高粗利率店舗が実践する売上アップの方程式とは?後編

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新しい顧客体験の創造をテーマに、マーケティング、マネジメントの両面から期待される成果を出し続けるプロ店長の事例をシリーズでお届けしているこのメルマガですが、

前回は「ベストな商品をベストなポジションで売る」という相乗積の高い商品の見つけ方・売り方についてのについてお伝えしました。

今回はそこから一歩踏み込んだお話をできればと思います。

 

まず平時の販売方法としては、べストポジションで相乗積の高い商品を展開すること。その際にできるかぎりセットコーディネートの提案をすることで、相乗積の高い商品を軸に買上げ点数が上がっていく、という定石があるということは前回お伝えしました。

 

それを踏まえて、さらに商品をより売っていくためには、相乗積の高い商品を軸にした販促企画を、適切な時期に実施することが重要となります。

ショッピングセンターのテナント店舗で一番成果が出やすいのは、「施設の一番売れる時に、相乗積の高い商品を軸にした販促企画を打つ」ということになります。

 

例えば施設のポイントキャンペーン等の時期に合わせて、相乗積の高い商品が入ったギフトセットを売る、というのはドンピシャの施策といえます。

 

つまりまとめると、売れるときに売れる商品を売るという原理原則から考えて、

①まずは相乗積の高い商品を知ろう

②それをべストポジションで売ろう

③できればセット商品を組もう

④そして売れる時を知ろう、という販促計画の流れになります。

 

さらに④は施設ごとに時期や打ち出し方が異なるので、それに合った店舗オリジナル販促企画を打つ必要があることになります。

満遍なく売ることである程度まで売上は伸ばせますが限界があり、店ごとにチェーンの平均とは違う傾向が必ずあるはずです。

 

成績の良いお店は、より売れる商品を、売れる時期に、売れる施策を売っているわけですが、ここで事例を紹介します

 

ある雑貨チェーンでは分析の結果、商品A、商品B、商品C、商品D、商品Eの順に相乗積の高い商品であることが分かっています。

さらに、そのチェーンのどの店舗でも、年間でもっとも当たっている企画が「ギフトセット」であることが分かりました。

そこで、相乗積の高い商品が入った「選べるギフトセット」を、施設のキャンペーンと自社イベントの時期に合わせて年4回企画しています。

具体的には、自社の「決算セール」、施設の夏セールで「夏祭りキャンペーン」、施設の冬セールの「初売り」、そして残り一回は「店舗の周年祭」の年4回です。

 

人気企画と施設のトップ10週を合わせた結果、なんと年間売上の約10%をこのギフトセットキャンペーンが占めています。

 

「売れている商品」を「売れている場所」で、「売れている企画」に作り替えて「売れるシーズン」に売ることが重要であり、

ぜひ今一度、自店の過去の販促企画を振り返って分析していただきたいです。

 

船井総研では、こういった現場の店長が一番把握しているであろう「各店の現場感」を、「適切な商品設計・適切なアプローチ」へ落とし込みをするためのプロ店長実践研修を行っています。

実践研修のコンテンツ詳細が気になる方はぜひお問合せください。

 

 

高粗利率店舗が実践する売上アップの方程式とは?前編

皆さん、こんにちは。

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新しい顧客体験の創造をテーマに、マーケティング、マネジメントの両面から期待される成果を出し続けるプロ店長の事例をシリーズでお届けしているこのメルマガも、今回で7本目となりました。

 

今回は、「適切な品揃えとその配置」についてお伝えしたいと思います。

 

店舗ごとの売上のバラつきばらつきをなくして売上を上げていこうと考えたときに、重要なのは「ベストセラー商品をベストポジションで展開する」ということになります。

では、ベストセラー商品とは何なのでしょうか?

売上が高い商品、もしくは点数が多い商品でしょうか?

ここでキーワードとなるのは「相乗積」の高い商品です。

 

小売りや流通業のみなさまはよく使う考え方とはおもいますが、

相乗積とは、部門(商品)ごとの利益貢献度のことで、

売上構成比×粗利率=相乗積となります。(つまり、相乗積の和が粗利率になりますね。)

 

 

我々は常々、トップラインを上げようと申し上げていますが、とはいえトップラインを上げようとするあまり安売りをすると、利益は出にくくなります。

売上計画以上に利益計画を達成することが最重要ですから、単純に売上構成比の高い商品をうるのではなく、

相乗積が高いかつ、伸び率が高い商品を分析して、年間・シーズンの販売計画に落とし込んでいくことが重要です。

 

例えば、定番のベストセラー商品を、そのシーズンの相乗積の高い商品とセットで売り出すことはできていますか?

今の季節であれば、冷感特集でのセット売りなどがよくあるかと思いますが、

夏の定番人気商品と、相乗積の高いものを、限定コーナー、セットコーデコーナーといったベストポジションに陳列し、セット売りしていくことで、売上げの最大化が見込めます。

 

 

店舗によっては、相乗積トップ商品群の全てをベストポジションに置けないこともあるかと思います。そのような場合は、POPやイーゼル、サイネージなどで構いませんので、人通り多い店頭などに置きましょう。

 

全店共通した、平均的に売れている商品は、本部やSVから情報の提供があると思います。まずはその商品の強化が重要となりますが、

ここで「プロ店長」の腕の見せ所となるのは、「自店独自の商品分析」です。

チェーン全体で売れるものと、店舗で売れるものは、必ずしもイコールではありません。チェーンとしての全体方向性を踏まえながらも、自店独自の相乗積の高い商品を分析して、べストポジションで売っていくことが重要です

 

できれば1週間ごと、遅くても2週間に1回のペースで自店分析をし直して、細かく商品とポジションの調整をおこなってください。

特にシーズン商品は変化が大きいので、細かくPDCAを回していくことで、他店との大きな差となります。

 

船井総研では、こういった現場の店長が一番把握しているであろう「各店の現場感」を、「適切な商品設計・適切なアプローチ」へ落とし込みをするためのプロ店長実践研修を行っています。

実践研修のコンテンツ詳細が気になる方はぜひお問合せください。

フードホールの物販と飲食

多くのSCや駅ビルでは、物販店舗と外食店舗はそれぞれ別々にゾーニングされています。 レストラン街やフードコートが設けられているのが一般的となります。 ところどころ物販の一角にカフェがあったりしますが、おおむね外食と物販は別のゾーンに分けられています。

一方で、フードホールのような業態では、物販と外食をまぜこぜにゾーニングしている例もあります。

原理原則をいいますと、物販と外食はゾーンをわけたほうが上手くいきます。 弊社創業者・船井幸雄からは、食事をする=心理的開放行動と、買い物をする=心理的閉鎖行動では心の状態が違うからだと学びました。買い物をするところはなるべく人から見られたくない、だから吹き抜けのまわりの物販売場は効率が下がることが多いとも学びました。 この原理原則は、自分が過去に数々の事例に関わった限りにおいて正しいと思います。

一方で、シカゴや欧州にあるEATALYの大型店のように、物販飲食まぜこぜながら成功している店もあります。 現場を見て感じたのは「わかりやすい統一された世界観」で店が作られていて「カテゴリー分けが明確」な場合は、そういった取り組みが可能になるのではないかということです。小さなテーマパークのようなもので、モノやレストランをならべただけではなく、全体としての世界観が分かりやすく感じられるようになっている場合にはうまくいきそうです。私の見たイータリーは2階建てで1000坪くらいありましたが、全体観はもとより、各コーナーが肉、パスタ、チーズ、ワイン、といった分かりやすいもので編集されていて、物販売場の前に外食客席がありますが違和感なく溶け込んでいました。

こういった業態はフードホールと言われたりします。フードホールの解釈は様々で、最近では夜型飲食需要に対応している店が多いフードコートをフードホールと呼んでいる場合もあります。昔の屋台街のイメージであったり、あるいはフードコートみたいなのですが商品や店舗が夜型中心だったりします。

そういった業態定義はともかくも、物販と飲食は原則別々にゾーニングするのが安全で、まぜこぜにしたい場合は明確なわかりやすい世界観を定めて、MDも内装も制服などあらゆる部分まで統一感をもった店にすることが成功要因といえそうです この考えだと、たとえば食物販と食物販の間にカフェが挟まって顧客回遊を分断しているような場合は、カフェをやめて物販にしてつながりを持たせるなどの工夫が出来るようになります。 大型店の売上アップの基本は回遊性の向上です。それは通路を広くするとか見通しを良くするといったハード面だけではなく、商品のつながりができていることも大切です。