【SC経営のヒント564】製造直売店舗の時代

小売業の店頭販売高がなかなか伸びない中で、売場面積は増加する一方です。
売場面積あたりの販売高は全体としては低下の一途であり、
都市部の商業施設では「粗利高の高い業態」が優位となってきました。
アパレルはSPAショップばかりですし、雑貨も無印良品やニトリのような
企画製造販売型が主軸となって久しいです。
大都市では以前からこのようになりましたが、改めてみてみますと、
地方都市においても製造直売で粗利率を上げる取り組みが
効果的なのではないかと思われます。

米国NY郊外にスチュ・レオナードという有名なスーパーがあります。
もう30年ほど前から注目され、日本からも多数視察ツアーが訪れています。
この店は建物の大半が工場となっており、売場は全体の1/3ほどでした。
コーヒー工場、牛乳工場、クロワッサン工場、寿司工場など、
多くの製品を店内製造しては販売するという店でした。
ですので店頭のSKU数はとても少ないながらも、いいものが安いと
大変人気の店でした。
25年前に視察した際、日本でもこのような製造販売のお店がもっと
増えるのではないかと思っていました。
しかしその後、売場を真似た店はありましたが、
これだけ大規模な製造工場を伴った店はまだないといえます。
(ここ数年、スチュレオナードは新規出店を増やしているようです)

総合型店舗で製造直売というレベルではないにせよ、
単品レベルでの製造直売店はすでに事例があります。
最近視察したなかでは、「日本酒」「ワイン」「しいたけ」
「ハム・ソーセージ」「お茶」「生ラーメン」などを自社工場を設けて、
自社製品を直売することで高粗利化しているお店があります。
横浜に新しく開業した「ハンマーヘッド」では、
洋菓子などのファクトリー併設店舗が複数見られます。

いまは単品レベルでの取り組みが多く、
観光立地など成立する立地がまだ限られている状況です。
ですが、今後こういった製造直売型の店舗開発は要注目と感じられました。

船井総研 山本