チェーン店の未来を左右する「プロ店長とは」

① 店長の「経営者化」が求められる時代

近年、小売業界では出店スピードが加速し、特に勢いのあるブランドでは新規出店が続いています。しかし、店舗数の拡大に対して「優秀な店長の量産」が追い付かず、現場では様々な問題が起きています。ブランド力や商品力で勢いに乗っているうちは良いものの、消費者に飽きられた瞬間、立て直しが難しくなるのが現実です。そこで問われるのが、店長の「経営力」なのです。

店長は単なる「店舗運営者」ではなく、いかに「店舗経営者」として現場を引っ張っていけるかが鍵になります。現場をまわっていてよく目にするのは、店長が変わった瞬間に、業績が大きく上下するという現象です。例えば、A店ではある店長が就任して半年で前年比120%の売上を達成した一方で、その店長が異動し、新任者に替わると半年で売上が90%に落ち込んだというケースもあります。逆に、B店では長く低迷していた売上が、ある店長の就任後に一気に上昇したという事例も存在します。


② 店長交代が業績を左右する理由

この違いは何なのでしょうか?業績の良い店長に共通するのは、まず「立地(客数と客層)」を商品データと紐づけて深く理解し、「適時、適品、適価、適量、適提案」していること。そして、情報のキャッチアップが早く、スタッフへの落とし込みも迅速です。何より、高速でPDCA(計画・実行・評価・改善)を回していく実行力が際立ちます。


③ 「売れる環境」を次世代へ引き継ぐ力

優秀な店長ほど、自分の異動後も店舗が安定して回るよう、スタッフ教育や売場の構成、接客マニュアルなどを整備しておくものです。こうして「売れる環境」を次の店長に引き渡す意識が、チェーン店の持続的な成長に直結します。

重要なのは、業績を伸ばす「原理原則」は不変であるという点です。だからこそ、店舗ごとに成功モデルを確立し、それを横展開できる体制づくりが求められます。


④ 店長にしかできない「戦略的活動」へのシフト

また、店長は本部や施設デベロッパーへの要望・調整、他テナントとの連携企画など、自らが動いてこそ実現できる「戦略的活動」も担うべきです。そのためには、日常業務の一部をサブマネージャーに移譲し、自分はより重要な時間に集中する必要があります。

チェーンの未来を担う店長とは、単なる「運営者」ではなく、地域・顧客・チームを動かす「経営者」であるべきなのです。


まとめ

チェーン店の持続的な成長は、商品や立地だけでは成し得ません。カギを握るのは、現場を動かす「店長力」です。優れた店長は、戦略と実行を両立し、現場を進化させ続けます。だからこそ、今こそチェーン全体で「経営者型店長」の育成と支援に注力すべき時なのです。