緊急事態宣言も延長され都市部のSCや百貨店、
観光地については厳しい状況が続いていますが、
かれこれ1年を経て立地別の優勝劣敗が明確化してきています。
郊外立地はそれまでちょっとしんどいところが多かったのですが、
ここにきて大都市近郊の立地は比較的調子がいいです。
和洋菓子の単品専門店、クイックエステやヘアカラー専門店などの
新手のサービス業態、大都市圏ではない駅前の外食店舗などに
新たな繁盛店が出現し始めてきています。
成功のポイントは様々ですが、
食品関連では船井幸雄がかつて常々語っていた
「本物化」にあるように思います。
見た目の演出やインスタ販促もさることながら、
食べて「おいしい」かどうか、サービスがしっかりしているかどうかといった、
基本的な力がしっかりしているかどうかが繁盛店化するポイントになってきたと思います。
これまでは好景気型マーケティングでずっとやってきましたが、
いまはすっかり不景気型マーケティングにシフトが必要になっています。
不景気型マーケティングの要点は
「好景気時代の消費体験をより安価な価格で得られる」になります。
これも船井幸雄が20年以上前にバブル崩壊の後に語っていたことです。
消費者の消費体験は相対的なものであり、
比較の対象というものがあります。それはこれまで体験してきたことです。
地方都市で東京の有名店のようなメニューとサービスを
しっかりやっているイタリアンがあり訪問してきましたが、
お手軽な価格で地元比較ではあきらかにワンランクツーランク上の
満足度の店になっており繁盛していました。
従来こういったことはナショナルチェーンが強かったのですが、
ナショナルチェーンにはないスタッフトレーニングができるのは地元店の強みといえます。
オーナーの想いがすみずみまで実現できるのは小規模企業ならではの強みといえます。
SCもナショナルチェーンのリーシング頼みではなく、
地元優良店舗、地元でなくても隣接地域の優良店舗を
これまで以上に足をつかって開拓してくる時代になっています。
そういう企業にアプローチする際に、
自分たちにも熱い想いがあることをしっかりお伝えせねばなりません。
「いま場所があって賃料いくらで、よかったらやりませんか?」
こういった軽いアプローチだけではそういうオーナーの琴線に触れないこともあるでしょう。
自分たちはどういうSCをつくりたいのか、
お客さんにどう楽しんでほしいのか、
SCを通じて世の中に何を表現してゆきたいのか。
いまいちどSCとしてのあり方を見つめなおして、
新たなる繁盛店開拓に動いていただけましたらと思います。