SCリニュアルに向けてvol.2 面積バランスは適正か

SC経営は、限られた不動産を有効に活用して、
最大の売上・収益を生み出すことが目標になります。
ある部門が不振である場合、改善をはかるために最初に疑うことは、
業種別面積バランスです。

たとえばフードコートが不振であるとします。なぜ不振なのか現場で意見を伺うと
「味がまずい」「サービスが悪い」「オペレーションが悪い」
「店が汚い」「従業員の質が悪い」はては「オーナーがやる気がない」などなど、
様々な意見を頂戴します。でもこれらははたして「原因」なのでしょうか?

私はこれらを「結果」だと思います。
集客力が不足し各店舗の売上が不振である、
その結果人を減らしたり食材原価を下げたりして、現場が荒れてくるのです。
売れない店だから人も育たず、オーナーも元気がなくなるのです。

では原因はなんなのでしょうか。
これまでお手伝いしてきた経験からいえることは、
「フードコートも含めた飲食の面積がSCの集客力に比較して大きすぎる」ことが原因であり、
その結果弱い店から不振になっていってしまうのです。
ほとんどの原因は場所が悪いか、大きすぎるかのどちらかです。

過去に調べたところでは、
いわゆる郊外型SCで飲食部門の売上が総売上の10%を超えているところは、まずありません。
(駅ビルや観光型や都市型は異なります)
フリースタンドの郊外型SCでは、飲食売上は6%程度になっているところが多く、
飲食が比較的強いSCでも9%程度です。

にもかかわらず、売場面積の構成比が10%以上になっているSCがあります。
たとえば4000坪のSCで200坪程度のフードコートと、飲食が50坪×5件、という具合です。
そして、関係者の意見を聞くと、
「飲食が不振なので充実させたい」という意見が出てくることが多いのです。
「成り立たないけれど充実したい」という前提に立った議論ではなく、
「今よりいい店を連れてくれば成り立つのではないか」
という予断にもとづいた議論であることがほとんどです。

バランスを欠いた施設であるがゆえに、
不振部門が生まれてしまったのですから、
バランスを適正化することが大事になります。

このように、様々な部門の面積バランスに関しての検証をまず実施し、
部門ごとに何店舗で構成するのか、
ということをまず考えることが手始めに大事なことになります。

●[次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.3 レイアウトはこのままでいいのか 
SCリニュアルに向けて vol.4 MDにかたよりがないか
SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか