━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.392 ━ 2014.10.02
船井総研 コンサルタント 山本 真輝 発行
週刊 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆今週のコンテンツ☆
『Main Contents:ホテル・旅館のブランド戦略』
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆ショッピングセンター経営のヒント☆
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ホテル・旅館のブランド戦略』
ひとくちに“宿泊施設”のブランディングといっても、実はホテル
と旅館ではブランディングにより期待できる効果に違いがあります。
期待できる効果が異なるため、その施設形態(ホテルなのか旅館な
のか)によってブランディングも変える必要があります。
ではホテルと旅館では、そのブランディングによる効果にどのよう
な違いがあるのでしょうか?
ここで2つのケースを想像してみてください。
ケース1.九州のローカルチェーンホテルが東京に進出する。
そのときの九州にある既存ホテルへの影響は?
ケース2.別府の旅館が、箱根に進出する。そのときの別府にある
旅館への影響は?
携わった事例でも同傾向ですが、一般的に答えは以下のとおりにな
ります。
ケース1の場合は、九州にある既存ホテルも稼働率が上がります。
東京に進出する=東京圏在住の人がそのブランドを認知することで、
東京圏在住の人が九州へ出張する際に、知っているブランド=何と
なく安心・安全なブランドということで、予約を受けやすくなり、
結果として稼働率が上がる傾向にあります。
ケース2の場合は、別府にある旅館は、ほとんど影響はありません。
箱根に進出する際の広告宣伝分くらいは集客にプラスの影響をもた
らしますが、あくまで一過性のものに過ぎません。
以前に、台湾に進出した加賀屋(「プロが選ぶ日本のホテル・旅館
100選」にて34年連続日本一の名旅館)の役員の方とお話しする機
会がありましたが、日本の加賀屋と、台湾の加賀屋では顧客の共有
は少ないとのことでした。
台湾進出時はテレビの経済番組でも取り上げられ、台湾人を日本の
加賀屋に呼び込むためのステップとして戦略が伝えられていました
が、実態は異なるようです。
では、ホテルと旅館ではなぜこのような違いが出るのでしょうか?
これは「旅」(=宿泊を伴う外出)におけるホテルと旅館の役割の
違いが影響しています。
まず旅におけるホテルの役割ですが、ホテルを利用するような
「旅」の場合、ホテルは、あくまで旅の目的ではなく、何か他の目
的があって、ホテルは宿泊の手段に過ぎないことが多いです。
どこかに泊まらなければいけない状況下で限られた選択肢から、
そのホテルを選んでいるだけです。
このような消極的な需要の場合、ホテルへの期待は「安全」
「安心」「清潔」など、宿泊における必須要件の安定提供が、より
重要となります。
ブランディングの際も、上記の要素に焦点を当てた打ち出しが効果
的です。
一方、旅館は、その旅において旅館の利用すること、それによって
得られる体験が目的になっていることが多く、わざわざ泊りたい旅
館を探して、その旅館を楽しみに旅行に出かけることが一般的です。
もちろん予算などはありますが、地域が制限されることはなく、
あくまで好きな場所を探すのです。
このような積極的な需要の場合、旅館への期待はズバリ「宿泊する
魅力」です。
チェックインからチェックアウトまでの時間における体験の感動の
最高値がいかに高いかが、より重要となります。
ブランディングの際も、その感動のピークに焦点を当てたストー
リーづくりが効果的です。
皆様の施設が打ち出しているメッセージは、その施設に適しているか?
是非、今一度確認してみてください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■週刊 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆
ご意見・ご感想お問い合わせなどは⇒ info-sc@funaisoken.co.jp
発行人:山本 真輝(やまもと まさき)
発行責任者:山本 匡(やまもとただし)
発行所:株式会社船井総合研究所 経営戦略事業部
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-6-6日本生命丸の内ビル21階
TEL : 03-6212-2930(直通)
E-MAIL :info-sc@funaisoken.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━