SC経営のヒント90:SCリニュアルに向けて vol.3 レイアウトはこのままでいいのか

前回では、リニュアルを考える際にまず面積バランスを考えることが
大切であることをお伝えいたしました。
同様に重要なのが「館内立地の価値を高める」ということです。
SCをひとつの街と見立てた場合、メインストリートと路地裏があるように、
人が流れやすい場所・流れにくい場所がでてきてしまいます。
これを改善し、まんべんなく全館にお客様が流れるように計画するのが
もっとも理想的であるといえますが、実際には敷地や建物形状の制約、
駐車場位置、入り口位置、エスカレーターの位置などから、
この導線は制約をうけることになります。

ここからが知恵の出しどころなのですが、
リーシングラインを変更して店舗の位置を変えるだけでなく、
入り口位置の変更、エスカレーターのつけかえ、吹き抜けを埋め戻す、
などの建築に手を加える変更を実施することが必要になるときがあります。
特に多層階のビルでは、エスカレーターの付き方が適切でない場合、
上層階は致命的な打撃を受けます。
ですので、非常にコストはかかりますがエスカレーターを
つけかえた事例もあります。
一般に、エスカレーターは同じ場所で上下に通っていることが大切で、
たとえば1階から上向きと地下向きで別の場所についているような場合は、
地下への回遊性が悪化することが多いです。
また、エスカレーターの方向に関しては、
建物の長手方向にそって設置することが必要です。
導入口の変更については、路面からの入り口のほか、
駐車場からの入り口も見直す場合があります。

館内のレイアウトに関しては、なるべく死に場所をつくらないよう、
四角い館内回遊計画に基づいて、導線自体がイレギュラーに
ならないよう工夫することと、横に細長い建物の場合は両端に
大型店を配置して回遊をつくりだすという工夫が必要になります。

とにかく、各専門店の売上をあげるためには「立地をよくする」ことが
最も効果的なのです。
各店が品揃え、接客などの魅力をそれぞれが高めるのはもちろんですが、
デベロッパーにとっては「各店の立地をよくする」ために何が出来るかを
重視せねばなりません。
レイアウト、導線はそのためにあります。
通路の幅、曲げる場合の角度など、
細心の注意をはらって検討されることが必要ですし、
必要とあれば建築に大きな手を加えるという決断もありえます。