ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
今回は「SCリニュアルに向けて」の第4弾として
「MD」のバランスについてお伝えします。
MDのバランスをとったはずの店舗入れ替えが、
気づけばSC内のMDのバランスを
崩してしまっていることがあります。
今回は、その「MDの落とし穴」を中心にお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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ショッピングセンター経営のヒント92:
『SCリニュアルに向けて vol.4 MDにかたよりがないか』
●SC内のMDのバランスを考える
都心の駅ビルなどですと、
様々な専門店から入居の申し込みがあり、
結果として時流に乗って人気の高い店を
数多く入れることが可能ですが、
郊外型のSCですとなかなかそうはいかず、
探して探してご入居いただくということになりがちです。
ただ、そこで「入ってくれるのだから」という理由で入れると、
同じような店ばかりになってしまって、
一方で欠落商品があるというような、
MDがアンバランスな状態になる可能性があります。
たとえば、ベーカリー店の売上の半分以上は菓子パンであり、
菓子やファーストフードの店が
リニュアル後に多く入居すると影響が出ます。
大きなSCでは問題になりにくいですが、
小さなSCのベーカリー店にとっては影響は深刻です。
ファーストフード店もテイクアウトの比率が多く、
飲食店だと思っていたら
実態は惣菜物販店だったということもあります。
衣料品やファンシー、雑貨店などは、
結果として同じような商品を扱う店ばかりに
なってしまうケースがあります。
特に、ナショナルチェーンほど似たようなターゲットと
価格の商品がかぶることが多いです。
まず誘致対象企業の店頭商品をよく見て、
他のテナントと同じような価格・仕様の商品が多くないか、
目で見て確かめてみる必要があります。
また、既存店の店主や店長に売上構成比の高い品目や客層を
ヒアリングしておくことも重要です。
入居後も、アパレル関係は毎年商品が変化してゆきますので、
年々どこかと似たような商品になってゆくチェーンもあります。
そういったことも予測の上で、
新規導入店舗を決定するとよいでしょう。
テナント誘致企画者は、店単位ではなく商品群や客層単位で
商売を理解しておくことが大切です。
同じようなSCが世の中に多くあるのに、
「なぜかうちのSCはこの部門が不振だ」という場合は、
たいてい面積が大きすぎるか、似たような商品を扱う店が多すぎるか、
に起因していることが多いです。
●同じ業種の商業集積の注意点
一方、大商圏のSCで、政策的に同じような業種や商品を
集積させる試みもあります。
原則的に同じ業種を多数集積させた商業集積は、
都心の大商圏でないと成立しません。
秋葉原の電気街や神田のスポーツ店、
書籍の街などは東京の中心部だからこそ成立したわけで、
小商圏であえて特徴を出そうとして結局失敗している例もあります。
なんとなく同一業種が集まっていると
集積の力が発揮されそうに思えますが、
許容量を超えると全店不振になりますので、
これは市場規模を冷静に見て、
食い合わない範囲での集積にとどめることが重要です。
一方、集積力を生かして、ラーメン博物館のように広域に
プロモーションを展開して、
商圏を拡大する効果があるならば効果的です。
こういった取り組みは、MDだけではなく
プロモーションとの連携が欠かせないため、
分かりやすいコンセプトで施設が統一され、
一体的なオペレーションができていることが重要です。
●[次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか
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