SC経営のヒント133:長期的成功

年始のご挨拶
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船井総研の山本匡です。
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年末に、20年ほど前に話題になったレストラン2件に
出向く機会がありました。
ひとつは、最盛期に年商20億円を超えた大阪の巨大テーマレストランです。
残念ながら当時のような繁栄ぶりはみられない様相になっていました。
他地域にも複数出店していたのですが、すべて閉店されたようです。
もうひとつは、サテライト的店舗を多数出店している
兵庫県のメーカー直営レストランです。
ここは、実に更にパワーアップしている感すらうけました。
通信販売も充実しており、団体客も多数来店しています。
店内は以前と同じく生演奏が流れており、ホールからは能楽の舞台が見えます。
(分かる人は、これでお分かりいただけるでしょう)
一時話題になり市場や業界を席巻することと、長きに渡って繁栄を続けること、
それは決して同じものではない
、と考えざるを得ませんでした。
片方はランチ客単価が1000円代で、カジュアルに楽しめますが、
何度かいくと飽きるようです。私も20年前によく利用していました。
もう片方は、ランチでも2000円代とやや高く、
そう高頻度に訪問するものではないものの、
一年に何回かは行きたくなるような店です。
メニューの組み立てや提供のタイミング、ある程度お客様が自由にできることなど、
いろいろ工夫されていることがよく分かりますし、
またそれらは20年前とほとんど変化がありません。
単価の違い、商売に対する考え方の違い、客層の違い、同じ話題の店でも、
様々な違いがあります。
SC業界では、最近話題の店や集客力の高い店に目を奪われがちです。
新しくオープンするSCの多くはそういった要素を重視して開発されています。
しかし、ここ数年話題になった企業で、10年経っても繁盛を維持している
店はどれだけあるでしょうか。
また、90年代に業界のリーダー格であったにも関わらず、その後凋落し、
長期にわたり経営再建中であったり、
あるいは他企業に買収された企業も数多く出てきました。
多くのSCは「いいとこどり」でもやってゆけますが、
それだけでは、競合が出たらとたんに大きな影響を受けます。
全国的に競合過多の時代の中で、
長きにわたっての繁栄を目指すという視点がSCにも必要になってきていると

強く感じています。
SCのハード面や契約、運営といった基本に加えて、テナント企業との対話、
テナント企業への助言、優秀な人材の採用と育成、
こういったソフト面の充実
がこれまで以上に大切になってきそうです。
長い目で見た繁栄とは、揺るぎのない定番を持つことといえそうです。
それがいったいなんなのか、それを突き詰めることは決して容易ではないでしょう。
しかし店舗プランナーである前に経営コンサルタントである我々は、
目先的短期的繁栄だけでなく、長期継続的繁栄を可能とするビジネスモデルに、
本年も精力的に取り組んでゆきたいと感じています。