【SC経営のヒント568】自動配膳ワゴン

船井総研の山本匡です。

テクノロジー系ベンチャーの方々と情報交換をしていますと、
いろんな新しい取り組みを知らされます。
先日は、レストラン向けに配膳ワゴンを動かす装置について議論しましたが、
既存のものは特定のマーキングに沿ってしか運転できないため、
前が詰まると渋滞したりと、あまり使い勝手がよくない状況です。

これを回避して、さらに高度な操作ができるようになるためには、
空間全体をマッピングして、その位置情報に基づいて
運転するシステムができるとのこと。
ただしマッピングには結構な時間と費用もかかるようで、
実用化といえる状況になるにはまだ時間がかかるようです。

流通店舗系のシステム開発は、
主として製造や物流ステージで活用されるものが中心で、
店舗レベルで活用されているものは
おおむねローテクなものばかりです。
POSなど管理システムは多少進歩しましたが、
たとえば巨大な店舗での館内物流を自動化させるというのは
実現していませんし、清掃ロボットにしても
やっと今後導入されるかどうかという状況です。
これも導入される施設はまだ限られた状況といえるでしょう。

さらには調理となると、人力によらずに料理を提供するには至っていないのが現状です。
しかし、これもたこ焼きを焼いたり、コーヒーサービスをするロボットなどが
出来つつありますので、時間とともに少しづつボトルネックを解消してくる可能性があります。

店舗のキャッシュレス化と同様に、こういった自動化システムが進化してくると、
より少ない人員で運営できる業態が増えてくる可能性があります。
システム化&ロボット化のメリットは人員削減だけではないのですが、
どちらかというとそのニーズが現状強いように思えます。

amazon goは省人力化を主目的としたものではなく、
顧客がレジに並ばなくてもいいようにという「顧客満足」のための取り組みです。
一方で中国などの無人コンビニは省力化のためのもので、
これらは結果としてはあまりうまくいってないようです。
人がいない店では売上も上がらないというのが現状です。

新しい技術が現状の課題を即解決するほど簡単な話ではないですが、
人手不足・売上減少に対応するためには省力化のための
ロボット開発は今後も進むと思いますので、
引き続き調査してゆきたいと思います。

【SC経営のヒント567】直販店舗の展開

船井総研の佐伯です。

アパレルのSPAの流れから始まり
製造小売業という業態が勝つトレンドが
多くの業界で起きています。(つまりメーカーが販売までする)

かつて家電小売といえば強者でしたが
水分が保たれるトースターとして話題のバリュミューダを展開している企業では
ブランドショップを展開していますし
モバイルバッテリーのAnkerも渋谷パルコに出店しています。
ちなみにAnkerはアマゾンでの販売にほぼ特化して業績を伸ばしてきました。

アップルストアの成功の影響もあるとは思いますが
今後こうした出店を検討する企業が増えていくことでしょう。
メーカーはトラフィックが多いところに自分たちの
商品をよく宣伝できる店舗を持つことで
自社の製品の認知度を上げて、販売することができます。
今まではその場でしか買えず、物流網含めハードルが高かったですが
現在は基本的にはウェブで販売することができるようになっています。

そのためメーカーとしては純粋なコンセプトショップというのは
なりたつということでしょう。ただアップルにせよ
よいお店を作るところは坪売上でみても圧倒的に売っています。

こうした時流を踏まえると
@コスメの原宿店ぐらい展開をしたら
メーカーもしょうがないな・・・。これだけ売るから・・・と相手をせざるを得ないですが。
基本的には販売までできるメーカーが強くなるのが時流のようです。

今はいいですが
ヨドバシカメラなどの大型店舗も新しい手を売っているように
化粧品小売も化粧品を核に
賃貸ビジネスなど新しい方向へ
広がっていくことが想定されます。

【SC経営のヒント566】@cosme TOKYOに見るリアル×デジタル店舗とは?

船井総研の藤田です。

化粧品市場は経済産業省『生産動態統計』によると、
2017年の出荷額は1兆6,325億円となっており、
成熟業界ではあるものの、インバウンド需要の増加により、
市場は伸び続けています。

化粧品のサブスクサービスが始まったり、ニトリが化粧品業界に参入したりと、
新しいニュースは絶えません。

そんな中、年明けに大規模化粧品小売店舗である「@cosme TOKYO」がオープンしました。
オープン日である1月10日に視察に行ってきました。

初年度売上目標は40億円、約400坪で、参加ブランドは200以上です。

店作りにおいて面白いと思った点が以下の3点です。

①@cosmeで蓄積したデータをVMDにふんだんに活用
⇒@cosmeの一番の財産・強みは、口コミの圧倒的なデータ量です。
 デパコスも、バラエティコスメも、プチプラも、全て同じフロアで
 各カテゴリのランキング別に並んでいるのが印象的でした。
 価格もブランドもバラバラです。
 まさに@cosmeのHPの世界に入り込んで、ランキングを見ているようでした。
 
 細かく口コミの数や、店員の手書きPOPが掲載された化粧品は
 思わず手にとってしまいます。ネットとリアルの融合ですね。

②サイネージの設置数多
⇒レジの上は全てサイネージで覆われ、レジにて直前に買われたものや、
 ランキングの変動がリアルタイムで映し出されます。
 まさに生きた店舗です。
 「今あれが売れているんだ~」と、ぼーっと見てしまいます。
 何が売れているか、@cosmeユーザーが一番知りたい情報ですね。
 
 また、各ブランドのコーナーもサイネージを多用していて、
 店全体の雰囲気に活気があります。
 意外と百貨店だとサイネージを使っている店舗(ブランド)は少ないのです。

③「体験」できる仕掛け
⇒ブランドと消費者を繋げる一つの工夫だと思います。
 各所に体験を促す仕掛けがあります。
 (1)ブランドに貸し出すイベントスペースを完備
    ※当日は男性の美容部員がメイクアップ教室をやっていました
 (2)タレントやインフルエンサーがライブ配信するスタジオ
    
 (3)肌診断ができる設備
   ・・・・等々

新しい形の店舗でしたが、
アイスタイルの代表が言うには「しっかりと小売店としての収益を出す」とのことです。

化粧品はどこでも同じ品質で、同じ価格で購入できます。
「選ばれる店舗」になるためには、
自社の強みは何かを正しく認識し、消費者の変化にどんどん適応していける店舗ではないでしょうか。