【SC経営のヒント277】:『好調な駅ビル、苦戦する駅隣接の商業施設』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.277 ━ 2011.03.03
 船井総研 コンサルタント 丹羽 英之発行
 週刊 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆
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 ☆今週のコンテンツ☆
『Main Contents:好調な駅ビル、苦戦する駅隣接の商業施設』
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 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆ 
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『好調な駅ビル、苦戦する駅隣接の商業施設』
まちづくり3法の改正以来、郊外に大型商業施設(1万平米以上)が開
発できづらくなり、大手デベロッパーは中国か日本の都市部(商圏
130万人)での開発・リニューアルに注目しています。都市部に強い
パルコの株式取得もここに攻勢をかけたいデベロッパーの意向の表
れのようです。
今のところ、都市部での勝ち組は、駅ナカ、駅ビルといえそうです。
一般的に、商業施設の売上は核店舗の集客で決まります。だいたい、
核店舗の売上高×2倍が商業施設全体の売上高であることが多く、
これは核店舗の集客(売上)で支えられるテナント数に限界があ
ることを意味します。ここで言う核店舗とは、自力集客(自力販
促)ができ、館全体の集客に貢献する(大型)店舗を指します。
ですから、(郊外型)SCでは、GMSと大型専門店が核店舗と言えま
す。この核としてのGMSは、機能として衣料・食品・住関連が必要
ということで、食品SMと衣料・住関連の(大型)専門店という構
成でも大丈夫です。また、専門店の規模と銘柄は商圏の大きさに
よって決まります。大商圏(50万人以上)ならロフト、中商圏
なら無印(30万人以上)、小商圏なら100均といった感じです。
一方、都市部で勝ち組の駅ビルは、駅乗降客が核店舗の機能を果た
すことが、(郊外型)SCとの大きな違いといえるでしょう。実際に
乗降客が核となるのは都心部のターミナル駅だけで、それ以外の駅
ビルは後背地にある商圏を取り込むことが必要なのですが、この後
背地にある商圏を取り込むには、マーケットが大きく、来店頻度の
高い食品が鍵となります。
例えば、食品の売上構成比は館全体の20~30%あるのが普通ですから、
核店舗の中でも特に食品がポイントと言えるでしょう。
実際に、駅ビル、(郊外)SCともに、商業施設の規模、新旧に関わ
らず、購買頻度が高く、マーケットの大きい食品を全体販促で強化
していくことが、即時業績アップ策なのです。
一方、一番苦戦しているのが駅隣接の商業施設ではないでしょうか。
駅に隣接する商業施設は、駅ビルや郊外SCとのターゲットの違いを
打ち出せず、雑居ビルの様相を呈していて、集客の核がないのが実
際です。
特に、隣接する駐車場(駐輪場)が少ないことが多く、本来は核と
なる食品で後背地のお客様をとれないのが一番の苦戦の要因でしょ
う。
そんな駅隣接の商業施設でも、ファミリーをターゲットとしている
SCが好調のようです。
また、好調な駅隣接の商業施設には下記のような特徴があります。
・300坪クラスの大箱の専門店を数持っている。
・大箱の専門店が商圏内一番面積店である。
・この大箱の専門店がGMS機能を補完している。
・フルライン、全客対応のテナントが多い。(ターゲット、商品を
絞り込み過ぎない)
・過去一斉を風靡したテナントが生き残っている。
やはり、商売は「どこで、誰に、何を売るかが」基本となります。
ショップ・テナントも自社の立地特性を正確に把握し、ターゲット
を明確にして商売をしていきたいものです。
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■週刊 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆
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発行人:丹羽 英之(にわ ひでゆき)
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