SC経営のヒント137:『出店~問題すり替えの落とし穴~』

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
大雪の日に、SCの入口でお客様が自分の濡れた服を拭くためのタオルを
用意しているSCがありました。それも都心にある大型の施設です。
運営面、コスト面での負担が見えるだけに、その心意気に驚きました。
株式会社船井総合研究所
野田 陽一郎
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ショッピングセンター経営のヒント137:
『出店~問題すり替えの落とし穴~』
昨年末から今年にかけて、スーパーを展開されている企業様から、出店に関する
相談を受けています。
他のチェーン同様に、多数の候補物件が持ち込まれるわけですが、持ち込まれた
物件を検討していると、オーナーさんはどれも自店の展開次第でやりようが
あるように見えて、悩まれています。
私どもにそのお話を持ち込まれる際には、出ることを前提に検討されていて、
どの程度の売上が見込めるのかを気にされていました。
しかし、第三者的立場で冷静になって見てみると、物件は商店街のばずれであったり、
かつてスーパーが入店していた居抜き物件で、地下だけれどもエスカレーターが
なく階段だけの店であったり、とそもそもの立地の原理原則論からは大きく
はずれる店舗ばかりなのです。
MDでの工夫の前に、出店後はほとんど変えることのできない「立地」の選定を
もっと冷静に見つめるほうが出店後の負担も少なくてすみます。
やはり「店を出したい」という気持ち(或いは出店ノルマ)が先行し、大きく
当たる店ではないかもしれないが、そこそこやれるだろうといった気持ちで
出店検討の試算をすることもあるように感じます。
逆に、自社の既存店で日販250万が採算分岐だからどうしてもそのラインに
合わせる店舗を作りたいと頑なに基準を作っている場合は、駅前の規模は小さい
けれど、高い坪効率が望める物件への出店を見送ることになってしまうことにも
なりかねません。
新しい物件を検討する際には、自分でも気づかないうちに出店の可否からMDの検討へ
問題をすり替えている場合があるものです。そんな時は一度冷静な目線で元に戻り
物件そのもののマクロな立地は原理原則に沿っているのかを見直していただければ
と思います。

SC経営のヒント136:『業種別バランスの大切さ』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.136━2008.1.31━
 船井総研コンサルタント 山本 匡発行
 ★ショッピングセンター経営のヒント★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆今週のコンテンツ☆
『業種別バランスの大切さ』
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
2008年も早くも1ヶ月が経ちました。
一年の勝負はスタートダッシュが肝心です。
今一度、年初に立てた計画を見直してみましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆ 
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■業種別バランスの大切さ
SCの開発・リニューアルをお手伝いする際に注意していること、
というのはもちろん多種多様にわたりますが、
その中でも特に注意していることは、入居専門店の面積バランスを
最適な配分にするということです。
全体の売上を100とすると、この部門は8%、この部門は2%、
この部門は3%、というように、売上構成比が算出できます。
ひとつのSCの中に好調部門と不振部門が生まれる原因は、
売上と比較して、それぞれの部門面積の配分が適切ではない
ことが原因になっています。たとえば、アウトレットモールを
ごらんいただくと、たいていは飲食面積を少なめにとってあります。
これは、ピーク時には巨大な集客力を誇るものの、
閑散期には少数のお客様しかおいでにならないため、
ピークにあわせて面積を確保すると過大面積になってしまうからといえます。
このようなことは、どのSCにも当てはまることです。
書籍、CDレコード、アミューズメントなど、大きなSCでもほとんど1店舗、
多くても2店舗しか入らないような業態は、
全館の集客力と対象業種の売上が相関関係にあることがほとんどです。
また、飲食部門、服飾部門、アパレル部門といった大くくりでの売上も
おおむね相関関係にあります。この相関係数は、郊外型SCと駅ビル、
百貨店などでそれぞれ異なってきますため、
自らのSCの現在と過去の構成比を洗い出してみると、
自らのSCにおける過去の構成比が浮き彫りになると思います。
私どもが新しく開設されたSCを見るときは、
商圏、周辺競合、全体構成はもちろん、部門構成も注目して見ます。
話題の店舗の有無も大事ですが、
バランスのよいプロポーションになっていないSCは、
必ず近いうちに問題点が浮き彫りになってきます。
デベロッパーはテナント企業の個別努力に注目しがちですが、
たとえば飲食店が館の集客力に比較して多すぎたら、
かならず不振店舗が生まれてくるのはやむを得ないことといえます。
最近では巨大な面積のSCが増えたため、わざと面積過大にして
入れ替わりを促進しているのではないか?と疑うようなSCもあります。
(その後、そのデベロッパーにはそういうバランス基準がないということを知り、
愕然としましたが・・・)
ともあれ、商業施設の企画とは売上予測に始まり、
必然的に業種別面積配分を考え、適正賃料の設定をおこなって入居者と交渉に入る、
という手順となるべきなのですが、売上予測が不十分だと、
結局入居者にそのツケが回り、デベロッパーの現場も、
いつまでも同じ課題をかかえたまま走り続けることに
なりかねないという危険性があります。
自らのSCにあるべきバランスを現段階で把握することからスタートです。
そして、これは時代とともに変化するものであり、
毎年小規模の調整をおこないながら、大きな調整が必要となったときに
リニューアルが必要となるわけです。他のSCを視察される際も、
業種別バランスに注目してみましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
* 経営コンサルタント
* 発行人:株式会社船井総合研究所 山本 匡
* ホームページ:http://funai-sc.com/
* E-MAIL:< info-sc@funaisoken.co.jp >

SC経営のヒント135:『時代を掴むヒント1』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.135━2008.01.25━
 船井総研コンサルタント丹羽英之発行
 ★ショッピングセンター経営のヒント★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆今週のコンテンツ☆
『時代を掴むヒント1』
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、時代を掴むヒント1と題しまして皆様にお伝えしたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆ 
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『時代を掴むヒント1』
流通・小売サービス業では、新業態を考える際に注目すべきは
業界動向といえます。
特にメーカーの動向は注目すべきでしょう。
例えば、私のお付き合い先のゲームソフト店ではニンテンドーDSとWiiの
基本戦略(ターゲットの拡大)に添った新業態に挑戦しています。
ニンテンドーDSは販売14ヶ月で600万台に普及。PS2が600万台に達成するのに
21ヶ月かかったことを考えると、爆発的なヒットと言えます。
その背景には「ゲーム人口を拡大する」という任天堂の基本戦略があります。
これは、「1世帯あたりのユーザー数をいかに増やしていくか」というWiiの
コンセプトにも現れています。
それらは
1.家族の誰にも敵視されない
2.年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わない
3.家族全員にとって自分に関係のある存在になる
4.毎日電源を入れてもらう。
これら4つを目標に
1.Wiiリモコン→誰でも遊べる直感操作
2.Wiiチャンネル→Wiiは眠らない/24時間常時ネットサービス
3.Wiiコネクト24→家庭のテレビにチャンネルが増える
  (お天気、似顔絵、ニュース)
4.バーチャルコンソール→懐かしのゲームソフトをダウンロード
  (ファミコン以降のソフトを活用)を実現しています。
そして、WiiはPS3の3倍以上となる340万台の販売実績となっています。
(2007年8月実績)
つまり、WiiもニンテンドーDSも家庭内のユーザー数を増やし、
女性や年配層といったゲーム初心者の囲い込みに成功したのです。
一方、小売に目を転じると2007年3月29日にゲームソフト店「カメレオンクラブ」を
展開する上昇が民事再生法の適用を申請。
直営・フランチャイズを含め150店以上展開する中古、ゲームソフト店の
民事再生法の適用は、変わるに変わりきれない小売の閉塞感を如実に現している
といえます。
(実際に上昇の不振はゲームソフト店ばかりではなかったようですが・・・)
一般的にゲームソフト店は新品と中古の両方の販売をします。
中古マーケットは新品市場と連動するので、これだけマーケット(販売実績)が
伸びていたら、ゲームソフト店の売上も伸びてもおかしくないのですが、
実際には取りきれていないのが実情です。
それは、既存のゲームソフト店は相変わらず、若年層の男性をターゲットとした
(マニアな)店づくりをしているからです。
マニア向けではないゲーム初心者(女性)でも入りやすい中古ゲームショップ。
これがゲームソフト店の目指す新業態といえるでしょう。
それは、女性や年配者にとって、
「入りやすい」「見やすい」「買いやすい」「売りやすい」店となることです。
例えば、
分かりやすいゾーニング(新品、中古)、色分けしたコーナーPOP(メーカー別)、
大型POP(見やすい文字)から始まり、接客の仕方まで様々な取り組みが可能です。
そして、これらの具体的モデルは往々にして異業種にあるものです。
ぜひ、このような視点で皆様のお店が新業態への第一歩を踏んでいただければ
幸いです。
それらが、これまでにない、日本を面白くするお店になることを期待しています。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
 ★ご意見・ご質問・仕事の依頼などどんな些細なことでもいいのでメール
  下さい!必ずお返事は書きます。
  また、取り上げて欲しい話題・ご質問などもお待ちしております。
  → < info-sc@funaisoken.co.jp >
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 * 経営コンサルタント
 * 発行人: 株式会社船井総合研究所 丹羽英之
 * http://funai-sc.com/
 * E-MAIL:< info-sc@funaisoken.co.jp >

SC経営のヒント134:『機動力を高める』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.134━2008.01.17━
 船井総研コンサルタント 野田陽一郎発行
 ★ショッピングセンター経営のヒント★
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆今週のコンテンツ☆
『機動力を高める』
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
初売りを見ていると、売れるお店、集客に苦戦しているお店の2極化が
進んできたことを実感します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ☆ショッピングセンター経営のヒント☆ 
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■機動力を高める
2007年の歳暮商戦は、各百貨店軒並み前年比増を記録しました。
これは店頭販売が前年ほぼ横ばいであったのに対して、インターネットでの
受注増が主な要因です。
主な百貨店でも20%〜30%増と前年比プラスになっています。
売れ筋商品も客単価も変わらない中で、売れる時期は店頭とインターネットで
異なり、インターネットからの受注は後半に偏るといった傾向になっています。
このインターネットで買物をする流れや、購買心理といったものを小売側では
大きく変えることができません。ですから、それを無理に変えようとしたり、
見ないふりをして従来の商売をし続けていては、売上をつくっていくことは
難しいように思います。
それよりも、いかにその流れに対応していくことができるかが今問われます。
インターネット販売からの受注が偏るようであれば、それに対応する人員の
確保が必要ですし、土日に平日の3倍集客があるのであれば、それに対応した
人員の確保、店頭・什器配置を変更するといった売場づくりが必要となります。
ショッピングセンターでテナントさんのお話を聞いていると、「わかっている
けど対応できない・・・」と言う言葉をよく聞きます。
売上は取れる時に取る。これが原則ですが、同じ「10%増」でも母数が100なのか、
1,000なのかによって確保できる売上・利益は大きく異なります。
特に、「予想外」の変化があった時に、すぐに売場・商品の対応ができるかが
結局のところ締めてみたら大きな差になっているのです。販促効果で予想外の
集客があった時に商品補充に対応できるか、急に気温が下がった時に店頭のボディ
を変えることができるかといった細かなことに対しても同様です。
お客様の嗜好がすぐに変わる、平日の夜が売れないといった環境の変化への対応力、
予想外の変化にもすぐに対応できる機動力が今求められており、それは今後
ますます必要となってくる店舗力ですので、店舗の皆さんや店長会での情報共有、
シュミレーション等による訓練をして機動力を高めていただけたらと思います。

SC経営のヒント133:長期的成功

年始のご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
船井総研の山本匡です。
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年末に、20年ほど前に話題になったレストラン2件に
出向く機会がありました。
ひとつは、最盛期に年商20億円を超えた大阪の巨大テーマレストランです。
残念ながら当時のような繁栄ぶりはみられない様相になっていました。
他地域にも複数出店していたのですが、すべて閉店されたようです。
もうひとつは、サテライト的店舗を多数出店している
兵庫県のメーカー直営レストランです。
ここは、実に更にパワーアップしている感すらうけました。
通信販売も充実しており、団体客も多数来店しています。
店内は以前と同じく生演奏が流れており、ホールからは能楽の舞台が見えます。
(分かる人は、これでお分かりいただけるでしょう)
一時話題になり市場や業界を席巻することと、長きに渡って繁栄を続けること、
それは決して同じものではない
、と考えざるを得ませんでした。
片方はランチ客単価が1000円代で、カジュアルに楽しめますが、
何度かいくと飽きるようです。私も20年前によく利用していました。
もう片方は、ランチでも2000円代とやや高く、
そう高頻度に訪問するものではないものの、
一年に何回かは行きたくなるような店です。
メニューの組み立てや提供のタイミング、ある程度お客様が自由にできることなど、
いろいろ工夫されていることがよく分かりますし、
またそれらは20年前とほとんど変化がありません。
単価の違い、商売に対する考え方の違い、客層の違い、同じ話題の店でも、
様々な違いがあります。
SC業界では、最近話題の店や集客力の高い店に目を奪われがちです。
新しくオープンするSCの多くはそういった要素を重視して開発されています。
しかし、ここ数年話題になった企業で、10年経っても繁盛を維持している
店はどれだけあるでしょうか。
また、90年代に業界のリーダー格であったにも関わらず、その後凋落し、
長期にわたり経営再建中であったり、
あるいは他企業に買収された企業も数多く出てきました。
多くのSCは「いいとこどり」でもやってゆけますが、
それだけでは、競合が出たらとたんに大きな影響を受けます。
全国的に競合過多の時代の中で、
長きにわたっての繁栄を目指すという視点がSCにも必要になってきていると

強く感じています。
SCのハード面や契約、運営といった基本に加えて、テナント企業との対話、
テナント企業への助言、優秀な人材の採用と育成、
こういったソフト面の充実
がこれまで以上に大切になってきそうです。
長い目で見た繁栄とは、揺るぎのない定番を持つことといえそうです。
それがいったいなんなのか、それを突き詰めることは決して容易ではないでしょう。
しかし店舗プランナーである前に経営コンサルタントである我々は、
目先的短期的繁栄だけでなく、長期継続的繁栄を可能とするビジネスモデルに、
本年も精力的に取り組んでゆきたいと感じています。

SC経営のヒント132:上手な閉店セールの仕掛け方 その4

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、丹羽英之でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、テナント専門店向け閉店セールの上手な仕掛け方の第二段について
お伝えします。反響が多いので私も嬉しく思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■上手な閉店セールの仕掛け方 その4
 ~テナント専門店編 後編~
店舗改装のための閉店セールは当然のことながら、各テナント専門店の
店舗改装が前提となります。その意味では各テナント専門店がオープンに
向けてどれだけ変われるかが、リニューアル後の売上の推移を決めると
言っても過言ではありません。
リニューアルオープンセール期間中は、全体客数が伸びていることもあり、
店舗間の格差が気になりませんが、早いSCでは1ヶ月も経てば店舗間の
格差が如実に出るものです。
それでは良い店舗と厳しい店舗の違いは何なんでしょうか?
良い店舗は閉店・リニューアルを機会に変わり、厳しい店舗は結果として
何も変わっていないというのが現実です。
特に、お客様は最終的に商品を買いに来ますので、商品リニューアルが
できるかが最大のポイントとなります。
数多くのSCのリニューアルを経験する中で、商品リニューアルには
!)業界動向、!)商圏動向、!)SC動向の3点を踏まえる必要があるようです。
a)業界動向を正確に把握して、リニューアル後の商品MDを組んでいるか?
例えば、これからは薬局・薬店でなくてもOTC(医師の処方箋がなくても、
合法的に買える医薬品。大衆薬)が扱えるようになることを前提に、
健康食品を新たな柱の商品として育てていく。など
b)商圏内の主要商業施設の改装、閉店情報や新設の商業施設の情報を
いち早く把握しているか?

最近は駅前商業施設、特に若者をターゲットにした商業施設が苦戦。
地域一番店のSCであれば、郊外でもティーンズ、ヤングを積極的に
取り込むことも可能となっています。
c)SC内のゾーン構成にあった商品提供と新規出店テナントの
商品構成との差別化できているか?

例えば、インストアベーカリーがフードコートに隣接するなどの場合、
テイクアウトだけではなく、ランチ対応のイートインメニューの開発が
必要となります。
また、新規で同業種テナントが出店する場合、事前にその店舗の商品MD、
特に価格帯を把握していく必要があります。新規テナントが同一テイストで
下の価格帯を狙っている場合は、客数減が予想されるからです。
その場合、下限商品の入れ替えを前提に、新しい問屋、メーカー商品に
挑戦する必要があります。
これらの商品リニューアルは、店舗移動や面積拡大が予定されている店舗は
積極的に行うのが普通ですが、場所も変わらずに面積も変わらないと
なかなか進まないのが実態のようです。
場所も面積も変わらない中での最善のリニューアル手法は
圧縮・付加法にあります。これは既存の商品構成、在庫をそのまま売場の
80%までに圧縮して、残った20%のスペースに新しいメーカー、
問屋商品を置く手法です。
!)既存在庫は金額を変えないこと。!)新商品は店頭近くで
訴求することの2点です。
閉店、リニューアルオープンは、スタッフモチベーションが高くお客様の
買う気も高いので、商品リニューアルがそのまま売上に直結します。
実は、この圧縮・付加法はSC全体の改装、リニューアルといったことが
なくても、1年に1回は定期的に実施することで大きな成果が期待できます。
リニューアル後は1年に1回のソフトリニューアル(商品リニューアル)で、
新しい店舗づくりに挑戦していただきたいものです。
>>SC経営のヒント128:上手な閉店セールの仕掛け方 その3

SC経営のヒント131:商業ビルの基本を知ろう3

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
2007年も残すところあとわずかになりました。
今年やり残したことは今年中に片付けて新年を迎えたいですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■商業ビルの基本を知ろう 3
□人の流れは、最も人を集めるものと、その次に人を集めるものの間に生まれる
人を集めるもの=集客施設=TG(トラフィック・ジェネレーター)とも
呼びます。たとえば、大都市で最も人を集める拠点はターミナル駅です。
そして商業地の中では、中核となる百貨店がその次に集めます。ですので
渋谷も新宿も駅から百貨店の間に主要導線が形成されます。
これは、冷静に考えれば当たり前のことなのですが、あまり意識されて
いないことです。郊外型商業施設ですと、駐車場と食品売り場の間の導線が
最も強いものになります。駐車場が1箇所にかたまっているような場合は、
より顕著になります。駐車場~食品売り場の導線に乗ってこない場所は
必然的に通行数が減少します。
同じことは、ロードサイドにもいえます。ある街でロードサイドが栄える
ポイントは、地域の核となる大型SCにはさまれたエリアになります。
そういう場所がなければ、その大型店に近い場所から栄えます。
ロードサイドの場合は路面と異なり「場所の有無」が重要になりますから、
たとえばインターチェンジ近くに用地が多く出てきたためにインター付近が
ロードサイド銀座になったり、あるいは新しい道路ができるときに、
こぞってチェーン店が出店してくるのです。
SCでいえば、食品売場と店前の平面駐車場がこのTGに相当します。
このことは、立地の良否を判断する上で極めて重要なことです。エリアの
集客の核はどこか、その核の集客力はいかなるものか、そこから導線上
無理なく誘導できるか。それによって自社の出店する立地の良否が
決定されてしまうのです。
□エリアの集客力は、核の集客力で決まる
核となる大型SCの集客力がまず商圏を開拓します。そこに業種別大型専門店が
進出し、核店舗の売上を奪いつつ、シェアを高めてゆきます。核店舗と周辺の
大型店が相乗効果を生むことで、さらに商圏が拡大します。こうして、
エリアの集客力は高まります。
ですので、キーポイントはそのエリアの核となる店がどこで、それは
どれほどの集客力を持つものなのかという見極めが、エリアの集客力を
見定めるポイントになります。
ロードサイドとて、核らしい核がなく形成されているものはさほど大きな
商圏にはならず、一方で大型SCと大型専門店が林立するゾーンは商圏が
広域に広がり、特に土日の集客力が飛躍的に高まります。
□立地がいいとは、不特定多数の買い物客が店前を多く通行することである
これはロードサイドとインテナント・路面などでは状況が違うように
思われますが、いずれにしても通行量が多く人目に触れやすいところほど
いい立地といえます。
そういう一目で見て分かるような場所はすでに押さえられてしまって
いますから、その周辺で探すほかはないというのが実情ですが。
ただし、どんな店でも立地さえ良ければよいというものではありません。
「業種特性」の考慮が必要です。
業種特性でひっかかるのは、購買目的・動機上の特性と、限界賃料の2つです。
たとえば家具店は目的購買ですから、ひっきりなしに通行客が多く入店が多いと
むしろ困ります。買いに来たお客さんにだけしっかりアプローチをすることが
重要です。またリサイクルショップなど、あまりに賃料が高いと坪効率上の
限界から賃料を払いきれない業種場合は、いい立地であったとしても賃料で
あきらめることになります。
たとえば人に見られると恥ずかしいような店の場合は、立地がよければ売上が
上がるとは限りません。業種特性とは、このようにお客様の購買行動に
のっとって判断される必要があります。
□需要額と充足度
小売業はある地域で獲得される商圏の大きさと、それに対する店の充足度の
バランスで1店舗あたりの売上が決まります。たとえばSCで
一業種一店舗であれば(書籍やゲームセンター等)、SC全館の売上により
その店の売上が読めます。
また、飲食店や雑貨店などのグロスの売上が読めれば、それを何店舗で
シェアするかによって、一店舗あたりの繁盛度合いも予測可能です。
これはSCが成功するか否かではなく、入店する自社にとって有利な環境か
不利な環境かによります。
集積の魅力による集客増についてはどう考えればよいでしょうか。
たとえばフードテーマパークなどのように、特定の業種を集積させて、
話題性を高めれば、商圏が拡大し基礎的な集客力が増えます。
ですのでこういう業態の場合は商圏が拡大すれば売上が上がり、
開業とともに商圏が縮小すると売上が下がるという現象が起こります。
通常のSCでは複数の同業種が出店した場合、店の数だけシェアする相手が
増えることになりますから売上は下がります。
もっとも、デベロッパーがそのことに無知なわけではなく、全体の
規模からみたバランスを都度チャレンジしていますので、ときどき、
ある業種が多すぎる、ということが起こります。
供給過剰になると、弱い店から影響を受けやすくなります。
どれもこれも、いわれてみれば当たり前のようなことばかりですが、
原理原則ほど意識しないと見過ごしがちなものもないといえるでしょう。

SC経営のヒント130:店舗の方向性を創造する

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
12月は小売業にとって季節指数が高い月ですので、
チャンスロスを極力失くすよう、チェックをかかさずにしたいものですね。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■店舗の方向性を創造する
年末商戦月に突入し、てんやわんやの店舗さんも多いと思いますが、
今回は店の新しい方向性を自ら作り出され拡販しているお客様の
お話をさせていただきます。
この方はもともと茨城県土浦市で飲食店(とんかつ・うどん)を
経営されている方なのですが、この冬にある商品を開発されました。
その商品とは『れんこんドレッシング』です。
http://renkon-an.ocnk.net/
今まではとんかつ屋としてとんかつを提供しているお店でしたが、経営者が
とんかつと一緒に食べるキャベツが通常のソースやドレッシングよりも
おいしく食べれるために開発しました。
地元土浦市は、れんこんの生産量が日本一でもあるので、その地元産品の
れんこんを使用して開発したものです。自らの手で創造することも地元産品を
きちんと使用されているのも素晴らしいと思います。
最も合うドレッシングを探すのではなく、自ら創造する。
それを店舗だけでなく、全国の方に食べていただきたい思いで拡販する。

まだまだ取り組みの始まりではありますが、新しい潮流をこのとんかつ屋さん
なりに創り出しました。
今までメーカーの直売進出、小売店出店という流れはありましたが、
逆の流れは多くありませんでした。
私のお手伝いしている、海外の低コスト商品の仕入れ支援のお客様にも
多いですが、最近ではインターネットショップで仕入れ品を販売されていた方が
オリジナル商品(OEM、完全オリジナル)の開発に着手する例も
増えてきています。
この店舗では、メーカー化への新しい方向へ舵を取りました。
顔が見えるお客様のニーズを反映させたオリジナル商品の開発や直売によって
粗利の確保を行っていく企業努力が求められています。
メーカーの直売進出、小売のメーカー化、どちらも決して簡単ではありませんが、
2008年以降も確実に増えてくる流れだと思います。

SC経営のヒント129:「訴えない販促」とマージンミックス

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、藤巻好仁でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は販促についてです。
異業種の事例も参考にしていただき、お役に立てて下さい。
株式会社船井総合研究所
藤巻 好仁
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■「訴えない販促」とマージンミックス
秋季になり、セールチラシやリニューアルなど、たくさんの販促コストを
掛けて、売上拡大を目指されている企業様も多いことでしょう。
販促手法として、セールでのチラシやイベントなどお客様へ直接的に
「訴える販促」によって売上を拡大することに加え、「訴えない」販促を探し、
お取り組みすることもお勧めいたします。
訴えない販促とはお客様には直接的に伝わりはしないが、結果として
売上に貢献させるために掛けている販促です。
訴えない販促を効果的に行うにはどのようにすればよいでしょう。
船井総研のお付合い先のゴルフ場をケースを挙げます。
このゴルフ場では、昼食メニューをバイキング形式に変更することで、
前々年比約1.5倍の客数、約1.4倍の売上に貢献する昼食を作ることに
成功しました。
メニューをバイキング形式にした際のポイントは、レストラン単体では
全く利益を取らず、昼食はお客様にゴルフを楽しんでいただくための
サービスの一貫として位置付けていることです。
数多くのメニューを並べ、価格はたったの1,050円。なんと食材の原価率は
71%です。(一般的な飲食店では、食材原価30%位)
そして、さらに特徴的なことは、ゴルフを利用しないお食事のみのお客様も
満席でなければ利用可能であるということです。地元の方への認知度UPは
もちろんのこと、初めは食事だけでもいつかプレーしようと考えてもらう
きっかけを作っています。
こうした訴えない販促はより効果を得るための活動をすることが可能です。
このゴルフ場の例では、バイキングを起爆剤として、よりゴルフ場を
アピールするために、お客様のアンケートでより話題となるメニュー作りや、
バイキングの話題をプレスリリースで発信しています。
こうして食材原価を”販促費”として利用することで、ゴルフ場全体の
活性化に寄与しています。
<結果的に集客商品となり、マージンミックスに寄与>
上記の販促手法はゴルフ場全体のマージンミックスへ大きく寄与していると
考えることができます。
マージンミックスとは、粗利率が高い商品(プレー代)と、粗利率は低い商品
(バイキング)をミックスすることで、一定の粗利率、客単価を
確保することです。
今回のケースでは、プレー代という主力商品の獲得のため、食を集客商品とする
マージンミックスであるといえます。
SCの集客や商品購買動機として、様々なイベントを開催することがあるか
と思いますが、マージンミックスに注目した販促手法を確立すれば、
より効果的な粗利獲得と客単価を狙った販促が可能となります。
皆様のお店でも、是非一度、マージンミックスに注目した、目に見えない
「訴えない販促」をお取り組みしてみてはいかがでしょうか。

SC経営のヒント128:上手な閉店セールの仕掛け方 その3

編~
テナント専門店にとって閉店セールの開催時期(立ち日、期間)が
一番気になる点だと思います。閉店セールに限らず、大型催事では中心となる
ファッション関連のテナントが最も売上をあげやすい開催時期にするのが
一般的です。
しかし、決定権はテナント専門店にないので臨機応変の対応が必要となります。
例えば、閉店セールが9月のような端境期(季節の変わり目)になってしまう
場合は、夏物の在庫は少ないし、秋物はプロパーで売りたい悩みがつきません。
このような場合はどうしたら良いのでしょうか?
1、閉店セールは晩期商法で
店舗改装のための閉店セールの基本は在庫を売りつくさないことにあります。
つまり、必要な(秋物)在庫は残し、売りにつながる(夏物)在庫は再投入が
必要になるということです。
というのも、閉店セールのお客様は実需ニーズが高いため、夏物処分を全面に
訴求(最大70%引き)していくことが重要です。
できるだけ、問屋・メーカーさんに早めにお声掛けして商品協力を
いただくことが大切です。テナントは夏物の晩期商法に徹し、秋物については
在庫を絞って20%引きを上限にします。
※晩期商法
実需のピークを過ぎた商品をメーカー、問屋から上代の10~20%で
仕入れて、上代の50~70%引きで売っても利益を出す商法スタイル
2、陳列は「さばく店」づくりで
閉店セールの売場は「さばく店」づくりが基本となります。具体的には、
アイテム別やメーカー別陳列からサイズ別陳列(S、M、Lか24.0cm、25.0cm、
26.0cm)や価格帯別陳列(千円、5千円、一万円均一)にすることが大切です。
滞留時間を高め、接客主体で売る「行く店」「来る店」から、セルフで短時間で
買物を終えられる「さばく店」づくりが大切です。
また、閉店セールが1ヶ月間以上の長期になる場合、チラシ折込が入る週末は
「さばく店」づくり、平日は普段の「行く店」「来る店」に戻すといったことが
できるのが理想です。
3、売場は店頭への圧縮法で
閉店セールも終盤に近づくと、在庫がどうしても薄くなります。これは通常の
サマーセールやウインターセールでも同様ですが、ここでのポイントは店頭
(1/3)の坪当たり在庫だけは維持することです。
それには、売場の後方や中央で薄くなった在庫を店頭に圧縮することです。
主通路を歩いているお客様には期間中はいつでも、買いたい商品がある
ということが大切です。
それでも在庫が薄くなる場合は、大型POP(模造紙大)、紅白幕、のぼり
といった店頭のにぎやかさでお客様をその気にさせるようにしていきましょう。
閉店セールだから来る、閉店セールだからお客様が売れるといった時代は
ずっと前から終わっています。閉店セールで勝つためには、それなりの
成功ルールがあり、それを愚直にやり遂げることが必要なのです。
今回のご提案は閉店セールに限らず、大型の催事やセールに共通するものでも
ありますので、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。
また、皆様が取り組まれた結果をレスいただけることを期待しています。
次回の上手な閉店セールの仕掛け方、テナント専門店編後半もご期待ください。
>>SC経営のヒント132:上手な閉店セールの仕掛け方 その4
>>SC経営のヒント125:上手な閉店セールの仕掛け方 その2