新規客の獲得を
オープン以来、周辺に競合店舗が出店し、ピーク時の売上より下がっている
SCが多く、売上の落ち込みと共に販促経費を削減。商圏が小さくなっている
こともあり、チラシ配布枚数がオープン時に比べて減っているSCが大半です。
閉店セールはオープンセールの次に大儀ある販促企画であり、
普段のチラシ販促より集客力が高いので、これまでの最大商圏にチラシを
まくことが重要です。

つまり、ピーク時の商圏にあわせてチラシをまくことで、過去に自店を
利用していたお客様の再来店、途中、チラシが入らないのでこなかったお客様の
来店を促すことが可能となります。

2、チラシは回数と枚数を優先
一般的にチラシの優先順位は、回数、枚数、サイズ、色の順番ですが、
先のように閉店セールの場合だけは回数より枚数を優先することが大切です。
ただし、期間中に3回はチラシをまくことが必要となります。
(オープン1弾/本日スタート、2弾、最終弾/最後の●日間)

限られた販促予算を効果的利用するために、サイズと色を落とすことで回数と
枚数を優先することが大原則と言えるのです。例えばB2でななくB4で、
色もカラーでなく、2色あるいは一色とするのです。

3、閉店セールはオープンセールの事前告知
店舗改装のための閉店セールは、その後のリニューアルオープンセールの
事前告知を兼ねていることを忘れてはいけません。つまり、
リニューアルオープン後の売上と客数は、この閉店セールでどれだけお客様を
集めることができるかで、ある程度予測ができるといっても
過言ではありません。

ですから、リニューアルオープンしてからの販促を強化するより、閉店セールに
重きをおいて販促計画をたてることが非常に大切なのです。

4、事例
下記は’4日間の速報’と題して送られてきた販促担当者様からのメールです。
お客様の入り状況がイメージできますでしょうか。

お客様の入りはこの4日間はすさまじかったです、特に日曜日は駐車場が
パンクしかけました。元旦セールよりも入った感じです。
パンやさんとかは製造のキャパを完全に越えてしまったようです。
雑貨屋さんとかもすでに空の棚が・・・

・チラシを最大商圏にまいた効果で新規のお客様が多かったようです。
・完全閉店(撤退)と勘違いしているお客様も多いようです。そのための需要も
もしかすると多いかもしれません。チラシに改装の件、もっと大きく打ち出し
しなければいけないかも。
・閉店日についての問い合わせも多いのですが現時点では各店の
工事乗り込み日が確定していないので、いまだ閉店日を入れるのは危険です。
現在は売りつくし商材無くなり次第と、ぼやかして応対しておりますが。
・9月3日からは少し落ち着くと思います、が。

次回も引き続き、上手な閉店セールの仕掛け方 その2をお伝えいたします。

>>SC経営のヒント125:上手な閉店セールの仕掛け方 その2

SC経営のヒント122:SCのカラーを出す

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
近頃、地元の名産品を全国に伝えていくことと地産地消という、一見正反対の
動きですが、双方の重要性を感じています。フードマイレージなどの運動も
広がり、提供者側は商品だけでなくその背景にある想いもうまく提供していか
なくてはなりませんね。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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■SCのカラーを出す
秋季になり、新規オープンするSCも増えてきましたが、どの施設も見ていて、
設備やテナントに一定の安心感があります。良い意味で、SC開発も安定してきた
ということかもしれません。
中国ではまだまだSCの数も多くなく、百貨店が街の中心地にあるというのが
一定のパターンですが、近年SCも増えてきました。
上海を例に挙げると、伊勢丹や第一百貨、新世界などの百貨店のほかに、
上海アウトレットや恒隆広場 Plaza66、Bund18、来福士広場などの特徴ある
SCも出てきました。
つくりでは日本に比べると異なる部分もあるのですが、そこで感じるのは、
非常に個性を持った館のカラーがあるということです。
恒隆広場 Plaza66は、66階と44階のオフィス棟を持つ商業施設ですが、
いつ訪れても客数が多いとは言えません。香港の置地廣場などを越える
高単価のスーパーブランドや高感度のセレクトショップ、専門店ばかりが
入っているため仕方がないのですが、そもそもそれらのスーパーブランドは
小売のために施設に入店しているというよりも、デベロッパーサイドとしては
オフィスの付加価値を上げるために入店させているといえます。
結果として上海の中では飛びぬけて高いオフィス家賃が取れているそうです。
一方、来福士広場や伊勢丹には大食代という大型のフードコートが入っています。
買い回りで来たお客様が気軽に立ち寄れるということで、恐ろしい集客力を誇って
います。クーポン制になっているため、支払いを一括で行うことができ、
ファミリーにも対応しています。テイクアウト専用の店もあれば、
イートインタイプの店、鉄板焼きなどで目の前で調理してくれる店など実に多彩
です。
それらの施設に共通するのが、館のカラーが一目でわかるということです。
日本ではコンセプトだけつくって、なかなか現場に浸透しない現状があります。
現場レベルでは、コンセプトをそもそも知らない、知っていても実現できない
など理由は様々ですが、今一度、館のカラーは何なのか、しっかり打ち出されて
いるかをデベ側、テナント側双方から再確認してみることも必要かもしれません。

SC経営のヒント121:マーチャンダイジングミックス

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、マーチャンダイジングミックスについてお話ししたいと思います。
SCの見直しにご参考になればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■マーチャンダイジングミックス
複合ビルの作り方の基本は、小売業における品揃えと同じく、
マーチャンダイジング・ミックスにあります。
すなわち、「集客はするが収益性の低い店舗」と「収益性は高いが
集客力が弱い店舗」を組み合わせることで、施設全体として集客しながら、
賃料収入という収益を同時に確保してゆくという発想です。
立地のいい都心の商業ビルでは、たいていは上から下まで賃料の最大化を
はかる構成が検討されます。この場合のMDミックスは、そのビル単独ではなく、
商業地全体の集客力があるという前提で組み立てられます。
一方で、郊外型のSCのように、単独立地で「立地の開拓」をしなければ
いけない場合は、同じSCの中に集客部門と収益部門を同時に入居させることで
商業施設としての成立と収益の向上を図るという発想になります。集客部門は、
いわゆる核店舗と呼ばれるものがそれに値し、スーパーマーケット、
ホームセンター、GMS(総合スーパー)などが該当します。
近年増えてきたレジャー複合施設の場合には、この集客部門は
シネマコンプレックス、ボウリング、温浴施設などがそれにあたります。
一方で、ゲームセンター、パチンコ、飲食などは収益部門となります。
このMDミックスで高収益を上げているレジャー複合の代表例が
ラウンドワンといえます。
集客部門は賃料が相対的に低く、デベロッパーにとっては大きな床面積が
安い賃料のテナントで占められてしまうことを嫌気する場合もありますが、
この集客部門がしっかりしているからこそ、収益部門で稼げるといえます。
集客力の弱いSCに欠落しているものの多くはこの集客部門であり、
また繁盛しているSCはこれらのバランスが良いといえます。収益性に劣る
SCの場合は、収益部門を可能な限り増加させることが必要になります。
こうしてみると簡単なことのように思われますが、依然としてこのMDミックスの
バランスの悪い商業施設が多く、「この店はどちらの役割なのだろうか、
何人集めれば集客部門としてよいのか」といった視点でSCを見直して
いただけますと、新たなる発見があると思いますよ。