これまで全国の多くの商店街は衰退し、一方でSCはそれなりに繁栄してきました。
SC業界も大手寡占が進んでおり、協同店舗などは衰退してしまっているものも多数です。
かつてはこの差異について、いろいろと語られていました。
マーケティング面では「駐車場の有無」について語られることが多かったです。
「商店街は駐車場がないから衰退した、駐車場がたっぷりあるSCは栄えた」かつては、そういう時代もありました。
一方、個人的にSCと商店街に大きな違いを感じていたのは「共同販促費」の金額の違いです。
SCは共同販促費として毎月一定額を徴収します。だいたい売上比1%程度になるところが多数と思われます。
商店街でも年に何回かのイベントの際には費用を集めるなどはしますが、売上に対する販促費の比率ではSCに及んでいない商店街が大多数ではないかと思われます。
大手ナショナルチェーンばかり入居しているSCなら、それぞれがTVなどで積極的に広告を実施しているので館として何もせずとも成立します。しかし多くの商業施設はそうはいかないと思います。
自分の記憶では、90年代のことですが、開業以来一度も共同販促をしなかった都市部の商業ビルを知っています。その商業ビルは開業当初は大盛況だったものの、開業5年で経営破綻しました。それを目の当たりにした時に、共同販促というものが商業集積にとって非常に重要なものだと感じた次第です。
SCが繁栄するために大切なことは、適切な立地・規模・店舗構成がその主軸になりますが、必要なだけの共同販促をしっかりと続けるということもまた大切な原理・原則です。
商店街においても、共同販促費を十分用意できているのかが重要になります。
運営面での「原理原則」と「時流対応」が十分であるところは長期的に繁栄しているといえます。
リアル店舗が繁盛するには「いい立地を得る(=家賃が高い)」ことと「宣伝にお金をかける」、これらが必要であり、どちらも投資せずに繁盛店になれば理想ですが、現実はそうはならないです。
自ら積極的にチラシをまいて宣伝することと、共同販促で全体集客を高めること。
SCにおいては後者の方が費用効果が高いですが、同時に前者を実施している有力チェーンを誘致することもまた販促効果を高めることになります。
商店街目線では共同販促費の費用効果を高めて販促費を増やしてゆくこと、SC目線では共同販促はもちろん個別に集客活動を実施してくれる有力チェーンを誘致すること、こういうことをやってきたところがしっかりと現在成果につながっていると思えます。