「食」のパーソナルユース強化

物販商材というのは、大きく「ホームユース」と「パーソナルユース」に分かれます。
ホームユースとは家族のための買い物、パーソナルユースとは自分のための買い物です。
スーパーストア系の業態では主としてホームユース商材を中心に扱う一方で、
パーソナルユース商材は専門店で取り扱うことが主となっています。
どんな商品にも購買経験というものがあり、子供のころから慣れ親しんで
購買経験を重ねた商品はパーソナルユース化してゆきます。

シャンプーでいうと、私たちが子供のころにはシャンプーすらあまり普及しておらず、
石鹸で体を洗っていました。
いまは親が買ってきたシャンプーを子供のころから普通に使用しています。
そうするとだんだんシャンプーに対して理解が進み、中高生くらいになると「マイシャンプー」を買ってきて使うようになります。
こういうのがパーソナルユース化の一例です。

一方で購買頻度が少ない商品はあまりパーソナルユース化しにくいともいえます。
仏壇やランドセルといったものは何度も買うものではないので、
多少時代の流れで今風になっているとはいえ、原形となるものはそう大きく変化していません。

食の世界はもともと購買頻度は高いものの、
親や奥さんが買ってくることが大半であり、基本はホームユースです。
しかし、そのなかでも特別にこだわりのある商材は急速にパーソナルユース化します。
お酒などはその典型と言えます。

またパンやビールなどの商材は大手メーカーのシェアが高い商品です。
それゆえに、バリエーションもあるようでなかった商品です。

コロナ以前からこの食品の世界でもパーソナルユース的な売り方で
専門店販売で売り上げを上げつつある商材が増えてきました。
そして昨年のコロナ禍でも(大観光地を除いて)ほとんど影響を受けずに売り上げが伸び続けています。

食の世界も、時間をかけてじわじわとパーソナルユース化してきました。
成城石井やカルディのような店が人気が出てきているのも同じ理由だろうと思います。

この、パーソナルユース化という大きな流れに対応できるのが、「食の単品専門店」の展開です。
ショップをテナントとして誘致することもありますが、小額投資・短期回収を生かして直営化する方法もあります。

次回のSCオフ会では弊社の単品食品責任者をゲストに招き、特に地方都市のSCや駅ビルにおける単品食品ショップの可能性についてお話ししようと思います。弊社実績については、お気軽にお問合せいただけましたらと思います。

【参加希望の方必読!次回SCオフ会の開催概要】
・開催日時:9月16日(木) 13:00-14:00
・開催場所:オンライン(zoom使用)
・講座内容:商業施設経営の勉強会 ~コロナで変わるSCのビジネスモデル~
①withコロナで変わるSCのビジネスモデル
②話題の施設・テナントの出店リニューアルポイント
③食品コンサルタントが新たな業態モデルを提案
④業種コンサルタントを交えたパネルディスカッション

お申込み詳細は、今後のSCメルマガにてご連絡いたしますので、しばらくお待ちください。

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SCに入れるべきテナントとは?

前回記事では、SCのポップアップ店舗を活用した新戦略をご紹介しました。①出店者への販売代行サービス ②SCデベロッパーが自らBtoCの新規事業を立ち上げる の2点の戦略をお伝えしました。
今回はSCに入れるべきテナントについて具体的にご紹介いたします。

SCに入れるべきテナントでおすすめは、BtoCのロードサイド型単独集客モデルの店舗になります。地域のロードサイドに路面店を構えるBtoCの事業の多くがこのビジネスモデルに値します。
従来のSCのような「モノの販売」だけではなく、様々な客層に向けた「サービスの提供」の店舗を積極的に誘致していくことも考えてみましょう。ロードサイド型単独集客モデルの店舗を誘致することは、SCデベロッパー・出店者双方に利点をもたらします。

■SCデベロッパーの利点:
①出店者の自力集客により新規顧客の獲得が可能
②店揃えの充実

■出店者の利点:
①SC集客の活用による自力集客の負担軽減
①SCに来る顧客への認知度向上&新規顧客の獲得が可能

このように双方にメリットのあるロードサイド型単独集客店舗ですが、特に償却の終わった地方SCへにとっては路面店と変わらない賃料で効果は最大化します。

以下では、今の時流にあった注目度の高いのビジネスモデルをいくつかご紹介いたします。

①高級食パン専門店(食品販売)
→食パンやその付随商品(ラスクやジャムなど)を専門に販売する店舗。食パンの製造に徹底的にこだわり、従来の食パンの4-5倍の価格にて高付加価値な食パンを販売。小スペース(15坪~)の展開が可能な点や、家庭消費ニーズに答えることができる点などSC出店に適したビジネスモデル。

②セミパーソナルフィットネスジム(サービス提供)
→大型フィットネスジムとパーソナルフィットネスジム(1対1)の良いとこ取りをしたようなフィットネス事業。1人のトレーナーと複数人の会員とでセッションを行う。小スペース・少器具からの展開が可能な点や健康志向の高まりに即している点など、SC出店に適したビジネスモデル。

③カラー専門店
→カラーリング(主に白髪染め)に特化した美容サロン。現在では、全国に550店舗以上が存在し、伸び続けているビジネスモデル。SC内では10坪という小スペースからの展開が可能。主なターゲットである「40代以降の女性」が多く集まるSCに適したビジネスモデル。

④チョコレート専門店
→チョコレートを専門に製造・販売・小売の実演販売を行う食料品店。スイーツ市場の中で継続的に伸び続けているのがチョコレート市場。大人から子供までSCの様々な客層全てのニーズに対応可能なビジネスモデル。

上記以外にも船井総研が取り扱う新規事業はSC出店に適したビジネスモデルが多く存在します。上記以外のビジネスモデルはコチラからご覧ください。
また、このようなビジネスモデルの立ち上げや誘致については、船井総研でもお手伝いをしております。
なにかご不明な点やご質問等がございましたら、船井総研までご相談ください。

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マーケティングのスイッチ

コロナ影響が長引く中、消費市場は冷えており来店客数は減少し、通販など一部のチャネルを除いて小売業外食産業は不景気に突入して1年以上がたちます。すでに好景気型マーケティングから不景気型マーケティングへの転換が必要な時期にきているのですが、その一方で「数年前からのやり方」をそのまま継続している例が多数見受けられます。

好景気型から不景気型のマーケティングへと大きくスイッチすることが必要なのですが、ここを理解していないと現場で売上が上がらない・・・となります。一般論として、好景気の時は「付加価値向上」がやりやすく、値上げやグレードアップのチャンスといえます。ラグジュアリー志向を仕掛けやすく、高級品はもとより1000円を超えるラーメンや2000円近いスイーツも話題になりました。

反対に、不景気の時は好景気時代の商品をすこし安く提供することで売上を上げやすくなります。船井幸雄はこれを「不景気になったら、いいものを安く売りなさい」と語っていました。個別には商品ごとに打ち手が変わってきますが、いずれにしても数年前と同じメソッドでMDや商品開発していても、それでは売れなくなっていきます。

この1年で開業した商業施設も「好況期の終わりごろ」に企画され、好景気アタマで開発されたものが大半のため、いきなり不況期突入で苦しんでいるところが多いです。「不景気型の商業施設」への急速な転換が必要ですね。

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SCにおける”ポップアップ店舗”を活用した新戦略

前回記事では、SCの新たな店舗のあり方として「ポップアップ店舗」をご紹介しました。お客さんを恒常的に集めるために、ポップアップ店舗を活用してSCとしての「店揃え」を充実させていく重要性をご説明いたしました。

今回は、そんなポップアップ店舗を活用したSCの新たな戦略をご提案します。

まず1つ目のご提案は、ポップアップ店舗出店者への販売代行サービスの提供です。
DtoCの事業を行う出店者さんは、基本的にSCなどの商業施設の店舗型販売において売上を伸ばしていくノウハウをあまり持っていないことがほとんどです。売りを優先するのでなく、ブランド認知を優先させる傾向が強いと言えます。

そこで、そのような出店者に対して、店舗の販売を熟知する施設デベロッパーの社員がポップアップ店舗における販売代行を行うのです。
ポップアップ店舗をテストマーケティングの場として活用し、店舗での消費者の反応や感想をデベロッパー社員が出店者に対してFBを行ったり、売り上げ向上のためのマーケティング戦略を提案したりします。
そうすることで、テナント料として出店者の売上からのフィーだけを回収していたところを、販売代行・マーケティング代行を含めたより高いフィーを回収することが可能となります。
いわば、従来SCが「場所貸し業」であったところから、「販売・マーケティング代行業」へとレベルアップをしていくというイメージになります。

2つ目のご提案は、SC内のポップアップ店舗を活用して、SCデベロッパーが自らBtoCの新規時事業を立ち上げるという戦略です。
従来、SCデベロッパーは建物という箱だけ用意して、そこにいかに充実した店舗を入れていくかが重要でした。逆に言うと、人が自然と集まってくる時代においては、箱を作って店を入れるだけで売上はとれていたとも言えます。
しかし、前回記事でも触れたように、「簡単にお客さんを集めて簡単に売上が上がる」時代は終わったと言えます。これからは提案の1つ目でも記載したように、「場所を貸す」以外で、いかに売上を取れるかがSCに取って、とても重要な事項になってきます。

そこで、SCデベロッパーが自らBtoC事業を立ち上げ、SCのテナントとして出店することでさらなる売り上げ向上を図っていこうとういうものになります。

前回お伝えしたように、SCにいきなり本出店するのはリスクが高いと言えます。SCのポップアップ店舗として出店し、消費者のニーズの把握、消費者の商品への反応を試すなどトライアルを行いながら、出店を進めていく形が双方にとってリスクのない手法となります。

ポップアップ店舗は①期間限定のためリスクが抑えられる ②店舗の独立性が高く、消費者の目に止まりやすい=注目度を上げやすい という2点の特徴から新規事業のトライアルには最適な手段と言えるのです。

その観点から言えば、すでに消費者のニーズ把握を把握しているSCデベロッパーが販売代行を請けおったり、自ら事業をしていくことは今後の事業戦略において十分に検討に値すると思います。

集客が困難なこの時代に、いかにテナントの売り上げ以外でSCとしての収益を上げられるかが、今後のSCの生き残りのために必要条件となってくることが予想されます。
本日ご提案した2つ新戦略のように、「ポップアップ店舗」を上手に活用して頂ければと思います。

次回はデベロッパーが行う新規事業の具体策をお伝えさせて頂きます。

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