ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、丹羽英之でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、テナント専門店向け閉店セールの上手な仕掛け方の第二段について
お伝えします。反響が多いので私も嬉しく思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■上手な閉店セールの仕掛け方 その4
~テナント専門店編 後編~
店舗改装のための閉店セールは当然のことながら、各テナント専門店の
店舗改装が前提となります。その意味では各テナント専門店がオープンに
向けてどれだけ変われるかが、リニューアル後の売上の推移を決めると
言っても過言ではありません。
リニューアルオープンセール期間中は、全体客数が伸びていることもあり、
店舗間の格差が気になりませんが、早いSCでは1ヶ月も経てば店舗間の
格差が如実に出るものです。
それでは良い店舗と厳しい店舗の違いは何なんでしょうか?
良い店舗は閉店・リニューアルを機会に変わり、厳しい店舗は結果として
何も変わっていないというのが現実です。
特に、お客様は最終的に商品を買いに来ますので、商品リニューアルが
できるかが最大のポイントとなります。
数多くのSCのリニューアルを経験する中で、商品リニューアルには
!)業界動向、!)商圏動向、!)SC動向の3点を踏まえる必要があるようです。
a)業界動向を正確に把握して、リニューアル後の商品MDを組んでいるか?
例えば、これからは薬局・薬店でなくてもOTC(医師の処方箋がなくても、
合法的に買える医薬品。大衆薬)が扱えるようになることを前提に、
健康食品を新たな柱の商品として育てていく。など
b)商圏内の主要商業施設の改装、閉店情報や新設の商業施設の情報を
いち早く把握しているか?
最近は駅前商業施設、特に若者をターゲットにした商業施設が苦戦。
地域一番店のSCであれば、郊外でもティーンズ、ヤングを積極的に
取り込むことも可能となっています。
c)SC内のゾーン構成にあった商品提供と新規出店テナントの
商品構成との差別化できているか?
例えば、インストアベーカリーがフードコートに隣接するなどの場合、
テイクアウトだけではなく、ランチ対応のイートインメニューの開発が
必要となります。
また、新規で同業種テナントが出店する場合、事前にその店舗の商品MD、
特に価格帯を把握していく必要があります。新規テナントが同一テイストで
下の価格帯を狙っている場合は、客数減が予想されるからです。
その場合、下限商品の入れ替えを前提に、新しい問屋、メーカー商品に
挑戦する必要があります。
これらの商品リニューアルは、店舗移動や面積拡大が予定されている店舗は
積極的に行うのが普通ですが、場所も変わらずに面積も変わらないと
なかなか進まないのが実態のようです。
場所も面積も変わらない中での最善のリニューアル手法は
圧縮・付加法にあります。これは既存の商品構成、在庫をそのまま売場の
80%までに圧縮して、残った20%のスペースに新しいメーカー、
問屋商品を置く手法です。
!)既存在庫は金額を変えないこと。!)新商品は店頭近くで
訴求することの2点です。
閉店、リニューアルオープンは、スタッフモチベーションが高くお客様の
買う気も高いので、商品リニューアルがそのまま売上に直結します。
実は、この圧縮・付加法はSC全体の改装、リニューアルといったことが
なくても、1年に1回は定期的に実施することで大きな成果が期待できます。
リニューアル後は1年に1回のソフトリニューアル(商品リニューアル)で、
新しい店舗づくりに挑戦していただきたいものです。
>>SC経営のヒント128:上手な閉店セールの仕掛け方 その3
月: 2007年12月
SC経営のヒント131:商業ビルの基本を知ろう3
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
2007年も残すところあとわずかになりました。
今年やり残したことは今年中に片付けて新年を迎えたいですね。
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■商業ビルの基本を知ろう 3
□人の流れは、最も人を集めるものと、その次に人を集めるものの間に生まれる
人を集めるもの=集客施設=TG(トラフィック・ジェネレーター)とも
呼びます。たとえば、大都市で最も人を集める拠点はターミナル駅です。
そして商業地の中では、中核となる百貨店がその次に集めます。ですので
渋谷も新宿も駅から百貨店の間に主要導線が形成されます。
これは、冷静に考えれば当たり前のことなのですが、あまり意識されて
いないことです。郊外型商業施設ですと、駐車場と食品売り場の間の導線が
最も強いものになります。駐車場が1箇所にかたまっているような場合は、
より顕著になります。駐車場~食品売り場の導線に乗ってこない場所は
必然的に通行数が減少します。
同じことは、ロードサイドにもいえます。ある街でロードサイドが栄える
ポイントは、地域の核となる大型SCにはさまれたエリアになります。
そういう場所がなければ、その大型店に近い場所から栄えます。
ロードサイドの場合は路面と異なり「場所の有無」が重要になりますから、
たとえばインターチェンジ近くに用地が多く出てきたためにインター付近が
ロードサイド銀座になったり、あるいは新しい道路ができるときに、
こぞってチェーン店が出店してくるのです。
SCでいえば、食品売場と店前の平面駐車場がこのTGに相当します。
このことは、立地の良否を判断する上で極めて重要なことです。エリアの
集客の核はどこか、その核の集客力はいかなるものか、そこから導線上
無理なく誘導できるか。それによって自社の出店する立地の良否が
決定されてしまうのです。
□エリアの集客力は、核の集客力で決まる
核となる大型SCの集客力がまず商圏を開拓します。そこに業種別大型専門店が
進出し、核店舗の売上を奪いつつ、シェアを高めてゆきます。核店舗と周辺の
大型店が相乗効果を生むことで、さらに商圏が拡大します。こうして、
エリアの集客力は高まります。
ですので、キーポイントはそのエリアの核となる店がどこで、それは
どれほどの集客力を持つものなのかという見極めが、エリアの集客力を
見定めるポイントになります。
ロードサイドとて、核らしい核がなく形成されているものはさほど大きな
商圏にはならず、一方で大型SCと大型専門店が林立するゾーンは商圏が
広域に広がり、特に土日の集客力が飛躍的に高まります。
□立地がいいとは、不特定多数の買い物客が店前を多く通行することである
これはロードサイドとインテナント・路面などでは状況が違うように
思われますが、いずれにしても通行量が多く人目に触れやすいところほど
いい立地といえます。
そういう一目で見て分かるような場所はすでに押さえられてしまって
いますから、その周辺で探すほかはないというのが実情ですが。
ただし、どんな店でも立地さえ良ければよいというものではありません。
「業種特性」の考慮が必要です。
業種特性でひっかかるのは、購買目的・動機上の特性と、限界賃料の2つです。
たとえば家具店は目的購買ですから、ひっきりなしに通行客が多く入店が多いと
むしろ困ります。買いに来たお客さんにだけしっかりアプローチをすることが
重要です。またリサイクルショップなど、あまりに賃料が高いと坪効率上の
限界から賃料を払いきれない業種場合は、いい立地であったとしても賃料で
あきらめることになります。
たとえば人に見られると恥ずかしいような店の場合は、立地がよければ売上が
上がるとは限りません。業種特性とは、このようにお客様の購買行動に
のっとって判断される必要があります。
□需要額と充足度
小売業はある地域で獲得される商圏の大きさと、それに対する店の充足度の
バランスで1店舗あたりの売上が決まります。たとえばSCで
一業種一店舗であれば(書籍やゲームセンター等)、SC全館の売上により
その店の売上が読めます。
また、飲食店や雑貨店などのグロスの売上が読めれば、それを何店舗で
シェアするかによって、一店舗あたりの繁盛度合いも予測可能です。
これはSCが成功するか否かではなく、入店する自社にとって有利な環境か
不利な環境かによります。
集積の魅力による集客増についてはどう考えればよいでしょうか。
たとえばフードテーマパークなどのように、特定の業種を集積させて、
話題性を高めれば、商圏が拡大し基礎的な集客力が増えます。
ですのでこういう業態の場合は商圏が拡大すれば売上が上がり、
開業とともに商圏が縮小すると売上が下がるという現象が起こります。
通常のSCでは複数の同業種が出店した場合、店の数だけシェアする相手が
増えることになりますから売上は下がります。
もっとも、デベロッパーがそのことに無知なわけではなく、全体の
規模からみたバランスを都度チャレンジしていますので、ときどき、
ある業種が多すぎる、ということが起こります。
供給過剰になると、弱い店から影響を受けやすくなります。
どれもこれも、いわれてみれば当たり前のようなことばかりですが、
原理原則ほど意識しないと見過ごしがちなものもないといえるでしょう。
SC経営のヒント130:店舗の方向性を創造する
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
12月は小売業にとって季節指数が高い月ですので、
チャンスロスを極力失くすよう、チェックをかかさずにしたいものですね。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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■店舗の方向性を創造する
年末商戦月に突入し、てんやわんやの店舗さんも多いと思いますが、
今回は店の新しい方向性を自ら作り出され拡販しているお客様の
お話をさせていただきます。
この方はもともと茨城県土浦市で飲食店(とんかつ・うどん)を
経営されている方なのですが、この冬にある商品を開発されました。
その商品とは『れんこんドレッシング』です。
http://renkon-an.ocnk.net/
今まではとんかつ屋としてとんかつを提供しているお店でしたが、経営者が
とんかつと一緒に食べるキャベツが通常のソースやドレッシングよりも
おいしく食べれるために開発しました。
地元土浦市は、れんこんの生産量が日本一でもあるので、その地元産品の
れんこんを使用して開発したものです。自らの手で創造することも地元産品を
きちんと使用されているのも素晴らしいと思います。
最も合うドレッシングを探すのではなく、自ら創造する。
それを店舗だけでなく、全国の方に食べていただきたい思いで拡販する。
まだまだ取り組みの始まりではありますが、新しい潮流をこのとんかつ屋さん
なりに創り出しました。
今までメーカーの直売進出、小売店出店という流れはありましたが、
逆の流れは多くありませんでした。
私のお手伝いしている、海外の低コスト商品の仕入れ支援のお客様にも
多いですが、最近ではインターネットショップで仕入れ品を販売されていた方が
オリジナル商品(OEM、完全オリジナル)の開発に着手する例も
増えてきています。
この店舗では、メーカー化への新しい方向へ舵を取りました。
顔が見えるお客様のニーズを反映させたオリジナル商品の開発や直売によって
粗利の確保を行っていく企業努力が求められています。
メーカーの直売進出、小売のメーカー化、どちらも決して簡単ではありませんが、
2008年以降も確実に増えてくる流れだと思います。


