観光業界では、大都市のビジネスホテルも足元の稼働が改善しており、インバウンド集客も増加しつつあります。
うっかりすると何事も「昨年並み」に考えがちですが、今年のゴールデンウィークについてはどこの観光型商業施設も大躍進の期待が高く、観光客集客ができる店では昨年を大きく上回る目標を立てて挑む必要があるといえます。
従来は、スーパーは地元客だけ、道の駅は観光客主体などという具合で、客層として観光と地元の色分けがはっきりしている店が多かったといえます。
観光客が来る店は非日常感がある店で、土日祝主体で平日は集客できない
地元客が来る店は日常感がある店で、平日は集客できるが土日祝は他店にお客をとられる
このような傾向があったといえます。そういう考えから、商品も店づくりもそのように最適化されていました。
実際、大手流通が手掛ける大型SCで観光客をターゲットにした売場を展開してもなかなかうまくいかず、地元は地元・観光は観光という割り切りで考えていた事例が多いように思います。
これは、観光客が団体バス主体だった時代の話といえます。
現在では団体バスは激減して、いかに個人客の高付加価値層を獲得するかというのが観光業界が取り組んでいることです。
いまは道の駅にしても産直にしても郊外型の食品専門店にしても、繁盛店というのは「平日地元・土日観光客」という客層構成になりつつあります。
この10年、百貨店で売上が伸びたのはインバウンド需要、すなわち「お土産」です。
アウトレットモールは平日は地元客で、土日祝は広域の観光客で売上を伸ばしています。
一方でGMSや地方駅ビルは苦しいです。
つまりは観光客をとれている業態が伸びており、とれてない業態が伸びてないわけです。
駅ビルにおいてもモールにおいても同様で、近隣客のリピートを大事にしながら、いかに「より広域」から「より普段来ない若い客層」「より普段売れないような値段の高い特別感のあるもの」を売るかという方向にマーケティングの視点が変化しているように感じられます。
ある程度の大きさのSCや駅ビル・モールはこの先いかに「観光客」をとりこめるようになるかが伸びしろになるといえます。
また、専門店業界においても、何かの強みでバズるなどして広域集客、あるいは特定のファン層集客が出来るようになるというのも、これからの新たな「観光客」獲得になるといえます。
インスタ集客などはまさにその成功例です。
地元客を大切にしながら、これからは(従来とは異なる)観光集客を拡大する。
これが今後の商業施設のマーケティング基本戦略の中核になるといえます。