商業用不動産の「転用性」

コロナ影響・インバウンド減少で大都市や観光地のホテル需要が減少しています。
これまで専用スペックで建物をつくってきたチェーンホテルの躍進が著しかったのですが、
ここにきて賃貸住宅を転用していたような各戸にドア付きのホテルがホテル営業から
賃貸住宅に転用している事例が出ています。

ホテルとしての収益性を追求すれば、専用スペックで効率的に
建物をつくるほうが当然高収益につながるのですが、
いまここにきて不動産に求められるのは「汎用性の高さ」というものが加わってきたといえます。

同様に商業施設でも、商業専用の建物は窓がないなど事務所用途としては使いにくいものが多いです。
なので、これから企画する商業施設には上層階に窓を設けて、
商業施設として活用しつつ、将来的に商業用途で使えなくなった時には
事務所用途に転用しやすいように工夫しておく必要があると思えます。

米国の郊外型モールは、まるごと事務所用途に転用されているものもありますし、
また1~2Fは店舗でも3Fに学校や公共施設が入居している例も珍しくありません。
建物スペックが当初から転用を想定していれば、
スイッチングにかかわるコストも抑えられることになるため、転用は容易になります。

単純に収益性を最大化するためにはコストを最小化することになるため、
これまでは商業施設として成り立つ最低限のスペックで
極力ローコストで設計することが求められてきました。
しかし、このような事態に直面して、他用途に転用しやすい状態にあるほうが
有利な場合もあるといえます。

不動産投資はロングタームの事業になりますので、その「転用性」の高さが、
今後は着目されてくることになると思えます。
既存物件では困難なことですが、新規計画やリニューアルにはそういった視点を
盛り込むことが必要になるといえますね。

レポートダウンロードはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA