ご挨拶
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こんにちは。
船井総研の山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は今までのシリーズと逆の視点から「昨今のファッションビル出店」に
ついてお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■昨今のファッションビル出店
この数年、三大都市圏ではバブルの再来といっていい状態に突入しています。
特に中心地の好立地では次々と商業施設が開発されており、各専門店にとっては
出店のチャンスが拡大しています。
さて、今回は新築されるファッションビルについて申し上げたいと思います。
まず、都心のファッションビルや駅ビルは、それなりに賃料も高く入居も
容易ではなかったりしますが、一方でプロモーションも手がけ集客力もあり、
入居すれば成功をおさめられる確率は高いといえます。事例が豊富なので、
出店する側にとっても分かりやすいターゲットといえます。
一方、繁華街路面にできるファッションビルは、これは開発・運営主体も
様々で、大手の百貨店系列からベンチャー企業までいろいろです。また、
プロモーションに関しても独自で手がけるところもあれば、開業販促のみで
あとは何もしない、いわば路面店的なところもあります。
ここ数年の流れを見ていますと、まず、こういった複合ファッションビルに
多く見られるパターンは、建築のデザイン性は高いのですが、館内の
回遊導線があまり考慮されていない場合が多いということです。たとえば
エスカレーターがあっちについたりこっちについたり、あるいは中央部が
オープンモールになっていたり、あるいは変わった形状をしていて中央に
吹き抜けがどんと上がっていて、上層階も右と左が分断されていたりという
ケースが多いです。
特に都心部では大きな敷地が確保しづらく、どうしてもペンシルビルの
ような形状で上層階まで有効活用しようという建築プランにならざるを
得ない場合が多いのですが、物販店舗にとって重要なのは上下階の
回遊性への配慮です。
まずもって、エスカレーターが上下に素直に通っていないビルでは、
上層階に人が上がりにくくなります。また、過剰な建築デザインでもって
吹き抜けが強調されているものも同様です。さらに、オープンモールに
なって外気が導入されると、気候のいいシーズンはいいのですが、雨風寒さ
暑さには非常に弱くなり、ビル全館の回遊性が落ちるという弱点があります。
デザイン性、独自性、ユニークネスを追及するあまり、こういった
原理原則に反している物件に出店する場合は注意が必要です。上層階の
回遊が物理的に困難になっている場合、それは結局客数・売上の低下を
招くという結果を生むことが多いからです。
また、開業後のプロモーションについても、小規模複合施設であれば
入居するショップが各々でプロモーションを手がけるという割り切りも
可能ですから、無用に規模を追求しない商業施設であればよいともいえます。
大きくつくって歩合と販促費も相応にかけるか、小さくつくって、
路面店複合感覚でさほど高くない固定賃料で出店するか。どちらかの
方向性が明確であればそれなりに魅力的といえましょう。