【特集】『都市計画法の改正で、出店環境はどう変化する?』

ご挨拶
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ショッピングセンター経営のヒントを日頃ご愛読されている皆様へ

船井総研で長年にわたり店舗開発・物件開発をおこなっております山本で
ございます。
昨年より話題となっておりました、「都市計画法」の改正が2007年中の実施
を目指し、着々と議論が進んでおります。
そこで、船井総研ショッピングセンター支援チーム独自で、法改正の背景、
改正後の行く末を語るために、今回号外を発行する運びとなりました。
皆様のお考えのヒント・キッカケになればと思います。
ご一読し、ご意見ご感想をおよせいただければと思います。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンター支援チーム(リーダー)
山本 匡

ビジネスデューデリジェンス:http://www.business-dd.com/
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ショッピングセンター経営のヒント【号外】:
『都市計画法の改正で、出店環境はどう変化する?』

そもそも都市計画法の改正点とは?

年末から新聞を賑わせている「都市計画法の改正」延床10,000?以上の店舗への
新たな規制です。
大型店の話だから・・・・と考えていませんか。特に地方都市では、これはとん
でもないことになります。大店立地法の比ではないショックです。イオンやDC、
IYなどの大型量販店や商業デベロッパーは現在大騒ぎです。

まず、どういう内容かといいますと、都市計画で定める市街化区域内のうち、用
途地域が「商業」「近隣商業」そして「準工業」の用途以外では、10,000?を超
える大型商業開発は許可しない、というものです。
およそ「市」と名のついているところでは中心街から一定の範囲内が市街化区域
ですが、町や村では無指定ないし市街化調整区域になっていることが多いです。

ですからこういうところでは大型開発ができなくなります。郊外の巨大SC、巨
大ホームセンター、アウトレットモール、全部できなくなります。

次に、市内でも、郊外の幹線道路沿いでの開発がやりにくくなります。商業と近
隣商業はおおむね地方都市では駅と中心街周辺に限られており、郊外ではあまり
ありません。

あるとすれば準工業ですが、ここはほとんどが工場が建っているところです。
準工業で本当に許可が出るかどうかは現在不透明で、大都市圏や政令指定都市圏
は許可が出るが、それ以外の地方都市は許可されないのではないか、など様々な
意見が出ています。

今までの商業施設開発の歴史

大型店は70年代は主として駅前再開発に出店してきました。当時は大店法の商調
協というものがありまして、これがなかなか大変だった。大手GMSや百貨店は、
地元商業者と共同でSCを開発せざるを得なかったのです。

80年代以降、郊外SC開発が盛んになってきてからは「工場跡地」「区画整理地」
がターゲットになりました。さらに、地価の安いエリアを求めて「無指定」
「市街化調整区域」にも進出する事になりました。これらの多くは農地であり、
農業振興地域になっていることが多いため、10年近くかそれ以上の歳月をかけて
開発許可をとり、巨大なSCを建設してきたのです。

この数年で大型SCが開設された土地の用途地域のうち、商業地域と近隣商業地
域の占める割合は1/3くらいです。無指定や調整区域の安い土地こそ、デベロッパー
の錬金術の根幹だったのです。

ところが、そういうわけにはいかなくなってしまいました。

都市計画法改正の狙い

国土交通省はなぜこれを実施するか、そのモデルは欧州にあります。ヨーロッパ
の先進諸国では同様に市街地での開発しか許可しないという方針をずっと貫いて
おり、その結果イギリスや旧西ドイツではすばらしい中心市街地が形成されてい
ます。

ドイツのミュンヘンやシュツットガルト、イギリスのノッティンガムやリーズを
訪問したことがありますが、それはもう素晴らしい中心街です。マークスアンド
スペンサーやポールスミスの発祥の店などがあり、こういう活力あふれる商店街
ゾーンがあるからこそ、新しい小売事業者のインキュベーション(孵化)が可能
なのだと感心しました。
(日本の現実では新規開業者はSCには入れないでしょう?)

まぁ、こういう欧州の都市計画政策は、一方で中心街の大多数を貴族が所有して
いて、その権益を守るという政治的背景もあるのですけどね。イギリスの地方都
市の中心街の賃料を知ってその高さに驚きましたけれど(月坪3万円くらい)。

でも、そういう国情なので、名だたる有力チェーンは皆中心街に店を構えており、
各市のまちづくり会社はそういったナショナルチェーンの誘致活動に精を出して
います。中心市街地そのものが巨大なショッピングモールだと考えていただけれ
ばよいでしょう。

日本も、遅ればせながらそういう街づくりをしていきたいということなのです。

都市計画法改正の煽りを喰らうのは・・・

ともあれ、そうなるかならないかは別として、郊外型巨大SCは開発できなくな
るのです。そうすると困るのは商業デベロッパーと同時に、そこに出店すること
が出店戦略の根幹となっている専門店チェーンです。

延床10,000?の商業施設は、この5年で400件開発されました。この数年では年間
60件というペースです。
このうち、イオンやDCなどの有力デベロッパーの開発したモールは年間10〜20件
程度と見込まれます。

有力専門店もこのデベロッパーの多店舗化にのっかって、お声がかかったら出店
検討をするということで出店できて来ました。しかし、これは今後極端に減少す
る事になります。年間で数件あればよい、という状態になるやもしれません。

ならば、別の場所に出店すればいいではないか。しかしそれは容易なことではな
いのです。新築の物件に出店するには、事前にデベロッパーから一定の評価を受
けてさえいれば面積などの都合をヒアリングのうえ、お互いに商売がうまくいく
ようデベロッパーも配慮してくれます。しかし、既存ビルの空床に入居するとな
るとそうはいきません。建物はすでに建っ
ており、他のテナントもすでに入って
おり、その制約のなかで出店地を求めねばなりません。

いきおい、駅ビルやファッションビルといった都心の優良ビルへの出店アプロー
チはさらに熾烈になってきます。

出店ノルマを背負った有力チェーン担当者は限られた空床を奪い合う事になりま
す。結果として、ナショナルチェーンでなくてもその影響で、はじかれてしまう
可能性が高くなるのです。

大変な変化が訪れます。しかし変化こそチャンスです。

私がこの章でなにを申し上げたいかといいますと

(1)時流変化を見据えた、新しい店舗モデル構築

(2)情報ソーシング先の拡大

(3)許容範囲の研究

この3つです。

皆様はこの状況をどうお考えですか?
次回は、この変化に対応する具体的な方法論について考えてみたいと思います。

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船井総合研究所 第五経営支援部 チームリーダー
山本 匡

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パート社員で見える自店の方向性

ショッピングセンター経営のヒント77:
パート社員で見える自店の方向性

私は長年様々なショッピングセンターのご支援をしております。そのなかで
多くのパート・社員のグループインタビューを実施したなかで、見えたもの
があります。それは・・・

思った以上に自店の利用率が低い。

ということです。自店の利用率の高いパート・社員の特徴は

1.社歴が長い
2.年齢が高い

のどちらかです。

この社歴が長く、年齢の高い方の多くは人間的にも幅があり、持ちつ持たれ
つ(共存共栄)の協調主義であるのに対し、社歴が浅く、年齢の若い方の多
くは明確にお店を使い分ける自由主義なのです。

パート社員でもそうであるのだから、お客様のその使い分けは更に顕著であ
るはずです。明確にお店を使い分けるこの世代に提供していく、商品力と売
場のためにも1年に1度のソフトリニューアルが望まれます。

■ポイント■
1年に2割づつ革新し、5年で一新しよう

●今後のあるべき姿の方向性とは

小売業における差別化要素は

1.価格制
2.利便性
3.希少性
4.独自性

の4つがありますが、専門店は基本的には商品の希少性または独自性のいず
れかで自店の存在意義を確立することが良いのではないでしょうか。また、
この4つのいずれかを選択するのはオーナーのポリシー(店舗コンセプト)
に因ります。

ポリシー(店舗コンセプト)があると、お客様に安心感を与えることが可能
であり、このポリシー(店舗コンセプト)に共感・共鳴したお客様だけが自
店のロイヤルカスタマー(上得意客)になりえるのです。

伸びている専門店に共通するルール
1.共感・共鳴できるコンセプトがある。
2.オリジナルのサービス機能を付加している。
3.顧客を創造できる商品力がある。
4.従業員満足と顧客満足が一体化している。

自店はいかがでしょうか。
「オーナー以上にお店のことを考えている従業員はいない」のです。
もう一度考えてみましょう!

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船井総合研究所 第五経営支援部
丹羽英之

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