SCリニュアルに向けてvol.2 面積バランスは適正か

SC経営は、限られた不動産を有効に活用して、
最大の売上・収益を生み出すことが目標になります。
ある部門が不振である場合、改善をはかるために最初に疑うことは、
業種別面積バランスです。

たとえばフードコートが不振であるとします。なぜ不振なのか現場で意見を伺うと
「味がまずい」「サービスが悪い」「オペレーションが悪い」
「店が汚い」「従業員の質が悪い」はては「オーナーがやる気がない」などなど、
様々な意見を頂戴します。でもこれらははたして「原因」なのでしょうか?

私はこれらを「結果」だと思います。
集客力が不足し各店舗の売上が不振である、
その結果人を減らしたり食材原価を下げたりして、現場が荒れてくるのです。
売れない店だから人も育たず、オーナーも元気がなくなるのです。

では原因はなんなのでしょうか。
これまでお手伝いしてきた経験からいえることは、
「フードコートも含めた飲食の面積がSCの集客力に比較して大きすぎる」ことが原因であり、
その結果弱い店から不振になっていってしまうのです。
ほとんどの原因は場所が悪いか、大きすぎるかのどちらかです。

過去に調べたところでは、
いわゆる郊外型SCで飲食部門の売上が総売上の10%を超えているところは、まずありません。
(駅ビルや観光型や都市型は異なります)
フリースタンドの郊外型SCでは、飲食売上は6%程度になっているところが多く、
飲食が比較的強いSCでも9%程度です。

にもかかわらず、売場面積の構成比が10%以上になっているSCがあります。
たとえば4000坪のSCで200坪程度のフードコートと、飲食が50坪×5件、という具合です。
そして、関係者の意見を聞くと、
「飲食が不振なので充実させたい」という意見が出てくることが多いのです。
「成り立たないけれど充実したい」という前提に立った議論ではなく、
「今よりいい店を連れてくれば成り立つのではないか」
という予断にもとづいた議論であることがほとんどです。

バランスを欠いた施設であるがゆえに、
不振部門が生まれてしまったのですから、
バランスを適正化することが大事になります。

このように、様々な部門の面積バランスに関しての検証をまず実施し、
部門ごとに何店舗で構成するのか、
ということをまず考えることが手始めに大事なことになります。

●[次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.3 レイアウトはこのままでいいのか 
SCリニュアルに向けて vol.4 MDにかたよりがないか
SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか

SCリニュアルに向けてvol.1 リニュアル前に準備すること

ショッピングセンター経営のヒント87:

SCリニュアルに向けてvol.1 リニュアル前に準備すること

●事前に計画をたてておく

リニュアルの話が出る発端は、
だいたいが設備の老朽化や内装の陳腐化と同時期に業績の低下が起こるときです。
あるいは競合店ができるとの情報がある場合もそうですが、
リニュアルに着手してからオープンまで相応の時間がかかる場合もあり、
競合情報をつかんでからでは手遅れというケースが多いです。

するならば、競合開店の前にしなければ意味がありません。
できれば、開業から何年おきにはリニュアルすると計画してからスタートする必要があります。
あるお手伝い先ではほぼ5〜6年に1度は投資をするというスケジュールがあり、
これまでに3回もリニュアルを実行しています。

●まずは即時業績向上

それでは皆さんリニュアルしましょう、
でうまく進めばいいですが、たいていは各テナントの業績が低下して、
オーナーの投資意欲も萎えていることが大半です。
ですので、こういう場合はまずは即時業績向上から入ることが大事です。

具体的には、店長勉強会を開催するとともに、特別招待会や周年祭などの大型祭事を企画し、
これを成功させて弾みをつけます。
その後は継続的に個店の支援を実施し、
特に不振店はリニュアル後どうすべきか個別に相談に乗ってアドバイスしてゆきます。

●資金のめどはたっているか

お金がなければ何もできません。
なければ、出てくる方法を考えてねばなりません。
銀行が貸してくれればそれでいいという場合もありますが、

私が過去にかかわったケースでは、以下の様々な手法を考案しました。

◇第三者に土地建物を売却してリースバックに切り替えリニュアル費用捻出
◇別館を第三者に売却することで資金確保
◇主要株主の増資により調達

このほかには土地建物の証券化という方法もあります。
たいていこういう資金捻出については、
ご相談にのるたびに「そんなことが可能なのか?」と驚かれますが、
知恵を絞ればなんとかなるものですし、実際ウルトラCみたいなこともやっています。

●経営体制は今後も大丈夫か

社長の年齢、後継者の有無、
あるいは協同組合やそれに類する地元主導の場合、現役員がいつまで続けるのか。
リニュアルすると、その投資回収に相応の期間を必要としますから、
「リニュアルを最後に勇退する」なんてわけにはいかなくなります。

いつまで今の体制で経営を続けるのか?この問題は非常に大きいです。
特に地元企業の経営によるデベロッパー様には、永遠に若く元気ではなく、
しかも後継者が育ちにくいような環境で、出口をどこに見据えるのが適切なのか、
この課題から目を離さないでほしいと思います。

次回以降は、SCリニュアルの計画を考える上での実務に言及してゆきたいと思います。

●[次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.2 面積バランスは適正か
SCリニュアルに向けて vol.3 レイアウトはこのままでいいのか
SCリニュアルに向けて vol.4 MDにかたよりがないか
SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
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競合対策

ショッピングセンター経営のヒント86:『競合対策

競合対策するうえで最大のポイントは前叩き(前準備)にあります。
よく様子を見てから手を打とうとされますが、これは最もダメなケースです。
お客様が自店から離れてしまってから、お客様を戻すことは至難の業です。
新しいお店は既存店舗よりも店舗規模、店揃え、アクセス、ロケーション
ともに優っていることが多いのが普通です。
では、どうすれば良いのか?☆ポイントは大きく3つあります。

☆ポイント1:食品強化

既存のショッピングセンターはその規模、ロケーションに関わらず、
核店舗の食品SMの売上構成比が高く、最も客数が多いのが普通です。
ですから、基本的にはこの核となる食品SM同士の戦いで勝てれば大丈夫なのです。

これらの食品SMの力が同等、または負けている場合でも
足元の商圏が厚ければ勝てるものです。
それは新規オープンの競合店は確かにアクセスが良いのですが、
店舗規模が大きく広域集客可能なロケーションに出店しているので、
足元商圏が必ずしも厚いとは言えないのです。

お客様は食品のようなデイリーユースのものは
結局のところ近くて便利なところで買いますので、
平日5日間の勝負に勝てれば十分に勝算はあるのです。
競合SCがオープンする前に、核となる食品SMの改装リフレッシュ、
増床リニューアルができるのがベストです。

そこまでできない場合は、商圏内で圧倒的に集客できる名物催事をつくることです。
火曜100均、金曜夕市、日曜朝市。
核となる食品SMにお客様が入っていれば、
テナント専門店の売上を維持することは十分に可能なのです。

☆ポイント2:固定客化

これまでのケースを振り返ると、競合SCが出店した際に売上を大きく落とすのは、
ティーンズ、ヤングをターゲットとしたアパレル、雑貨店のようです。
彼ら、彼女たちは店舗に限らず新しいものに流れる傾向にあり、
固定客化しづらい世代であるからです。

逆に、売上を維持伸ばしているのはミセスアパレルや理美容・サービスなどの
固定客化がしっかりとなされているテナント専門店なのです。
確かに業種特性はありますが、本屋さんでも、
お客様の顔と名前、趣味嗜好までしっかりと把握している店舗は
売上を落とすことはありません。

テナント専門店の多くは、よく言われるように、
上位20〜30%のお客様で自店売上の70〜80%を占めているようです。
つまり、この上位20〜30%のお客様だけを維持するだけでも、
売上が30%以上下がることはないのです。

そこで大事なことは、上位顧客の離反をなくすこと。
競合が出店する前に、
自店の上位顧客の中で最近こなくなっているお客様にアプローチすることなのです。

☆ポイント3:前叩きの迎撃販促

オープン初日売上の50倍、セール期間中売上の20倍が年商の目安となります。
これは何を意味するのか。新規オープンする店舗は、
この目標売上を達成するだけの在庫を持っているということです。

せっかく競合対策をするのであれば、
彼らの準備した在庫が売れてから仕掛けるのではなく、
売れ残るように仕掛けることがポイントなのです。

先に仕掛けることは自店の売上がとりやすいだけでなく、
競合となるSCにも大きな影響を与えることができるからです。
この迎撃販促では、これまでにない目標売上(最大日販)を掲げ、
これを達成するために周到に前準備することが大切です。

また、この最大日販に挑戦する過程でテナント専門店を一体化させるのです。
最大日販ができるときは、過去最高の客数となります。
この迎撃販促の成功は、テナント専門店の自信につながると共に、
お客様に自店の凄さを改めて認識してもらうことができるのです。

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その後のカシータ:伝説はこうして生まれる

ショッピングセンター経営のヒント84:

『その後のカシータ:伝説はこうして生まれる』

経営コンサルタント丹羽の気になるお店002号(2005年11月7日発行)で
紹介させていただいた『愛と感動のレストラン カシータ』
http://consulting.funai-sc.com/?eid=233440

このカシータで一緒に食事をした田村さんと久し振りに再会する。

彼は船井総研の僕の同期で、阪神大震災を大阪で経験。
それが転機となり船井総研を退社して実家を継ぐ事になる。

彼が専務を務めるTAMURAは創業100年の老舗企業で、
山口県では地場のお客様に高い評価を得ている優良企業。
現在、「住宅リフォーム」「環境・リサイクル」をテーマに新たな事業展開を進めている。

このカシータでの感動を、今のビジネスに如何に活かしているかの話を聞いた。
それは27歳の男性社員が初めて大型受注したリフォーム案件がきっかけだったそうだ。

リフォームは、事業の特性上、家主さんが住みながら工事を進める。
そういった意味では音の問題や施工方法等、行き違いが多々現場でおこる。
そのため、いかに人間関係をつくりながら、家主の要望にこたえ、
満足度をあげるかは経験が非常にものをいう世界だ。

27歳の彼は事あるごとに家主さんに誠心誠意の対応をする。
そんな彼のがんばりを家主さんにも、TAMURAの社員にも知ってもらいたい。
そんなリフォーム過程を記録したDVDをつくることを田村さんは思いつく。

18歳の入社3ヶ月目の社員が中心となって、
リフォーム前からリフォーム完成までの経過を写真で記録、
その時々のエピソードをコメント入りで紹介。

まさに劇的ビフォーアフターのようなDVDを
フォトシネマというソフトを使ってつくったそうだ。

リフォームが完成したときに、
この27歳と18歳の二人の社員が家主である70歳の老夫婦のもとを訪れる。
そこにはパソコンの操作のわからないこの老夫婦のために
ノートパソコンとプレゼントされるDVDが。

このDVDを手渡されると、老夫婦はパソコンの前に正座をして、じっと画面を見つめたそうだ。
そして、映像をじっと無言で見つめ、終わると涙ぐんでお礼を言われたそうだ。
そして、その場で追加のリフォーム工事の受注をいただいた。

この話を二人が帰ってきて会議の場で報告をした時、
全員が拍手をして喜び、この時はじめて社内が一体化したと感じたと田村さんは言った。

ひとつのお店の体験が、自分自身の事業にも大きな影響を与え、
そして、そこに関わるすべての人の人生をも変えるきっかけとなる。

伝説とはまさにこうした貴重な体験の善循環からうまれるのかもしれない。

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『義烏(イーウー)仕入れ視察ツアー』

<概要>
日程:2006年7月22日(土)〜2006年7月25日(火)

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オリエンタル・バンコクホテル

ショッピングセンター経営のヒント83:

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『オリエンタル・バンコクホテル』

「オリエンタル・バンコクホテル」の名前は、
これをお読みの皆さんもよくお聞きになられることが多いと思います。

世界の要人、ジャーナリストが選ぶ「ホテルランキング」で過去20年間、
ベスト3から落ちたことがない!

実際に80%近い確率でNo1を維持しているホテルなのです。
世界No1のホテルはどんなサービスを提供し、
高い顧客満足を実現しているのか。
実際にそれを体験し、その背景となるカルチャーの伝承の仕方、
教育や採用の仕方について、現地マネージャーからお話をお聞きすることもできました。

正直に言いますと、
今回のオリエンタル・バンコクホテルで
実際に自分が体験したことを書くことはできるのですが、
自分がその場で感じた驚きと感動と
なんとも言えない心地よさの1万分の1も伝えられないのではないかと思います。

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『生まれて初めて鳥肌がたった』

エントランスロビーに入った瞬間に、鳥肌がたったのです。
なぜ、そうなったのか正確にはわかりません。
130年の歴史あるホテルのその重み(格式)なのか、
訪れているお客様の洗練された井出達なのか、
それを支えているスタッフの動きなのか、

何ともいえないバランスの中で本当に落ち着ける、
本物の空間に出会えた喜びが頭ではなく、
体が感じたということでしょう。

それは私だけが感じたのではなく、今回のツアー参加者の全員がそうだったのです。
というのも、全員が午後の予定をキャンセルして、
このホテルで時間を過ごしたいと言ったのですから。

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『伝説はこうしてつくられる』

各フロアーのエレベーター脇には必ず、
客室担当を指揮するチーフのデスクが置かれています。

朝9:00にミーティングがあり、今日のゲストの国籍、年齢、名前の確認をする。
例えば日本人で38歳のMr.NIWAという具合です。
その時に、日本人が聞いて違和感のないように何度も発音の練習をするというのです。

これは後で気づいたことですが、
部屋に置かれたCDは国籍、年齢によって置いてあるCDが違っていたのです。
好まれそうなCDをわざわざ選んで準備しているのです。

私が一番驚いたのは、そこにいるスタッフが何も特別なことをしないということです。
そこには過剰なサービスはなく、淡淡とさりげない気遣いがあるのです。

例えば、ロビーを歩いてエレベーターに向かおうとすると
エレベーターのボタンは既に押されており、エレベーターを待つことがない。

鍵をもって部屋をでると、
ロビーに向かうまでに出会ったスタッフが必ず一声かけてきて鍵を預かってくれる。

部屋に戻ってくる度に、ベッドメーキングがされている。

モーニングコールをお願いすると、
起きられないこともあると思うので2回目のコールは15分後で良いかと聞かれるのです。
できそうでできていない、さりげない行き届いたサービスがそこにはあるのです。

圧巻だったのは最終日。

参加者の一人がキャッシャーで清算していると、
部屋に忘れたサングラスをルームスタッフが顔を覚えていて直接手渡してくれたのです。
彼らは自分担当のお客様をしっかりと覚え、
お客様がチェックアウトされたら、まずは忘れ物を確認する。

忘れ物があった場合には、
直接そのお客様に届けることを部屋の片付けよりも優先させるのです。
その時々でお客様にとって最善の行動をとれるように教育されているのです。

オリエンタルホテルの客室は340室、そこで働くスタッフは1200人。
一室当たり約3人のスタッフがいる計算になります。
スタッフが多いから、行き届いたサービスが提供できるのではないようです。

大切なことは何かを教え、
それがオリエンタル・バンコクホテルでは
カルチャー(文化)として根付いているからこそ実現しているのです。

「世界No1のおもてなしは、どうやって実現されるか」
次回はオリエンタル・バンコクホテルの人事部長にお話いただいた
講演レポートを掲載させていただきます。

やはり、百聞は一見に如かず。
一見は一体験に如かずですね。
多くの気づきとヒントがそこにはありました。

余談ではありますが、
SCチームでは7月20日にイーウー仕入れツアーを企画しています。
この事前説明会セミナーが6月3日にありますので、
ぜひ参加してみてくださいね。↓↓↓↓↓
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地価上昇、地代上昇、建設コスト上昇時代に備えよう〜No.3〜

ショッピングセンター経営のヒント82:

地価上昇、地代上昇、建設コスト上昇時代に備えよう〜No.3〜

こんにちは、船井総研の山本 匡です。

景気もよくなり売上げは上がるが、経費もかさみ、より売らねばならなくなる、
そういう時代に突入したときの流通業の発想の転換について、前回申し上げました。

今回は、もうひとつの重要な視点としての「新規出店」の実現があります。
まちづくり三法改正で、出店可能立地が大幅に減少することをお伝えしました。
これは大手流通にも専門店チェーンにも同じように非常に大きなインパクトを与えます。
これまでのような発想と方法論では、新規出店ができなくなります。

●新規出店

まず専門店業界では、ダウンサイジング業態を開発せねばならなくなります。

たとえば、郊外で500〜1000坪店舗を展開しているチェーンにとっては、
300坪以下で駅前のビルのワンフロアを借りて出来るような店が必要になります。
大都市の駅ビルや巨大モールSCに出店していたチェーン店にとっては、
より小商圏の街でも開発可能なモデルが必要になります。

たとえば100坪が標準だとすると、40〜60坪程度の小商圏対応業態が必要になります。
品揃えだけでなく商品のプライスラインも見直す必要が出てくるでしょう。
オペレーション人員も見直す必要が出てくる事になります。

GMS業態は、食品+衣料か食品+住関連という業態にならざるを得ません。
それもスーパーセンターのような巨大なものではなく、
10,000平方メートル以内にテナントも入れてすべてが収まるようなものです。

いちばん効率が高いのは食品主体の店舗ですが、
何千億円という年商のある巨大な流通企業にとって
15〜20億円程度の店しかつくれないのであれば、
年数店舗では年商が伸びないため、原理的にはかなり数多くつくらないといけなくなります。
実際には無理でしょうから、M&Aなどで拡大するしかないともいえます。

●研究開発費の投入

ここで必要な概念が「研究開発費」の投入です。

メーカーなどでは技術の開発研究にどれだけ投資したかが、
今後の成長性を見るひとつの指標となっていますが、

流通業ではこのようなとらえかたはなされていません。
むしろ、こういう経費を無駄なものとしてカットしてきたわけです。

研究開発とは、商品開発・業態開発・店舗開発の3つが大きく対象になります。
人材開発ももちろんそうですが、これはそもそもやっていてアタリマエですので
この論旨からは省きます。

商品開発とは、バイヤーが本来実施する機能ですが、
多くの流通チェーンでは開発もベンダーに依存し、
多くのバイヤーは商品を選んでいるだけです。
自社で原材料生産地や組立て地までソーシングできている企業は非常に少ないですが、
今後こういうことに積極的に取組み、商品の原価率を下げないと苦しくなります。

業態開発は、先ほどのように外部要因の変化から、
いやおうなく適合業態を開発せねばならない状況になってきています。

店舗開発は、すなわち開発人員そのものを増員するという事になります。
針の穴を通すようなチャンスをモノにしないと、
出店が出来なくなるといっても過言ではありません。

●今後の流通経営の分かれ道

今後の流通業経営の分かれ道は、
上がった利益を上記のどの「開発」に投資してゆくか、によって決定されると思います。
皆様の会社におかれましても、
「何に投資すべきなのか」を今一度ご再考いただくきっかけになれば、と思います。

今回は全3回の短いシリーズでしたが、
今後も時事に適応した内容を配信してゆきたいと思います。
ご拝読いただき有難うございました。今後ともどうぞ宜しくお願いします。

船井総合研究所 第五経営支援部 チームリーダー
山本 匡

今すぐ、経営相談をしたい方はこちらネット経営相談よりご連絡ください。
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※担当コンサルタントを明記してください。

地価上昇、地代上昇、建設コスト上昇時代に備えよう〜No.2〜

ショッピングセンター経営のヒント81:

地価上昇、地代上昇、建設コスト上昇時代に備えよう〜No.2〜

こんにちは、船井総研の山本 匡です。

前回は、すでに日本経済の一部はバブル化し始めているというお話をいたしまし
た。需要拡大も期待できますが、コストアップも懸念されます。それに先駆けた
対策を考えるヒントをいくつか例示させていただきます。

●不動産効率の改善

流通小売業における対策としては、まずは不動産効率の改善にあります。

これまで流通業の成長シナリオは設備拡大であり、特に一拠点あたりの店舗面積
の拡大がその基本路線でした。これは、競争優位、売上拡大、人員効率などの面
で見ても、それなりに理にかなった方法論でした。

ただ、今後は設備の「稼動効率」がより重要になると考えられます。効率とは、
まずは在庫効率(回転率)であり、次に経費面で最も大きな人員一人当たり効率
と、次に大きな不動産一坪あたり効率になります。

この3つの効率がよければ、販促費用などが捻出可能になりますし、一方在庫効率
が悪ければ資金繰りにつまり金利負担が増大、人員効率が悪いと結局賃金カット
に、不動産効率が悪いと閉鎖店舗が増加する、という連鎖になります。

ただ、小売業に関していえば、在庫に関しては回転差資金がある程度活用できま
すので、なんとかなりますが、人員効率と不動産効率を見直さねばなりません。

これからは、大きな売場で人を減らし効率的にオペレーションすれば、売れない
店でもそれなりに利益が出るという発想が大切です。さらに地代が安く設備費が
安く上がれば、このビジネスモデルは可能となります。

しかし、一方で売場面積あたり売上はこの15年、下落の一途でした。いっときの
2/3か、それ以下になっているチェーンが多数あります。

低単価品をセルフで売る、そのために作業人員を減らし、売場にいる人はレジを
打っているだけ、という状況になりつつあります。しかし、その一方で接客の重
要性が忘れられているといってもいいでしょう。

●人員増加と売上の関係

同じ1000坪の面積で、限りなくセルフで10人しか使わず、それで月商1億円売れる
のと、接客強化で15人にして月商1.05億円売れるのと、どちらが得するでしょうか。

10人×30万円/月=300万円 VS 15人×30万円/月=450万円 +150万円

人を1.5倍に増やしたことで売上が500万円増えたとして、粗利が30%とすると
500万円 × 30% = 150万円ですから、人を1.5倍に増やして売上を5%上げて
トントンという結果になります。

では、売上が5%以上あがるとしたら?当然人を増やしたほうがよいということに
なります。あるいは1000坪以上の面積があるならば?ということになります。

同じ不動産コストがかかっているのであれば、人を減らして売上を下げるより、
人を増やして売上を上げるほうが不動産効率は上昇するのです。

これまでは売上に対する強気の観測がたたなかったため、各社は人員削減に熱心に
なっていました。

しかし、これから先、コストアップ=景気回復ととらえると、「同じ設備で、人を
増やして売上を上げる」という方法論に取り組む必要があると思いませんか。

ましてや家賃が上がるとなると、縮小均衡型のビジネスモデルは成り立たないと
いうことになります。

●売上高=坪当在庫高×回転率

もう一つは在庫の増加です。単位面積あたり売上高は坪当在庫高×回転率となります。

回転率が変わらないととすると坪当在庫が減れば売上高は下がるのは当然なので
すが、なぜかこの10年GMS、HCをはじめとする流通各社は坪当たり在庫を熱心に
減らしてきました。通路を広げゴンドラを低くするという方針をとってきました。
(だったら売り場面積を小さくすればよかったのですが…?)粗利の高いSPAや
ブランド品以外は、繁盛店は今も昔も売場に在庫が山積みになっているものです。

ドンキホーテ、ビレッジバンガード、ダイソー、カインズホーム、皆密度にあふ
れていると思うのは私だけでしょうか。

接客人員強化と接客スキルのトレーニング、そして売場ごとの坪当たり在庫高を
増やすこと、これがデフレ脱却後の流通業の取り組むテーマとなると思います。

船井総合研究所 第五経営支援部 チームリーダー
山本 匡

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地価上昇、地代上昇、建設コスト上昇時代に備えよう〜No.1〜

ショッピングセンター経営のヒント80:

『地価上昇、地代上昇、建設コスト上昇時代に備えよう〜No.1〜』

こんにちは、船井総研の山本 匡です。

私は普段、中堅流通・レジャーチェーンや不動産デベロッパーとのお付き合いが
数多くあります。

現在、この業界をにぎわせている話題は「まちづくり三法改正」です。具体的に
は、2008年1月より、商業地域・近隣商業地域・準工業地域を除いたエリアでは
延床10,000平方メートル以上の商業開発を規制する、という法律の変化です。

このため、今後は用途の適合しない郊外型の新規SCは原則として開発許可が下り
なくなります。延床に対する規制ですので、一枚の敷地に複数の店舗が出店する
場合も、合計面積が対象になります。

このため、現在工場地域や住居地域の遊休物件を有している各社は、なんとか来
年末までに賃借テナントを決めて、建築確認をもらい着工しようとやっきになっ
ています。

メーカーや卸の工場や物流倉庫、駐車場として活用している案件で「将来は店舗
に貸すことも検討」していた案件も、ほぼ今年中に決着をつけなければならなく
なります。

●「新まちづくり三法」時代のコスト

一方、大手流通や専門店チェーンにも多大な影響を与えます。これまでのように
郊外に大型SCが開発される毎にテナント入店していれば出店数が増える、という
ことはなくなり、成長戦略を実行するには、現実に店が開発できる新たな立地や、
あるいは都心部中心街に出店できるフォーマットの業態を開発せねばならなくな
ります。

ともあれ、不動産へのマネー大量流入に加えて、こういった背景もあって、現在
地代と地価と建設コストのバブル化がすでに始まっています。土地購入を考えて
いる専門店チェーンはすでに地方都市でも「高くなりすぎて買えない」という
悲鳴を上げています。

入札すると、路線化から割り出した比較的合理的な価格ですら、強気な価格で負
けてしまうのです。

先日の日経MJ3月24日号4面でも私のコメントが紹介されていますが、渋谷・
新宿クラスでは土地取引価格は1.5倍以上になっています。また、郊外都市でも
立地のいい大型物件では、これまでの常識の20〜30%増しの地価、地代になって
きています。

また、駆け込み需要で多くの案件が開発されるているため、建設現場では職人さん
の数が不足しており、結果として建設コストが上昇しています。大手流通は比較的
早い時期からまちづくり三法の情報を入手しており、中小地場企業より先んじて
対策を打っています。

この10年、デフレの環境下で、売上の伸びも苦しい一方でコストも安定していまし
たので、流通だけでなく各社の経営計画をたてるうえで、経費は比較的確実に読み
込み可能でした。ある意味、売上さえ上げる仕組みが出来れば利益は見通せたのです。

しかし、これから、売上も多少上がる期待はありますが、地代や設備投資コストが
膨らむということを予見した上で経営計画の調整をおこなってゆく必要があります。

私が地方都市の経営者の皆さんに「東京の一部はもうすでに完全なバブルに突入し
ていますよ」とお話しても、なかなかピンと来ないという顔をされる方ばかりです
が、現実は着実にコストアップの方向に向かっています。

おそらく調達金利も上がり、設備投資も上がる。人件費も上がる事になります。
そうすると、売上利益をこれまで以上に上げる計画で取り組まねばならなくなります。

これまでのデフレ頭から脱却して、インフレ頭で経営計画を見直す、もうすでにその
段階に入っているといえます。

————————————————–
■ポイント■

・「新まちづくり三法」による出店エリアの制限

・新たな立地・出店フォーマットの業態開発が必要

・都心部中心街での地代・地価のバブル化

・駆け込み開発による建設コストの上昇

・デフレ思考からの脱却
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船井総合研究所 第五経営支援部 チームリーダー
山本 匡

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バンコク流通視察レポート〜前編〜

ショッピングセンター経営のヒント78:『バンコク流通視察レポート〜前編〜

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
船井総研経営コンサルタント丹羽英之でございます。

ついに、「まちづくり三法」のうち都市計画法などの改正案が閣議決定
されましたね。

前回お伝えしました【特集】『都市計画法の改正で、出店環境はどう変化する?』
では、たくさんのお便りを頂きまして誠に有難うございます。
これからも船井総研ショッピングセンター支援チームでは、都市計画法の行方を
注視し、情報発信していければと考えています。

ところで、私は今年のお正月にタイ・バンコクへ視察に行ってまいりました。
その目的・・・私の目が捉えたのは・・・

新規出店、巨大ショッピングセンター
「サイアムパラゴン」!!

私の知識、想像を大きく超えるSCがそこにはあった・・・。

そこで、本日より前編、後編に分けましてタイの流通事情、ショッピングセンター
事情を弊社コンサルタントの野田君との対話形式でお伝えしたいと思います。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンター支援チーム
丹羽 英之

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●タイ・バンコクってどんなところ?(流通業界概要、気候、治安、交通…)

野田:さっそくですが、お正月にタイのバンコクへ視察に行かれたそうですね。
   なぜ!今バンコクだったのですか?

丹羽:実は、だいぶ以前からご支援先のオーナーから、「今、流通を勉強する
   ならバンコクが良いよ。」と薦められていたんですよ。ただ、僕自身バ
   ンコクには良い印象をもっていなくてずっと躊躇していたんです。とい
   うのも、10年程前に訪れたときのバンコクは汚い、くさい、危ない。
   とにかく安いぐらいの印象しかなかったものですから。(笑)

野田:それでも、わざわざこのお正月にバンコクに行かれたのは、なぜなんで
   すか?

丹羽:実は、昨年の暮れにオープンしたバンコク最大のショッピングセンター
   『サイアムプラゴン』を視察したかったことが大きいですね。

野田:さすが、丹羽さん。日本ばかりでなく、海外のショッピングセンターの
   オープンまでチェックしているとは。丹羽さんが、わざわざ視察に行く
   ということは、それなりに見所のあるショッピングセンターなのでしょ
   うね。

丹羽:バンコクは世界的な観光都市で、最先端のスポットが次々に開発されて
   いるんだ。そのスピードはまさに上海を髣髴させる勢いで、ショッピン
   グセンターに限らず、流通トレンドを知る意味でも、一見の価値がある
   と思うよ。
野田:私もアジアでは上海、韓国によく行っているのですが、バンコクについ
   てはノーチェックでした。

丹羽:そうなんだよね。流通業の視察といえば、王道はやはりアメリカ。アジ
   アでは以前なら韓国、今なら中国が主流で、タイ・バンコクにはなかな
   か足を運ばないものね。

野田:だからこそ、新鮮なんですね。予備知識がないので、簡単に教えてもら
   えますか?

丹羽:バンコクまでは成田からの直行便で6時間。2時間しか時差がないので、
   これは楽。気候的にも温暖で平均気温が20度前後。9月〜12月の雨
   季を除いては日本のような蒸し暑さがなく、非常に快適。

野田:それでも、昼間はやっぱり暑いのでは?

丹羽:店舗の多くは、基本的に冷房完備だし、そんなに気にならないかな。た
   だ、昔ながらのマーケット(市場)は人も多いし、やっぱり大変かも。
   それもあってか、ナイトマーケットが隆盛なのもバンゴクの醍醐味かもね。

野田:夜、そんなに出歩いて平気なんですか?

丹羽:治安も今は非常によくなっているみたいで、スリさえ気をつければ、繁
   華街でも全然平気だよ。

野田:移動は有名なテュクテュク(三輪車)ですか?

丹羽:あれは価格交渉制なのでタイ語がわからないとボッタクラレルだけ。今
   はメーター付のタクシーか地下鉄、BTS(スカイトレイン)が一般的
   かな。タクシーは全てTOYOTA車で、とにかく内装もきれいで驚く
   よ。ちなみにワンカラーのタクシーは英語が話せ、2カラーのタクシー
   はタイ語しか話せないので、ビギナーにはワンカラーのタクシーがおす
   すめかな。

野田:だいたい、英語が通じるんでしょうか?

丹羽:言葉はタイ語が基本だけど、英語を話せる人も多く、お店やホテルでは
   英語で十分
かな。

野田:ズバリ!バンコクの最大の魅力は何なんでしょうか?

丹羽:観光客にとっては、物価が安いというのが最大の魅力だろうね。

野田:へ〜。そんなに安いんですか?

丹羽:物価の安さを一番に感じるのは、なんといっても食事だね。食事は繁華
   街のいたるところにある屋台で食べたら30バーツ(90円)ぐらい。
   タイフードは辛すぎず、シーフード、チキンを使ったものが多く、かな
   り日本人向きだね。それと・・・

   日本ではやっているSPA、マッサージもバンコクでは1/10ぐらいで
   できるんだ。日本では1分100円が目安だから60分のコースで
   6,000円。でもバンコクだと600円(200バーツ)。

   これも人件費が安いからできるみたい。最近、バンコクで流行っている
   のが郊外の住宅地の邸宅でのSPA。日本でも、最近流行っている邸宅
   でのウェディングを行う、プール、ジャグジー付きの邸宅でのSPAは
   特に日本人に大人気みたい。

   実際にこれを経営しているのも日本人みたい。日本人はこの邸宅SPA
   だけでも、バンコクに訪れるみたいだし。
< br />野田:これもちょっとしたビジネスのヒントになりそうですね。

丹羽:そうだね。

野田:それに、買い物も安そうですね。

丹羽:バンコクでの買い物は、マーケットと呼ばれる市場とショッピングセン
   ターの2つに大別されるんだ。マーケットと呼ばれる市場は日本のアメ
   横をイメージしてもらうとわかりやすいかも。このマーケットも、地元
   の業者が買い付けにくる市場と、ウィークエンドマーケットナイトバ
   ザール
のような観光客向けに分かれるんだ。値段は地元の人々がよく利
   用する衣料品マーケットのプラトューナム・マーケットが圧倒的に安く、
   Tシャツが1枚50バーツ(150円)ぐらいかな。 これが、意外にセンスが
   良くてビックリするよ!

野田:そんなにセンスが良いのですか?なんとなく、お店も商品もコピーのイ
   メージが強いんですけど。

丹羽:そうだよね。僕も今回10年振りにバンコクに行くまでは同じようなイ
   メージだったんだ。でも、実際には、お店もそこで売られている商品も
   デザイン性が高くてオリジナルなものがほとんどで驚いたんだ。

野田:日本からのバイヤーも多いと聞いたんですけど?

丹羽:実際に、僕にバンコクを薦めてくれた支援先のオーナーさんは、バンコ
   クで若者向けの衣料品を仕入て結構ネットで売っていますしね。それに、
   お店づくりに関しても、色使い、ディスプレイともセンスが良いのでビ
   ックリするよ。

野田:ショッピングセンターはどんな感じなんですか?

丹羽:ショッピングセンターも観光客や地元セレブをターゲットとした高級シ
   ョッピングセンターと地元をターゲットとした庶民派のショッピングセ
   ンターの2つに大別されるんだ。高級ショッピングセンターと言えば・・・。

   1985年創業のバンコクの老舗ショッピングセンターペニンシュラプラザ
   や2004年11月に、旧そごう跡にリニューアルオープンしたエラワンバン
   コク。
ブランド品中心のエンポリアムが有名。でも、ダントツに凄いの
   はルイ・ヴィトン、プラダ、グッチ、フェンディなどのスーパーブラン
   ドが一堂に介するゲイソーン・プラザだね。

野田:庶民派のショッピングセンターといえば?

丹羽:東急と併設しているマーブンクロンセンターが代表格かな。建物内部を
   細かく区切って無数のテナントに貸し出した巨大ショッピングセンター
   (ギフトショーのブース貸しのイメージ)で、その集客力はバンコク随
   一だね。それに、巨大スーパーマーケットと言えば、ビッグCかな。こ
   れら庶民派のショッピングセンターのほとんどは、核となるスーパーマ
   ーケット、巨大フードコート、ファッション関連のショップと映画館が
   併設しているのが一般的だね。

野田:海外の有力企業も出店しているんですか?

丹羽:メジャーなところでは、テスコロータスと日本では撤退の決まったカル
   フール
かな。これらのお店は、どちらかというと郊外に位置しているか
   な。

野田:伊勢丹もありませんでしたか?

丹羽:伊勢丹のあるサーヤム・スクエア、ラーチャム通り周辺は開発ラッシュで、
   話題の「サイアムパラゴン」もこのエリアにあるんだ。伊勢丹、ゼン、
   セントラル・ワールドプラザ
を繋いだ巨大モールは、これまで圧倒的な集
   客力を誇ってきたみたいだけど、年数の経過と共に陳腐化。対抗策として、
   全面リニューアル中なんだ。時代の流れを感じるよね。

野田:リニューアルは上手くいきそうですか?

丹羽:リニューアル計画の詳細がわからないのでなんともいえないね。ただ、
   日本でも同じだと思うけど、ハード先行でソフトが伴わないと難しいと
   思うよ。

野田:具体的には?

丹羽:例えば、今回のリニューアルでBTS(スカイトレイン)との連絡通路がで
   きる。外壁が塗り替えられる。でも、セントラルワールドプラザには、
   昔ながらのテナントが並び、空き床も目立つ。特に、多層階にはお客様
   がすくないんだ。おそらく、バンコクで一番良い場所に立地しているシ
   ョッピングセンターなのに。

野田:サイアムパラゴンをはじめ、新設のショッピングセンターとの違いは何
   なんでしょうか?

丹羽:明確なコンセプトと時流にあった店揃えだと思うよ。例えば、新設のシ
   ョッピングセンターの多くは、物販の比率に対して、飲食、サービス、
   レジャー、アミューズメントの比率が圧倒的に高いんだ。日本と同じで
   物販での差別化が難しくなっているのだと思うよ。バンコクもエンター
   テイメント、アミューズメントセンターの時代
になっているということ
   かな。ただ、このエンタメに関しては、日本より圧倒的にバンコクが進
   んでいるかもね。バンコクで圧倒的に流行っているところは果敢にチャ
   レンジしているしね。とにかく、お客様をワクワク・ドキドキさせよう。
   そんな意気込みを感じるよ。

野田:そろそろ、メインのサイアムパラゴンについて教えてくださいよ。

丹羽:もうずいぶん長く話してしまったので、今回はここまで!
   次回は本題の「サイアムパラゴン」について話そう。
   野田君次回もよろしく!!

野田:はい!よろしくお願いします。

——————————————————————-
【タイ・バンコク情報−リンク】
写真を見たい方は以下のサイトをご覧下さい。

タイ・バンコク ショッピングセンターリスト “海外で暮らす”
http://www.joint-rent.co.jp/world/bangkok/shopping/index.html

サイアムパラゴン オープンレポート”Bangkok Navi”
http://www.bangkoknavi.com/shop/shop_r_article.php?id=8

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   緊急開催決定!!!
   『タイ・バンコク流通業視察ツアー』!!

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●新スポットが次々誕生するタイ・バンコクを船井総研コンサルタントが
 同行
しながら現地流通業を解説!しかも、現地にて流通業セミナー開催!!
 往復航空チケットに、最高級ホテル宿泊などなど

「船井総研」と「バンコク」すべてを詰め込んだ
視察ツアーパック!!

<見どころ>
1.巨大ショッピングセンター「サイアムパラゴン」視察
2.レジャー・アミューズメント複合施設開発
3.活気溢れる「ナイトマーケット」

<予定>
1.現地開発スタッフによる講演
2.最高級ホテル「マンダリン・オリエンタル・ホテル」宿泊

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■概要■
●日程:2006年4月14日(金) 〜 4月18日(火)[3泊5日]
 成田空港15:00発−タイ・バンコク滞在−成田空港8:00着

●費用:一般¥252,000(税込) 会員¥210,000(税込)

お問合せ:株式会社 船井総合研究所 丹羽(ニワ)・的場(マトバ)
TEL:03-6212-2930 FAX:03-6212-2945 E-mail:info-sc@funaisoken.co.jp
—————————————————————-

詳しい資料をお送りいたします。ぜひご連絡下さい。
info-sc@funaisoken.co.jp
※件名に「バンコクツアー資料希望」とご明記下さい。

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【特集】『都市計画法の改正で、出店環境はどう変化する?』

ご挨拶
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ショッピングセンター経営のヒントを日頃ご愛読されている皆様へ

船井総研で長年にわたり店舗開発・物件開発をおこなっております山本で
ございます。
昨年より話題となっておりました、「都市計画法」の改正が2007年中の実施
を目指し、着々と議論が進んでおります。
そこで、船井総研ショッピングセンター支援チーム独自で、法改正の背景、
改正後の行く末を語るために、今回号外を発行する運びとなりました。
皆様のお考えのヒント・キッカケになればと思います。
ご一読し、ご意見ご感想をおよせいただければと思います。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンター支援チーム(リーダー)
山本 匡

ビジネスデューデリジェンス:http://www.business-dd.com/
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ショッピングセンター経営のヒント【号外】:
『都市計画法の改正で、出店環境はどう変化する?』

そもそも都市計画法の改正点とは?

年末から新聞を賑わせている「都市計画法の改正」延床10,000?以上の店舗への
新たな規制です。
大型店の話だから・・・・と考えていませんか。特に地方都市では、これはとん
でもないことになります。大店立地法の比ではないショックです。イオンやDC、
IYなどの大型量販店や商業デベロッパーは現在大騒ぎです。

まず、どういう内容かといいますと、都市計画で定める市街化区域内のうち、用
途地域が「商業」「近隣商業」そして「準工業」の用途以外では、10,000?を超
える大型商業開発は許可しない、というものです。
およそ「市」と名のついているところでは中心街から一定の範囲内が市街化区域
ですが、町や村では無指定ないし市街化調整区域になっていることが多いです。

ですからこういうところでは大型開発ができなくなります。郊外の巨大SC、巨
大ホームセンター、アウトレットモール、全部できなくなります。

次に、市内でも、郊外の幹線道路沿いでの開発がやりにくくなります。商業と近
隣商業はおおむね地方都市では駅と中心街周辺に限られており、郊外ではあまり
ありません。

あるとすれば準工業ですが、ここはほとんどが工場が建っているところです。
準工業で本当に許可が出るかどうかは現在不透明で、大都市圏や政令指定都市圏
は許可が出るが、それ以外の地方都市は許可されないのではないか、など様々な
意見が出ています。

今までの商業施設開発の歴史

大型店は70年代は主として駅前再開発に出店してきました。当時は大店法の商調
協というものがありまして、これがなかなか大変だった。大手GMSや百貨店は、
地元商業者と共同でSCを開発せざるを得なかったのです。

80年代以降、郊外SC開発が盛んになってきてからは「工場跡地」「区画整理地」
がターゲットになりました。さらに、地価の安いエリアを求めて「無指定」
「市街化調整区域」にも進出する事になりました。これらの多くは農地であり、
農業振興地域になっていることが多いため、10年近くかそれ以上の歳月をかけて
開発許可をとり、巨大なSCを建設してきたのです。

この数年で大型SCが開設された土地の用途地域のうち、商業地域と近隣商業地
域の占める割合は1/3くらいです。無指定や調整区域の安い土地こそ、デベロッパー
の錬金術の根幹だったのです。

ところが、そういうわけにはいかなくなってしまいました。

都市計画法改正の狙い

国土交通省はなぜこれを実施するか、そのモデルは欧州にあります。ヨーロッパ
の先進諸国では同様に市街地での開発しか許可しないという方針をずっと貫いて
おり、その結果イギリスや旧西ドイツではすばらしい中心市街地が形成されてい
ます。

ドイツのミュンヘンやシュツットガルト、イギリスのノッティンガムやリーズを
訪問したことがありますが、それはもう素晴らしい中心街です。マークスアンド
スペンサーやポールスミスの発祥の店などがあり、こういう活力あふれる商店街
ゾーンがあるからこそ、新しい小売事業者のインキュベーション(孵化)が可能
なのだと感心しました。
(日本の現実では新規開業者はSCには入れないでしょう?)

まぁ、こういう欧州の都市計画政策は、一方で中心街の大多数を貴族が所有して
いて、その権益を守るという政治的背景もあるのですけどね。イギリスの地方都
市の中心街の賃料を知ってその高さに驚きましたけれど(月坪3万円くらい)。

でも、そういう国情なので、名だたる有力チェーンは皆中心街に店を構えており、
各市のまちづくり会社はそういったナショナルチェーンの誘致活動に精を出して
います。中心市街地そのものが巨大なショッピングモールだと考えていただけれ
ばよいでしょう。

日本も、遅ればせながらそういう街づくりをしていきたいということなのです。

都市計画法改正の煽りを喰らうのは・・・

ともあれ、そうなるかならないかは別として、郊外型巨大SCは開発できなくな
るのです。そうすると困るのは商業デベロッパーと同時に、そこに出店すること
が出店戦略の根幹となっている専門店チェーンです。

延床10,000?の商業施設は、この5年で400件開発されました。この数年では年間
60件というペースです。
このうち、イオンやDCなどの有力デベロッパーの開発したモールは年間10〜20件
程度と見込まれます。

有力専門店もこのデベロッパーの多店舗化にのっかって、お声がかかったら出店
検討をするということで出店できて来ました。しかし、これは今後極端に減少す
る事になります。年間で数件あればよい、という状態になるやもしれません。

ならば、別の場所に出店すればいいではないか。しかしそれは容易なことではな
いのです。新築の物件に出店するには、事前にデベロッパーから一定の評価を受
けてさえいれば面積などの都合をヒアリングのうえ、お互いに商売がうまくいく
ようデベロッパーも配慮してくれます。しかし、既存ビルの空床に入居するとな
るとそうはいきません。建物はすでに建っ
ており、他のテナントもすでに入って
おり、その制約のなかで出店地を求めねばなりません。

いきおい、駅ビルやファッションビルといった都心の優良ビルへの出店アプロー
チはさらに熾烈になってきます。

出店ノルマを背負った有力チェーン担当者は限られた空床を奪い合う事になりま
す。結果として、ナショナルチェーンでなくてもその影響で、はじかれてしまう
可能性が高くなるのです。

大変な変化が訪れます。しかし変化こそチャンスです。

私がこの章でなにを申し上げたいかといいますと

(1)時流変化を見据えた、新しい店舗モデル構築

(2)情報ソーシング先の拡大

(3)許容範囲の研究

この3つです。

皆様はこの状況をどうお考えですか?
次回は、この変化に対応する具体的な方法論について考えてみたいと思います。

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船井総合研究所 第五経営支援部 チームリーダー
山本 匡

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