SC経営のヒント103:地域一番店の落とし穴

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、以前の地域一番店だったSCの意外な落とし穴に
ついてお伝えさせていただきます。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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ショッピングセンター経営のヒント103:
『地域一番店の落とし穴』
適度な競合出店は、現在の店揃えや品揃えを見直す良いきっかけとなります。
競合の出店、それによる売上ダウンというやむを得ずの状況になる前に
何をすべきか?自分たちが変わらず、変わっていくお客様のことを嘆く前に、
時流適応していくことが急務です。
大店立地法の施行以来、それまで地域一番店だったSCが競合SCの出店に
より、苦戦しています。これら苦戦しているSCには共通した課題が
あります。それは特に年末・年始商戦でその傾向が表れています。
その特徴は新店、特に大型店の1人勝ちで、その他の店舗はその商圏内の
位置づけにより、昨年対比が下記のような数字となっているところが
多いようです。
一番店:100%以上・・・大型店、新店
二番店:90%台 ・・・競合出店前の一番店
三番店:80%台 ・・・競合出店前の二番店
四番店:70%台 ・・・競合出店前の三番店
大型店は家族で出かけて時間を潰せるなど、物販以外での集客要素が
ありますし、新店にはこれまでにない買物経験ができることを期待させる
要素があります。一方、競合出店前の地域一番店は規模が小さい上に店揃えに
変化がなく、この両方の要素が欠けているため特に苦戦を強いられているのです。
それではどうすれば良いのでしょうか?増床余地があれば店舗を大型化して、
時間消費する施設を付加することもできますが、多くの既存SCでは
現実的ではありません。そこで、ハード先行ではなく、ソフト(商品と人)の
リニューアルで時流適応していくが必要となるのです。しかし、
10年以上経過しているこれまでの地域一番店では、それまでの業績が
良かったが故に、変わるということに抵抗があるところが多いのが実際です。
お正月の検証をしていても、福袋が売れなくなっている。進物がでない。
単価が下がっている。など、お客様の変化には気づいてはいるものの、では
どう対応するかについて意見が出ないのです。これまでは、地域一番店として、
まず一番に自店を訪れていたので、お店の売りたいものが売れたのに対して、
競合の出店により、二番店、三番店になってしまっているとしたら、それに
合わせた商品と価格で対応しなければならないのです。一言で言ってしまえば、
一番店では比較的グレードの高い商品から売れていたのです。この
グレードはSCの店格(何番店か)と比例しており、店格が下がったらそれ
相応の値ごろな商品が必要となるのです。競合ができ小商圏となり、
客数が減っているのですから、まず、客数を上げていく商品と販促が急務
となります。これはお店をディスカウントストアにしろということでは
ありません。現在の商品構成(MD)に加えて、値ごろな商品を付加
あるいは強化することを意味しています。つまり、各テナント専門店が
MDラインの幅を下に広げることで、入りやすく、買いやすいお店になる
ことが必要なのです。売上が下がったときにまず優先すべきは客数を
戻すことであり、それが業績アップへの第一ステップなるのです。