【SC経営のヒント117】:オープンモールSC

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
本日はオープンモールSCについて、自分なりに気づいた点などを
お話ししていきたいと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■オープンモールSC
最近、立て続けにオープンモールSCを視察する機会がありました。
いずれも、規模的にはNSC~CSC程度の規模となり、
小型~中型SCといえる規模のものです。
それぞれ、テナント構成やコンセプトは工夫をこらし、
MD構成としてはよく出来ていると思えるのですが、
いかんせんこのオープンモールという店舗形態がいいのかどうか、
いろいろと疑問が残りました。
オープンモールSCのメリットは、共用通路が屋外となっていることで、
空調費などのランニングコストが下がること、
それがコストダウンにつながるということにあります。
また、運営上は営業時間の対応が容易で、また意匠面でも
ユニークなものがつくりやすく、各専門店の顔作りもしやすい
というメリットもあります。
一方で、デメリットとしては、雨風や気温の高低に左右されやすく、
春秋の天候のいいとき以外は全体回遊性が落ちること、
各店舗それぞれの入り口を持つことで入店率が下がること、
外装のサッシュ面積が多く初期投資増につながること、などがあります。
アメリカの西海岸などでは、気候もよく雨もあまり降らないこともあって
オープンモールSCが多数見受けられます。
ライフスタイルセンターや、ユニバーサルシティウォークなどの個性的な
商業施設も多く、非常に魅力的に見えます。
ただ、四季折々の気候の変化や雨の多い日本の風土においては、
デメリットも大きいといえます。
ロードサイドで普通に営業できている店なら可能でしょうが、
モールのインテナントに慣れている店だと、オープンモールSCに
出店するのはやや無理があります。
多少賃料や経費が高くなっても、クローズドモールのほうが回遊性や
入店率が上がり、売上も上がると考えられます。
もっとも、屋根下に入ってさえいればよいかというと、一概にそうではなく、
魅力の乏しい専門店の集まりでは何にもなりません。
ちゃんとした中身があってこそ、店舗形態の良否が問われるものになるといえますね。

SC経営のヒント116:今こそ立地で差別化を図ろう! Vol.2

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
最近、ショッピングセンターだけでなく、ホテル・旅館の開発、
デューデリジェンス業務が増えています。時流が物販からサービスに
移行していく中で、基本的な原理・原則は変わらないと実感することが
多い今日この頃です。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■今こそ立地で差別化を図ろう! Vol.2
前回、流通小売業における立地の重要性についてお伝えしました。
その中で、ウェブ上での立地戦略について、物販では「楽天ショップ」と
「ヤフーショップ」で2倍の開きがあり、ウェブ上でもどこに出店するかが
大切であるかをお伝えしました。物販と同様にホテル・旅館業界においても、
「楽天トラベル」と「じゃらん」といったネットエージェントの効果活用が
非常に重要となってきていますが、ここでも「楽天トラベル」が一番立地と
なっています。これまでJTBや日本旅行といった旅行代理店からの送客に
頼っていたホテル・旅館が自社サイトを構築し、ネットエージェントに
登録することで、広く一般ユーザーに対して自施設を売り込むことが主流に
なりつつあります。
ホテル・旅館業における業績アップのポイントは物販と同様に
「ピークアップ法」が基本となります。このピークアップ法とは、
顧客ニーズの高い月や週や曜日にどれだけ高い稼働率をとるかと
いうことです。売れる部屋数には限界があるわけですから、いかに
チャンスロスをなくして、且つ高い価格で販売できるかがポイントと
なります。確かに、旅行代理店に比べてネットエージェントのほうが
費用負担(送客手数料)が安いとはいえ、ピークのときほど自社サイトで
直接予約していただくことがベストといえます。つまり、ピーク時での
ネットエージェントはあくでも自社サイトへの誘導(広告)と捉え、
客室稼動の低いときは、ブロック(エージェントに約束している部屋)を
増やし、広く一般ユーザーに向けて告知して、チャンスロスをさせない
客室コントロールがポイントとなります。
よくある誤解として、「ネットでは料金を安く提供しなければいけない」
という思い込みが強くありますが、「楽天トラベル」や「じゃらん」に
掲載する場合、基本料金を変える必要はありません。基本料金はそのままで
客室稼動の指数に応じて割引パックや限定メニューなどの魅力ある
プラン作成が重要となります。
物販サイトでは商品アイテム数が大きな差別化となるように、ホテルと
旅館でも魅力あるプラン数が差別化になるようです。また、顧客心理を
理解した「8,000円の出張パック(500円の商品券付)」といった
プランも望まれます。会社での旅費規程(ホテル・旅館での宿泊料金の
上限)に合わせて、基本料金はそのままに、特典サービスを付加すると
いった内容です。(出張族は直接的な値引きよりも、ポイントや
キャッシュバックも含めて、自分に直接還元される特典・サービスを
期待しています)
物販、サービスに限らず、有店舗だけの動きを見ていては時流に
取り残されてしまいます。ウェブに参入する、しないに関わらず、
その動向には注目しておくことだけは必要といえるでしょう。

SC経営のヒント115:新商品導入のタイミング

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
中国・義烏(イーウー)での商品仕入れのお話をさせていただいておりますが
アミューズメント・アパレル・雑貨・温浴など様々な業種の方にお問い合わせ
をいただいております。
国内だけでなく、海外にも目を向けて少しでも差別化・経費圧縮しようとする
姿勢から、競合の多さ・業界全体の厳しさが感じられます。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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■新商品導入のタイミング
先日インターネット販売におけるポイントをお伝えしました。
特にインターネット販売はリアル店舗よりもお客様の反応が早く、
次に繋げるタイミングも早くできるといった良い点もあります。
一方で価格などは、比較ホームページなどで一斉比較することが可能ですので
価格に対する努力もより必要とされます。品揃えと価格のバランスを
どう見るかが個店の方向性です。
ストアさんが品揃えを増やす時、試験的に商品を導入し、反応を見てから
扱い量を増やすということも多いと思います。
最近では、ショッピングセンターでもイベントに連動させて商品の反応を見る
というケースも増えてきました。
たとえば、6月には特別招待会を行うショッピングセンターも多いのですが、
そこでの超目商品として、新商品を提供してお客様の反応を見る
ということです。
通常に比べ客数が増えている時期ですので、お客様の声を聞きやすい
タイミングでもあります。新業態店舗にしてもそうですし、
新商品にしてもそうですが、常に客数の多い立地・時期に出していくことが
原理原則です。リニューアルなどのタイミングでも新規のお客様が
増えるので、効果的です。
特別招待会、夏休み商戦など客数増が見込める時期が近づいています。
新商品告知に向け、売場・販促を再度この時期に見直して、よりベストな
販売戦略を今から立ててみてください。
余談ですが、卸の仕入れはこの時期クリスマス用の商品買付けが
始まっています。小売店様でも早いところでは、年末年始用の商品仕入れを
計画されています。
皆様も是非目先のイベントに追われるのではなく、一歩先を見据えた
新商品投入計画を立ててみてください。

SC経営のヒント114:売上予測の糸口

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は店舗開発読本の読者様からご返送いただいたアンケートの中で、
最も多く関心がよせられていた、売上予測の手法についてお伝えしたいと
思います。デベロッパー様、専門店企業様へも今後のご計画に参考に
なればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■売上予測の糸口
新店を開発するにあたって、売上予測をするが、なかなか想定どおりに
出来ないということも多いのではと思います。実際、こればかりは
トライアンドエラーで何度も何度もチャレンジしてみないと、予想すら
できない世界のものだといえます。
ずいぶん前のことですが、駆け出しだった頃、当時の上司から、街を
歩いていて見かける店の売上予測をしてみろ、と教わりました。彼いわく、
「若くても売上が予測できる人はできる。ベテランでもできない人は
できない。売上を予測するという意識が大事なのだ。」
そのとおりだと思います。貴重なことを教わったと思います。
経済予測などで使われる手法に、「先行指標」というものがあります。
たとえば、運輸会社の取扱物流量が増えれば産業界の景気が良くなるとか、
消費者物価指数が上がると景気が良くなったとされるとか。風が吹いたら
桶屋が儲かるではありませんが、どこまで相関性があるのかよくわからない
ものも含め、各種の指数を頼りに予測をたてるという手法が一般的です。
これと同様に、店舗の売上予測も、様々な要因が複雑に絡みあっている
ように見えますが、その中で最も相関性の高いシンプルな指標を見出す
ことが大事です。
たとえば、食品売り場の売上の何%になるとか、全館の売上の何%になる
とか、周辺600m圏の昼間人口と売上がリンクしているとか、店頭通行量の
何%が入店してくださるとか、なるべくシンプルで分かりやすいものが
よいです。
店の売上は、いくつもの要因が複雑に絡み合っている。そうといえば
そうではあるのですが、あまり精密にやったところで、検討していない
様々な要因がほかにも出てきますから、完璧を求めすぎないことが大事です。
重要なのは、各種要因の中でもっとも影響度の高い、相関性の高い要因が
あるはずだということです。
業態によって異なるその相関指数探しが、売上予測のキーポイントに
なるのです。

SC経営のヒント113:ネットショップに強いお店に共通する原則の追求とは

<目次>
1、ご挨拶
2、ネットショップにおける原則の追求

1、ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。

前回のブログで立地のお話をさせていただきましたが、
インターネット販売は業界も伸びていて、かつ利用者も
急増しています。当然、出店される企業様も増えていますが、
ネットストアのみを持つ企業様も増えてきました。
今回は、インターネット販売の強いショップが実際に何をしているか、
ということにフォーカスしてお伝えしていきたいと思います。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎

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2、ネットショップにおける原則の追求

インターネット販売において、最も強みとされるのは現状では、やはり品揃えです。
お客様の視点は、あるカテゴリーにおいてどのくらいの品揃えをしている
ショップなのかの見定めがあり、その後価格・サービスという思考をたどります。

検索キーワードとしては、「送料無料」が相変わらず強いのですが、
やはり品揃えがないと固定客にはなりにくいものです。
リアルストアをお持ちの方はわかると思いますが、インターネットでは購入単価が
高いのも特徴です。品揃えの豊富さが客単価をつりあげるといっても過言では
ありません。

ネットショップで強いお店を見ていると、やはり商売の原理原則を徹底されている
ところが多いのは、安心できるところです。
つまり、トップページやSEO対策を「価格」等で押し集客に繋げ、入店した
お客様に対して、「品揃え」「価値」を訴求して収益性を高めるといった
原理原則です。

メルマガも定期的に行い、限りなくOne to Oneに近づけていく努力をされている
ショップさんはやはり集客増に繋がっています。

手間をかけてコストをかけない集客と、初期コストはかかるけれど価値を伝えて
収益に繋げる商品、このバランスをとっていくことが成功の秘訣ではないでしょうか。

インターネットショップでは、手法的なことが取りだたされがちですが、
やはり商品の価値、品揃えの豊富さの訴求が求められています。

インターネットに限らず立地を決めた後は、商品力・価格力・品揃えを検証し
より強いショップにする方法を常に模索しましょう。自店の展開は、モバイル
マーケットの増加など市場動向(特に購買行動)の変化にも注力する必要があります。

SC経営のヒント112:今こそ立地で差別化を図ろう!

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今日は、ごく当たり前の事ではありますが、立地戦略について
お話ししたいと思います。
出店にも時流がありますので、皆様も是非参考にしてみてください。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■今こそ立地で差別化を図ろう!
流通小売及びサービス業において、その業績は70%以上が出店立地で
決まるといえます。(出店戦略でミスをすると、商品力といった戦術面や
販促力といった戦闘面でカバーするのが非常に難しいのが実際です。
つまり、どこに出店するかで、業績がほぼ確定してしまうのです)
一昨年の1月に楽天主催の「新春カンファレンス」にお客様の紹介で
参加したときから、あらためて立地の重要性を痛感しています。この時、
楽天ショップに出店している既存店舗の平均的な伸び率が177%。
この新春カンファレンスに誘ってくれたお客様も商店街にある本店を
楽天ショップの拠点に変更。ピーク時の半分まで下がっていた売上が
ピーク時の売上まで戻ったときでした。
これまで、多くのローカルチェーンが商店街から郊外店に、そして
ショッピングセンターへと出店することで業績を伸ばしてきましたが、今は
ネットショップが最も可能性のある出店立地になったといえるでしょう。
日々現場、特に店頭を回っている中で既存店舗の売上を大きく伸ばすことは
非常に難しくなっています。しかし、企業全体でみた場合、時流にあった
立地を選び、そこに出店するということは非常に重要な戦略といえます。
有店舗での出店はイニシャル投資も大きく、ハードルが大きいですが、
ネットショップへの出店は比較的取り組みが容易といえます。ただ、
ハードルが低い分、競合との差別化が難しいともいえますが、勝ち方の
ルールを知れば十分に勝算があるのも事実です。例えば、同じネット
ショップでも、どこに出店するかで売上が大きく変わるということを
知ることが重要です。(私のお付き合い先でも楽天ショップと
ヤフーショップでは売上の差が2倍以上あるからです。)
そして、最近ではこの立地がモバイルに移行してきています。特に
音楽CD業界においてその動きは顕著で、着うたフルの売上は
CDシングルの売上を抜き、業界全体がその対応を無視できない状況に
あるようです。アイチューンを利用する客層の多くは、パソコンを
持てる世代、一方、モバイルで着うたフルを利用する客層は中高生などの
若年層のようです。今扱っている商品が若年層を対象にしている企業は
いち早くモバイルでの対応を検討することをオススメします。
いずれにしても、時流にあった商品を取り扱う以上に、
どこで扱うかといった立地戦略を早急に検討していく時代といえるでしょう。

SC経営のヒント111:建築コストの上昇

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、賃料上昇の引き金になっている、建築費の上昇について
お伝えしたいと思います。
デベロッパー様、専門店企業様へも今後のご計画に参考になればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■建築コストの上昇
ショッピングセンター開発は、この10年、比較的安定して安い建設投資額の
恩恵をうけて高い収益性を持つ事業になりました。
郊外型大型SCの標準工事の投資コストは時代によって、およそ以下のようになっています。
90年代前半 坪50万円前後
90年代中盤 坪35万円前後
90年代後半 坪25~30万円
00年初頭  坪25万円以下
このように、バブル崩壊後建築コストは下落の一途であり、バブル期の
半額で建物ができるとなれば、売上が低くても収益の上がるSCが
できるといった具合です。これがSCの大規模化への追い風となりました。
しかし、この1年で建築コストは上昇しています。統計をとったわけでは
ないですが、肌感覚では2~3割の上昇といえます。鉄骨などの素材価格の
上昇、その後ろにあるエネルギーコストの上昇と、中国の建設需要が牽引に
なっている、などいろいろな要因が複合的にあるようです。ゼネコンの
営業姿勢の変化もあるのではないでしょうか。
ともあれ、建築コストが増加するということは何を意味するかというと、
SCデベロッパーがテナントに賦課する賃貸料を引き上げねばならない
ということです。NSCであれモールであれ、かかったコストに見合う率の
賃料を頂戴するという各社の社内ハードルがあるわけですが、コストが
上がり率が同じなら額を上げねばしょうがないということになるわけです。
今後、モール出店店舗にとっては、新規はもとより既存店の契約更新に
際しても、賃料の上げ圧力が強まるということになります。この認識を
もって今後の成長戦略を再構築するべき時期に来ているといえます。

SC経営のヒント110:~商品ではなく、思いを売る~ KAPITALって知ってますか?

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、人気上昇中のジーンズショップ、KAPITAL(キャピタル)さんの
お話をしたいと思います。
私が今までに行ったお店の中でも、特に思いがスタッフさんの接客と
店づくりに反映をしており、大変印象的でした。
皆様も是非参考にしてみてください。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■~商品ではなく、思いを売る~ KAPITALって知ってますか?
先日ある友人の紹介で、東京・恵比寿にある「KAPITAL」という
ジーンズショップに行きました。キャピタルは岡山に本社のある
ジーンズメーカーで、素材・製法にこだわる本格ジーンズを提供する会社です。
http://www.nextone.jp/no050331/sr/sr01.html
このメーカーが、卸・OEMから最終消費者に向けて直接販売をスタートさせ、
現在は岡山、兵庫、京都、愛知、東京、福岡と全国11店舗を展開しています。
http://www.kapital.jp/shop/index.html
このキャピタルジーンズのファンは熱狂的で、例えば山口からわざわざ
岡山まで足を運ぶそうです。私が行った恵比寿にはDuffle with KAPITAL店、
LEGS店、KAPITAL店と半径300m圏内に3店舗があります。私が何より驚き、
共感したのは、その商品とスタッフのレベルの高さです。
まさに、ジーンズにかける熱い思いを凝縮した商品とスタッフだったのです。
だから、それを提供する店づくりも非常に特徴的です。特に、
私が実際にジーンズを買ったDuffle with KAPITAL店は、なんと1Fで
靴を脱いでお店に入るスタイル。商品の展示の仕方もカジュアルショップと
いうよりは呉服屋さんといった感じで、お客様もスタッフから座って接客を
受けるのです。なぜ、靴を脱ぐかという質問に対して、そのほうがお客様と
ゆっくりお話ができるからだという答えが返ってきました。本当に
自信のある良いモノを徹底的に納得してもらうという姿勢を感じました。
また、私が行った日は偶然にも会員さん向けのシークレット企画の日でした。
送られたDMに添付されたキャピタルのキャラクター塗り絵を持ってこられた
お客様に特典があるという日だったのです。なぜ、ジーンズショップで
塗り絵といった疑問はありますが、こういった遊び心を忘れないという
姿勢も大切です。
モノ余りの時代に最も大切なのは、そのお店に本当に良いものをお客様に
伝えたいというメッセージがあるかどうかです。共感・共鳴の時代に
「KAPITAL」のようなメッセージショップが増えることを期待したいですね。

SC経営のヒント108:これからやってくるNSC開発の波

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の山本です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、デベロッパー様、専門店企業様が共に注目している
NSCについてお伝えしたいと思います。
今後の皆様のご計画に、参考になればと思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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■これからやってくるNSC開発の波
有力量販店やデベロッパーのここ数年のSC開発状況を振り返りますと、
2000年前後から、来年あたりまでは巨大なモール開発が盛んでした。
大雑把ですが、1拠点100~150億円で開発し、300億円売り、30億円の
賃料共益費が得られるというビジネスモデルです。大手企業にとっては、
それが全国に50箇所できますと合計の年商は1.5兆円となり、賃料は
1500億円、総投資は7000億円程度となり、なかなかに収益性の高いものと
なります。
もっとも、あくまで皮算用でして、実際には開発に更に費用がかかった
ものと、思ったより売上がいかないので賃料も得られていないもの、
いろいろありますが、だいたいこのような計画に基づいてこの数年間での
成長戦略が実行されたといっていいでしょう。そして、こういった
ビジネスモデルを先行実施した企業の成功例をみて他の企業も追随して
いったわけです。
しかし、今後モールはそう開発できません。大手にとっては次なる
成長戦略が必要で、この成長をモール開発に依存せずにやるとすると、
どういう道があるのでしょうか。
延床面積10,000㎡以内のNSC開発で考えますと、理想的には10億円で
開発して売上40億円、賃料3億円、これを300箇所開発して、総投資
3000億円、年商1.2兆円、賃料900億円といったところでしょうか。一見収益性は
高いようですが、地代負担が大きくなるためモールより収益性は落ちます。
ただ、1万坪前後の土地があればおおむねいろんな用途地域で開発可能と
なります。300箇所つくるのは大変ですが、開発要員をたくさん抱えている
ところは次の仕事をつくる必要があります。
ただこの試算、穴がいっぱいあります。そもそも売場2000坪クラスの
NSCでは40億円も売れる店はあまりなく、最近の事例をみてもせいぜい
30億円代前半です。その要因は、核となるスーパーマーケットではなく、
そのほかの専門店で1店舗1億円以上読み込めるものがあまりないこと、
もう一つはサブキーテナントとなれる5~10億円クラスの専門店がなかなか
見えないということです。また、ローコストでつくろうとするとどうしても
レイアウトに無理が出る。今はなじみの深いテナントに実験にお付き合い
いただいているが、出店者にとってメリットのない計画は長続きしません。
しかし、デベロップメントによって生きると決めたら、開発し続けるしかない。
モールができなければ、できるものをつくるしかない。全国にNSCは
どんどん開発されることになります。
よって専門店にとっては、このような新しいタイプのNSC(ライフスタイル
センターとも言われています)に適合する感度と、しっかり売上利益を出せる
店舗展開がまさに「期待」されているわけです。
モール型SCがどうして成功したかというと、開発や建築のノウハウも
もちろんですが、これだけの売場を埋められる専門店企業が成長したと
いうことが最大要因です。
同様に、NSC事業が成功するかどうかも大手にとってはベンダーともいえる
専門店企業が、NSCでばっちり成功する業態を開発してくれることに
かかってきます。
専門店各社にとっても今後の出店戦略の軌道修正が必要となる現在、
NSCの波に乗るかどうかというのも大きな選択肢ですが、いずれにしても
地域密着型・小商圏業態を研究する必要が出てくるといえますね。

SC経営のヒント107:北の屋台から学ぶ その2

ご挨拶
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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、前回に続く私が驚いた集客・管理の仕組みを作り出した
ディベロッパーさんのお話をします。
お話を伺った際の感動をより皆様にお伝えしたく、今回も対談形式に
させていただきました。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■運営のポイントはどこですか?
店主のマンネリをいかに打破するか?お客様に飽きられないようにするか?
この2つが重要だと考えています。この2つを打破するために、3年毎の
店舗入れ替えをすると共に、客席部分の使用をあえて屋台にすることで、
営業が終了したら全て片付ける。という一見非効率な仕組みにしています。
ここで店主同士の助け合いや会話が生まれることを期待して、あえて
この仕組みを貫いています。(北の屋台では不便さが生み出す
コミュニケーションと呼んでいる)
そこそこに繁盛してくると、挨拶ができなくなったり、クリンリネスが
おざなりになり、目に見えて売上が落ち込みます。このような状況が
出始める前に、全店主を集めて、臨機応変に話し合いの機会をつくるように
しています。
■類似施設については上手くいってますか?
『北の屋台村』をモデルとして、全国に屋台村が20数箇所できているが、
そのうち成功しているのは八戸屋台村「みろく横丁」、青森屋台村
「さんふり横丁」など数箇所です。これまでの経験上、屋台村の成功には
いくつかのルールがあり、上手にいくかどうかはそのルールに添っているかで
決まるように思います。そのルールとは以下のようになります。
1、適正な規模と件数:以前は屋台村は1万人に1軒、10万商圏であれば
  10軒が目安。最近では八戸屋台村「みろく横丁」の事例のように
  7,000人~8,000人に一軒でも成立が可能
2、基本コンセプトの徹底:コミュニケーションの重要性を認識し、
  それを仕組み化
3、地域振興:周辺施設との連携や地産地消を実現する仕入体制
4、オーナー意識の高揚:モチベーションの維持と適切なアドバイス
 (こんな例がある。味が良くてもコミュニケーションに難があり、売上の
  伸び悩む店主に対して、当初コンセプトをよく理解し、運営にも
  協力的な店主に対して、2区画での営業を後押しする。というのも、
  2区画にして団体客に対応できるようにすれば、他店舗との差別化が
  できる一方でコミュニケーションに主眼を置かない形態となるからだ)
5、店舗力より運営力:運営デベロッパーが上記の成功ポイントを
  現場レベルで徹底できるかが最大ポイント
集客、マネジメントの観点で皆様も是非参考にしてみてください。