SC経営のヒント136:『業種別バランスの大切さ』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.136━2008.1.31━
 船井総研コンサルタント 山本 匡発行
 ★ショッピングセンター経営のヒント★
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☆今週のコンテンツ☆
『業種別バランスの大切さ』
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こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
2008年も早くも1ヶ月が経ちました。
一年の勝負はスタートダッシュが肝心です。
今一度、年初に立てた計画を見直してみましょう。
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 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆ 
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■業種別バランスの大切さ
SCの開発・リニューアルをお手伝いする際に注意していること、
というのはもちろん多種多様にわたりますが、
その中でも特に注意していることは、入居専門店の面積バランスを
最適な配分にするということです。
全体の売上を100とすると、この部門は8%、この部門は2%、
この部門は3%、というように、売上構成比が算出できます。
ひとつのSCの中に好調部門と不振部門が生まれる原因は、
売上と比較して、それぞれの部門面積の配分が適切ではない
ことが原因になっています。たとえば、アウトレットモールを
ごらんいただくと、たいていは飲食面積を少なめにとってあります。
これは、ピーク時には巨大な集客力を誇るものの、
閑散期には少数のお客様しかおいでにならないため、
ピークにあわせて面積を確保すると過大面積になってしまうからといえます。
このようなことは、どのSCにも当てはまることです。
書籍、CDレコード、アミューズメントなど、大きなSCでもほとんど1店舗、
多くても2店舗しか入らないような業態は、
全館の集客力と対象業種の売上が相関関係にあることがほとんどです。
また、飲食部門、服飾部門、アパレル部門といった大くくりでの売上も
おおむね相関関係にあります。この相関係数は、郊外型SCと駅ビル、
百貨店などでそれぞれ異なってきますため、
自らのSCの現在と過去の構成比を洗い出してみると、
自らのSCにおける過去の構成比が浮き彫りになると思います。
私どもが新しく開設されたSCを見るときは、
商圏、周辺競合、全体構成はもちろん、部門構成も注目して見ます。
話題の店舗の有無も大事ですが、
バランスのよいプロポーションになっていないSCは、
必ず近いうちに問題点が浮き彫りになってきます。
デベロッパーはテナント企業の個別努力に注目しがちですが、
たとえば飲食店が館の集客力に比較して多すぎたら、
かならず不振店舗が生まれてくるのはやむを得ないことといえます。
最近では巨大な面積のSCが増えたため、わざと面積過大にして
入れ替わりを促進しているのではないか?と疑うようなSCもあります。
(その後、そのデベロッパーにはそういうバランス基準がないということを知り、
愕然としましたが・・・)
ともあれ、商業施設の企画とは売上予測に始まり、
必然的に業種別面積配分を考え、適正賃料の設定をおこなって入居者と交渉に入る、
という手順となるべきなのですが、売上予測が不十分だと、
結局入居者にそのツケが回り、デベロッパーの現場も、
いつまでも同じ課題をかかえたまま走り続けることに
なりかねないという危険性があります。
自らのSCにあるべきバランスを現段階で把握することからスタートです。
そして、これは時代とともに変化するものであり、
毎年小規模の調整をおこないながら、大きな調整が必要となったときに
リニューアルが必要となるわけです。他のSCを視察される際も、
業種別バランスに注目してみましょう。
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* 経営コンサルタント
* 発行人:株式会社船井総合研究所 山本 匡
* ホームページ:http://funai-sc.com/
* E-MAIL:< info-sc@funaisoken.co.jp >

SC経営のヒント135:『時代を掴むヒント1』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.135━2008.01.25━
 船井総研コンサルタント丹羽英之発行
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☆今週のコンテンツ☆
『時代を掴むヒント1』
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、時代を掴むヒント1と題しまして皆様にお伝えしたいと思います。
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『時代を掴むヒント1』
流通・小売サービス業では、新業態を考える際に注目すべきは
業界動向といえます。
特にメーカーの動向は注目すべきでしょう。
例えば、私のお付き合い先のゲームソフト店ではニンテンドーDSとWiiの
基本戦略(ターゲットの拡大)に添った新業態に挑戦しています。
ニンテンドーDSは販売14ヶ月で600万台に普及。PS2が600万台に達成するのに
21ヶ月かかったことを考えると、爆発的なヒットと言えます。
その背景には「ゲーム人口を拡大する」という任天堂の基本戦略があります。
これは、「1世帯あたりのユーザー数をいかに増やしていくか」というWiiの
コンセプトにも現れています。
それらは
1.家族の誰にも敵視されない
2.年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わない
3.家族全員にとって自分に関係のある存在になる
4.毎日電源を入れてもらう。
これら4つを目標に
1.Wiiリモコン→誰でも遊べる直感操作
2.Wiiチャンネル→Wiiは眠らない/24時間常時ネットサービス
3.Wiiコネクト24→家庭のテレビにチャンネルが増える
  (お天気、似顔絵、ニュース)
4.バーチャルコンソール→懐かしのゲームソフトをダウンロード
  (ファミコン以降のソフトを活用)を実現しています。
そして、WiiはPS3の3倍以上となる340万台の販売実績となっています。
(2007年8月実績)
つまり、WiiもニンテンドーDSも家庭内のユーザー数を増やし、
女性や年配層といったゲーム初心者の囲い込みに成功したのです。
一方、小売に目を転じると2007年3月29日にゲームソフト店「カメレオンクラブ」を
展開する上昇が民事再生法の適用を申請。
直営・フランチャイズを含め150店以上展開する中古、ゲームソフト店の
民事再生法の適用は、変わるに変わりきれない小売の閉塞感を如実に現している
といえます。
(実際に上昇の不振はゲームソフト店ばかりではなかったようですが・・・)
一般的にゲームソフト店は新品と中古の両方の販売をします。
中古マーケットは新品市場と連動するので、これだけマーケット(販売実績)が
伸びていたら、ゲームソフト店の売上も伸びてもおかしくないのですが、
実際には取りきれていないのが実情です。
それは、既存のゲームソフト店は相変わらず、若年層の男性をターゲットとした
(マニアな)店づくりをしているからです。
マニア向けではないゲーム初心者(女性)でも入りやすい中古ゲームショップ。
これがゲームソフト店の目指す新業態といえるでしょう。
それは、女性や年配者にとって、
「入りやすい」「見やすい」「買いやすい」「売りやすい」店となることです。
例えば、
分かりやすいゾーニング(新品、中古)、色分けしたコーナーPOP(メーカー別)、
大型POP(見やすい文字)から始まり、接客の仕方まで様々な取り組みが可能です。
そして、これらの具体的モデルは往々にして異業種にあるものです。
ぜひ、このような視点で皆様のお店が新業態への第一歩を踏んでいただければ
幸いです。
それらが、これまでにない、日本を面白くするお店になることを期待しています。
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 ★ご意見・ご質問・仕事の依頼などどんな些細なことでもいいのでメール
  下さい!必ずお返事は書きます。
  また、取り上げて欲しい話題・ご質問などもお待ちしております。
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SC経営のヒント134:『機動力を高める』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.134━2008.01.17━
 船井総研コンサルタント 野田陽一郎発行
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『機動力を高める』
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
初売りを見ていると、売れるお店、集客に苦戦しているお店の2極化が
進んできたことを実感します。
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■機動力を高める
2007年の歳暮商戦は、各百貨店軒並み前年比増を記録しました。
これは店頭販売が前年ほぼ横ばいであったのに対して、インターネットでの
受注増が主な要因です。
主な百貨店でも20%〜30%増と前年比プラスになっています。
売れ筋商品も客単価も変わらない中で、売れる時期は店頭とインターネットで
異なり、インターネットからの受注は後半に偏るといった傾向になっています。
このインターネットで買物をする流れや、購買心理といったものを小売側では
大きく変えることができません。ですから、それを無理に変えようとしたり、
見ないふりをして従来の商売をし続けていては、売上をつくっていくことは
難しいように思います。
それよりも、いかにその流れに対応していくことができるかが今問われます。
インターネット販売からの受注が偏るようであれば、それに対応する人員の
確保が必要ですし、土日に平日の3倍集客があるのであれば、それに対応した
人員の確保、店頭・什器配置を変更するといった売場づくりが必要となります。
ショッピングセンターでテナントさんのお話を聞いていると、「わかっている
けど対応できない・・・」と言う言葉をよく聞きます。
売上は取れる時に取る。これが原則ですが、同じ「10%増」でも母数が100なのか、
1,000なのかによって確保できる売上・利益は大きく異なります。
特に、「予想外」の変化があった時に、すぐに売場・商品の対応ができるかが
結局のところ締めてみたら大きな差になっているのです。販促効果で予想外の
集客があった時に商品補充に対応できるか、急に気温が下がった時に店頭のボディ
を変えることができるかといった細かなことに対しても同様です。
お客様の嗜好がすぐに変わる、平日の夜が売れないといった環境の変化への対応力、
予想外の変化にもすぐに対応できる機動力が今求められており、それは今後
ますます必要となってくる店舗力ですので、店舗の皆さんや店長会での情報共有、
シュミレーション等による訓練をして機動力を高めていただけたらと思います。

SC経営のヒント133:長期的成功

年始のご挨拶
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船井総研の山本匡です。
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年末に、20年ほど前に話題になったレストラン2件に
出向く機会がありました。
ひとつは、最盛期に年商20億円を超えた大阪の巨大テーマレストランです。
残念ながら当時のような繁栄ぶりはみられない様相になっていました。
他地域にも複数出店していたのですが、すべて閉店されたようです。
もうひとつは、サテライト的店舗を多数出店している
兵庫県のメーカー直営レストランです。
ここは、実に更にパワーアップしている感すらうけました。
通信販売も充実しており、団体客も多数来店しています。
店内は以前と同じく生演奏が流れており、ホールからは能楽の舞台が見えます。
(分かる人は、これでお分かりいただけるでしょう)
一時話題になり市場や業界を席巻することと、長きに渡って繁栄を続けること、
それは決して同じものではない
、と考えざるを得ませんでした。
片方はランチ客単価が1000円代で、カジュアルに楽しめますが、
何度かいくと飽きるようです。私も20年前によく利用していました。
もう片方は、ランチでも2000円代とやや高く、
そう高頻度に訪問するものではないものの、
一年に何回かは行きたくなるような店です。
メニューの組み立てや提供のタイミング、ある程度お客様が自由にできることなど、
いろいろ工夫されていることがよく分かりますし、
またそれらは20年前とほとんど変化がありません。
単価の違い、商売に対する考え方の違い、客層の違い、同じ話題の店でも、
様々な違いがあります。
SC業界では、最近話題の店や集客力の高い店に目を奪われがちです。
新しくオープンするSCの多くはそういった要素を重視して開発されています。
しかし、ここ数年話題になった企業で、10年経っても繁盛を維持している
店はどれだけあるでしょうか。
また、90年代に業界のリーダー格であったにも関わらず、その後凋落し、
長期にわたり経営再建中であったり、
あるいは他企業に買収された企業も数多く出てきました。
多くのSCは「いいとこどり」でもやってゆけますが、
それだけでは、競合が出たらとたんに大きな影響を受けます。
全国的に競合過多の時代の中で、
長きにわたっての繁栄を目指すという視点がSCにも必要になってきていると

強く感じています。
SCのハード面や契約、運営といった基本に加えて、テナント企業との対話、
テナント企業への助言、優秀な人材の採用と育成、
こういったソフト面の充実
がこれまで以上に大切になってきそうです。
長い目で見た繁栄とは、揺るぎのない定番を持つことといえそうです。
それがいったいなんなのか、それを突き詰めることは決して容易ではないでしょう。
しかし店舗プランナーである前に経営コンサルタントである我々は、
目先的短期的繁栄だけでなく、長期継続的繁栄を可能とするビジネスモデルに、
本年も精力的に取り組んでゆきたいと感じています。