ショッピングセンター自体への客数が落ちている昨今、どの施設も入店率、買い上げ率、回遊率のアップは喫緊の課題となっています。
今回は、店舗のデジタル化という観点からお話したいと思います。
入店率・買い上げ率アップ方向性として、“お客さんとのタッチポイントを増やす”ということが一つのKPIといえ、そのための方法としてデジタル化があると思います。
例えば、その一つとしてインフォメーションのデジタル化を例にとってみましょう。
いま多くの商業施設では「インフォメーションの無人化・省人化」がトレンドでが、
同時に、自身が客側になったときに「少し味気ないな」「知りたいことが分からないな」と、思ったこともあるかもしれません。
ではこの場合、インフォメーションにおけるデジタル化の最適解は何なのでしょうか?
インフォメーションの業務の7~8割は“店はどこ、トイレはどこ”といった定型業務です。
のこりの2~3割は、細やかな接客の必要な非定型業務になります。
つまり、デジタル化すべきは主にこの“定型業務”の方になるわけです。
これまではこの“定型業務”も人を介してやっていましたが、どんな大きなショッピングセンターであっても各フロアにインフォメーションを置けるわけではなく、待ち時間も発生したりして、結果的にはサービスを必要としている人のうちの限られた数しか対応できていない状況がありました。
デジタル化を上手に使いこなせばむしろ“サービスの質アップ”につなげられる、素晴らしい機会だと考えられます。
“定型業務“をデジタル化することによって、本当の意味で接客を必要としている人に、濃い対応をすることができるようになります。
デジタル化において最初のハードルはQRコードがそもそも読まれないことですが、例えばただの無人ではなくアバターに変えていくとか、ロボットを置いてみるとか、そのロボットが声がけをしてそのサイネージに誘導してみるとか、やり方次第でハードルの改善はできそうです。
ところで、デジタル化のわかりやすいもう一つの例としては「デジタルフロアマップ」があると思います。今まではアナログのフロアマップが各階に貼ってあったものをデジタルにアップデートしたものです。
最新のデジタルマップでは、ただの地図だけではなく、飲食フロアの待ち時間や空き時間をポップアップすることもできますし、道案内までしてくれる機能があります。従来の壁の地図から、大きく成長したサービス提供ができるはずです。
このデジタルフロアマップでは、顧客の利便性アップだけではなく、従来のマップには無かった“タッチポイントの回数が増やせる”という所が最大の魅力です。
施設でやっているイベントの告知や、通りすがったお店のセール情報など、さまざまなポップアップを画面上に写すことができるのです。
ショッピングセンターの入店率が落ちているこの時代に、入店率や買い上げ率、店舗の回遊率を上げていくために、これまで限られた媒体だけでやっていた情報提供を、もう少し今の時代にあったタイムリーに適切に情報を提供できるような仕組み・仕掛けの環境づくりを作っていくことが重要といえます。
重要な視点は先ほどインフォメーションの例にもあったように「デジタルとのハイブリット」です。0か100かではなく、ハイブリットを目指すことで、デジタルでしかできないこと、人でしかできないことが明確になり、それぞれの領域で良質なサービスを生み出すことが可能になります。