SC経営のヒント99:SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制

ご挨拶
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こんにちは。
船井総研の山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は「SCリニュアルに向けて」の第7弾として
「スケジュールと体制」についてお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡
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ショッピングセンター経営のヒント99:
『SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制』
リニューアルのスケジュールについては、オーナーサイドに
経験のある場合とない場合では勝手が違ってくると思います。
経験の乏しい場合は長い期間をとることが多いのですが、
おおむね着手から1年半~2年以内にはリニューアルオープンする
ことをめどとすべきでしょう。
新築の場合は許認可手続きや工期といった外的要因が一定の目安となって
スケジュールが決まりますが、リニューアルはむしろテナント調整などの
交渉ごとがボトルネックになりやすいといえます。そのため、
「いつまでに話をつけよう」というオーナー側の意思決定が
スケジュール策定の基準となります。
オープンの日取りに関しては、入居する業種の特性に応じて決めることが
よいでしょう。菓子店が多いSCでバレンタインデー中に工事を
しているというようなことがないように考えるべきです。
昨今は定期借家での契約も増えてきましたので、たとえば
5~6年といった契約期間をリニューアルのめどとしてゆくことが
可能となります。
体制づくりとして重要なことは、プロデューサーを軸とした業者さんの
動き方の体制をしっかりと定めることにあります。特に、
プロデューサーが外部の人間の場合、オーナー(依頼者)にとって
どのようなポジションに立つのかということが重要です。
テナントの配置調整、新規テナントの誘致、設計者との仕様調整、
内装やゼネコンとの工事区分や工期の仕切り、C工事指定業者の決定、
などなど、さまざまな利権にからむ意思決定をすることになります。
そのため、プロデューサーに権威付けがなされていないと、
各方面から横槍が入って立ち往生することになります。
一番いけないのは、各業者がすべてオーナーの下にぶら下がり、
プロデューサーの意見ではなくオーナーの意見でだけ動くように
なることです。
ちょっと極端な例ですが、各業者さんの利害対立が鮮明になると、
オーナーを味方にしてプロデューサーを悪者にするようなことをする
業者も出てくることがあります。そういう場合に、オーナーが
毅然とした対応をとることができるかどうかが、最後まで
一丸となった体制をつくれるかどうかのポイントになります。
プロデューサーにとっては、関連する各業者さんが要求するだけの
仕事をこなせる実力経験があるかないかをあらかじめ見抜く力が必要です。
どれだけ期待しても、できないことはできないので、結局は不十分な
結末に終わります。そのプロジェクトの難易度に適した
メンバリングを組むことが、プロジェクトを円滑に進めるための
最大の要素となります。そういった人材との
人脈を有することもプロデューサーの力量のひとつといえましょう。

SC経営のヒント98:リニューアル成功のポイントは、既存顧客の再来店にある

リニューアルは、ハード先行で行うリニューアルではない、
まずはソフトのリニューアルを実現することにあります。
ソフトのリニューアルとは、1つは商品のリニューアルであり、
もう1つは人(サービス)のリニューアルです。
前回のメルマガでもお伝えしましたが、リニューアルするから
業績アップするのではなく、リニューアルをきっかけとして、
この商品と人(サービス)が変わるから業績アップするのです。
リニューアルするきっかけは、競合出店による客数ダウンや
売上不振によることが多いようです。これまで、数多くの
リニューアルをお手伝いして言えることは、リニューアル前に
順調に業績を伸ばしている店舗のリニューアルは成功し、
昨年対比をクリアできていない店舗のリニューアルは往々に
して上手くいかないのです。
リニューアル効果が長く続くかどうかは、実際には新規顧客の
上積みよりも、既存顧客の再来店(離反顧客も含め)を確実に
増やせるかがポイントなのです。
リニューアルオープンは閉店セールも含めて、新しいお客様を
取り込む良いチャンスであることは間違いありません。
しかし、どんなに新しいお客様を増やしたとしても、既存顧客
を取りこぼしていたら、売上を維持・安定させることはできな
いのです。
それではどうしたら良いのでしょうか?
リニューアル成功のポイントは、既存店ベースで売上を
100%にすることなのです。
つまり、リニューアルをする前に既存顧客で売上を100%に
戻すのです。これができない内は、本当はリニューアルしては
いけないのです。
それは、業績を伸ばしている店舗は、既存顧客が良く見えて
いて、リニューアル計画そのものが非常に力相応であるのに
対して、業績不振の店舗のリニューアル計画は、どうしても
奇をてらうものになっているケースが多いからです。
まずは、既存店舗で100%をクリアし、小さな成功体験を
つくることが必要なのです。
そのために、自店をよく利用する顧客の声に耳を傾け、商品と
人(サービス)を見直すことからスタートしてみては如何で
しょうか?

SC経営のヒント97:リニューアルはGOALではない

競合SCの出店による核店舗の集客力ダウン。それによるテ
ナント専門店の売上ダウンはよくあることです。
しかし、そのような状況の中でも業績を確実に伸ばしている
テナント専門店が多くあるのも事実です。そのようなテナン
ト専門店は小売業の原理原則を知り、時流(今のお客様の買
い方)に合った店づくりに常に挑戦しているのです。
競合SCの出現は既存店舗のやり方を見直す良いきっかけと
なることが多々あります。同様のことがデベロッパー主導の
リニューアルでも言えます。
テナント専門店のリニューアル成功のポイントは、その目的
を明確にするところにあります。リニューアルをしても売上
が上がらない。リニューアル効果が長く続かないという声を
よく聞きます。その多くは、リニューアルすることが目標
(GOAL)となっていて、何のためのリニューアルなのか
が理解・実行されていないのです。
デベロッパーが主導するリニューアルは、増床や床、壁、
天井、外壁の塗り替えといったハード(建物、躯体)が先行
します。しかし、当たり前のことですが、ハードが変わった
だけではリニューアル効果は長続きしません。テナント専門店
の売上が品揃えに左右されるように、SCの売上は店揃えに
左右されるのです。
多くの地元主導型SCがそうであるように、この店揃えに手を
つけられていないことが業績低迷の最大要因といえます。
つまり、オープンして10年が経過して、お客様もオーナーも
お店もみんな10歳年をとってしまっているのです。
いつもと変わらない売場、商品、スタッフ、それはそれで
安心感がありますが、多くの商店街がそうであったように、
劇的に好転することはないのです。
では、どうすれば良いのでしょうか?
できれば、デベロッパーが主導するハードのリニューアルに
あわせて店舗の入れ替えがベストですが、店舗の入れ替えが
あるなしに関わらず、個々のテナント専門店が商品・サービ
スといったソフトのリニューアルに挑戦していくことが大切
です。
つまり、ハード先行のリニューアルをきっかけとして、テナ
ント専門店はお客様に変わったと思ってもらえるソフトリニュー
アル(=店づくり)を目的にすべきなのです。
次回はこのソフトリニューアルの成功ポイントについて
具体的にお伝えさせていただきます。

SC経営のヒント96:SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定

競合SCの出店による核店舗の集客力ダウン。それによるテ
ナント専門店の売上ダウンはよくあることです。

しかし、そのような状況の中でも業績を確実に伸ばしている
テナント専門店が多くあるのも事実です。そのようなテナン
ト専門店は小売業の原理原則を知り、時流(今のお客様の買
い方)に合った店づくりに常に挑戦しているのです。

競合SCの出現は既存店舗のやり方を見直す良いきっかけと
なることが多々あります。同様のことがデベロッパー主導の
リニューアルでも言えます。

テナント専門店のリニューアル成功のポイントは、その目的
を明確にするところにあります。リニューアルをしても売上
が上がらない。リニューアル効果が長く続かないという声を
よく聞きます。その多くは、リニューアルすることが目標
(GOAL)となっていて、何のためのリニューアルなのか
が理解・実行されていないのです。

デベロッパーが主導するリニューアルは、増床や床、壁、
天井、外壁の塗り替えといったハード(建物、躯体)が先行
します。しかし、当たり前のことですが、ハードが変わった
だけではリニューアル効果は長続きしません。テナント専門店
の売上が品揃えに左右されるように、SCの売上は店揃えに
左右されるのです。

多くの地元主導型SCがそうであるように、この店揃えに手を
つけられていないことが業績低迷の最大要因といえます。
つまり、オープンして10年が経過して、お客様もオーナーも
お店もみんな10歳年をとってしまっているのです。

いつもと変わらない売場、商品、スタッフ、それはそれで
安心感がありますが、多くの商店街がそうであったように、
劇的に好転することはないのです。

では、どうすれば良いのでしょうか?

できれば、デベロッパーが主導するハードのリニューアルに
あわせて店舗の入れ替えがベストですが、店舗の入れ替えが
あるなしに関わらず、個々のテナント専門店が商品・サービ
スといったソフトのリニューアルに挑戦していくことが大切
です。

つまり、ハード先行のリニューアルをきっかけとして、テナ
ント専門店はお客様に変わったと思ってもらえるソフトリニュー
アル(=店づくり)を目的にすべきなのです。

次回はこのソフトリニューアルの成功ポイントについて
具体的にお伝えさせていただきます。

SC経営のヒント95:SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか

ご挨拶
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おはようございます。
船井総研の山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。

今回は「SCリニュアルに向けて」の第5弾として
「テナント個々のパワーはどうか」についてお伝えします。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡

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ショッピングセンター経営のヒント95:

『SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか』

●求められる個性ある地元店

昨今のSCではナショナルチェーン頼みから脱却し、
なるべく地元で顧客密着している強い店を数多く入れたいと考える
デベロッパーが増えてきました。

一昔前は、地元店は休日削減と営業時間延長に反対するから、と
避けられる傾向がありましたが、いまやSCは年中無休はあたりまえ、
9時10時営業あたりまえのSCとなり、出店を希望する地元商業者も
それを理解のうえで出店するため、これまでのような地元排除傾向ではなく、むしろ個性ある強い店を求めるという傾向になってきました。

●2店舗目の注意点

いわゆるローカルテナントといわれる店では、2店目3店目の出店と、
5店目以降の出店と、25〜30店目の出店では、
出店企業にとってその意味は大きく異なります。
過去の経験で申し上げますと、2〜3号店の出店はかなり注意が必要です。
これまで1店舗のみで繁盛店を経営しているオーナーが
2店目をのれんわけで出店するような場合、
オーナー自らが新店に入って立ち上げをやるだけの意欲があるかどうか。
息子さんや番頭さんにまかせて立ち上げようなどという場合は
要チェックです。
ある地域で非常に有名な繁盛店舗の2号店を百貨店などが誘致したものの、
開業半年で撤退したという事例は数多くあります。

●30店舗の壁

数店舗支店をつくり、5店舗目以降を作るような場合は、
比較的安定性が高いといえます。
ですが、25店目を超えてきますと、
いわゆる「30店の壁」に近づいてきます。
業種業態を問わず、様々な調査事例から見て、
この30店の壁でつまづく企業が非常に多いのです。

地元店舗やリージョナルチェーンを誘致する場合、
出店企業が何店舗目をつくるのかを認識の上で、
オーナーの実力と人となりを判断する必要があるといえます。
テナント個々の力は、基本的にオーナーの力です。
そしてオーナーの力があれば店長が育ち、
いい店長がいれば強い店になります。
ですので、リージョナルチェーンの誘致に際しては、
やはりオーナーの実力と人格が重要です。
くれぐれもオーナーと会わないで入店を決めないことです。

商売が上手なことはもちろんですが、協調性のないオーナーでは
運営に支障きたすことはあきらかです。
往々にして商売上手なオーナーほど、ひとくせある方が多かったりしますが。

●【次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか

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株式会社船井総合研究所 
ショッピングセンターチーム
山本 匡

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Tel:03-6212-2930
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株式会社 船井総合研究所 ショッピングセンター支援チーム
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 * 経営コンサルタント
 * 発行人:株式会社船井総合研究所 山本 匡
 * ホームページ:http://funai-sc.com/
 * E-MAIL:< info-sc@funaisoken.co.jp >

劇場が呼ぶ!700万人団塊世代

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こんにちは。船井総研の丹羽です。
いつもご愛読いただき有難うございます。

今回のメルマガは来年に開催を予定している集客・プロ
モーション事例視察ツアーのモデルとなる
アメリカ・ブランソンのご紹介をさせていただきます。

ショッピングセンター、商店街ばかりでなく、レジャー
・アミューズメント業界の方まで広く参考にしていただ
きたい内容となっています。

今回は特別号としてツアーのメイン講師を務める「栃尾」
より皆様にお伝えさせていただきます。

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■グランドキャニオンを抜いたのはたった人口6千人の街だった

全ては、ある自治体さんでブランソンのお話をしている時
に始まりました。

「イイねー!!杤尾さん、それ見にいこうよ!!!」

ブランソンは、人口は6000人。お世辞にも恵まれた地
域とはいえません。最も近い大都市はスプリングフィール
ドという人口15万程度の街。その街の国内専用の空港か
らさらに1時間半かけてようやく到着するのがブランソン
なのです。しかし、この街は見事に劇場によって一点突破
をなし遂げています。

そのすごさは、6000人の街に劇場49、座席総数5万
6千という全米No.1の数字を見ればわかるでしょう。
しかし彼らがよりスゴイのは、さらに選択と集中をかけて
切れ味をあげていることです。

■アメリカの団塊の世代をターゲットとした戦略

そう、彼らのもう一つの選択と集中とはターゲットです。
商工会のデータでは、観光客の平均年齢は57歳。年収は
5万5000ドル。まさに古き良きアメリカを知る人々が
ここに集まっているのです。

確かに行ってみるとその実態はより身近なものとなります。
49の劇場は数的にも多いのですが、そのほとんど全てが
ジャンルこそ異なるものの、ほぼ古き良き60年代を彷彿
とさせる内容になっているのです。

その様子は、一言では語りつくせませんが、この町に観光
地にありがちな、カジノや酒屋が一軒もないことも、一つ
の古き良きアメリカ60年代の象徴ともいえるでしょう。

彼ら団塊の世代は、500km以上の道のりを時間と手間
をかけて走破し、ここブランソンでゆったりとした休暇を
すごすのです。その様子はまさに日本にはない消費のスタ
イルです。

■新しいエンターテイメントビジネスのヒントがそこにはある

近頃、様々な地域にお話しをしていて、皆様が最も目を輝
かせるのがやはりこのブランソンのお話。人間を成長させ
るのは、旅と人と本である、とは船井幸雄の言葉ですが、
この三つの共通点は新しい価値観との出会いに他なりませ
ん。

是非、みなさまも積極的に外へ出て、どんどん新しい世界
の新しい価値観に触れ、それを交換する機会を持って下さ
い。

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『米国最先端エンターテイメントに学ぶ
  集客・プロモーション 視察ツアー 開催予定!』

    〜劇場が呼ぶ!700万人団塊世代〜

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■米国最先端エンターテイメントノウハウ視察ツアー 概要

・視察地
アメリカ・ラスベガス、ブランソンを予定

・同行講師
株式会社船井総合研究所 丹羽英之 栃尾圭亮

■注目ポイント
・グランドキャニオンを抜いたのはたった人口6千人の街だった
・懐かしむココロをとらえる、米団塊世代囲い込み手法
・年間観光客700万人を集める、米劇場ビジネスの舞台裏

■お問い合わせ
 03-6212-2934
 info@machiokoshi.net
 担当:栃尾

SC経営のヒント93:『自転車が溢れるショッピングセンター』

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
おはようございます。
船井総研、野田でございます。

いつもご愛読いただき有難うございます。

毎年この時期はショッピングセンターのオープンラッシュが続きます。
出だし好調なショッピングセンターは、よりよくなり、出だしつまずいた
ショッピングセンターは、より不安定になるという現象は、年々強く
なっているような気がします。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎

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ショッピングセンター経営のヒント93:

       『自転車が溢れるショッピングセンター』

●近隣のお客様の来店割合に注目する

ショッピングセンターは、平日:土日の来店客比率が1:3にもなる
ところが多いのですが、いくら大型SC、広域商圏型のSCといえども
土日だけ商売をしていたのでは成り立ちません。

やはり日々来店していただける近隣のお客様がどれだけ多いかが鍵を
握っています。
そのひとつの指標として、
「近隣客=徒歩、自転車で来店されるお客様」を
見てみることも重要であると思います。

●地元のお客様により良いサービスや空間を提供する努力

今秋オープンした様々なショッピングセンターの中で、大繁盛している
ショッピングセンターがいくつかあります。
その中でも超大型でないながらも圧倒的に近隣のお客様を集客している
ショッピングセンターをご紹介します。
名古屋駅から車で10分ほどのところにオープンした
「ヨシヅヤ名西店」です。

西区名西の東芝の敷地に建てられた、
6,000坪ほどのショッピングセンターです。
食品SMのYストアをはじめ、スポーツデポ、ベビーザらス、
ABCマート、くまざわ書店、ドトールコーヒー、
ジュピター、ひな野さん等が入っています。

何が凄いのかというと、その自転車の数。
オープン日には、600台の常設駐輪場では到底足りず、
駐車場を削ってまで対応していたその数1,500台!!
食品SMの20台のレジは連日フル稼働です。
日常購買品である食品を買いに
多数の近隣のお客様が訪れているようです。

ヨシヅヤ名西店自転車置き場

数年前に近隣の商業施設も閉鎖され、待ち望まれた出店であったことは
間違いありませんが、それだけではなく、やはり細かいサービスや配慮を
されていることが地元のお客様に愛される要因なのではと思います。

店内に入って驚くのは、2005年「愛・地球博」でスペイン館の外壁に
使用されていたオブジェ(セロシア)が中央吹き抜けに設置されていること。
地元企業ならではの取り組みです。地元の企業でも万博が終われば、
それでおしまいというとこも多かったのではないでしょうか。

ヨシヅヤ名西店スペイン館の壁

また、ヨシヅヤさんが取り組んでいる「MOTTAINAI」運動
(2004ノーベル平和賞、ワンガリ・マータイさん提唱)が店内外で
展開されています。
立体駐車場につけられた外看板は
名古屋周辺の高層タワーからでもしっかりと
見えるほど大きなロゴです。

自転車で来店された方には、「無料自動空気入れ」も設置されています。
近頃自転車の空気を入れられるところも少なくなってきているので、
嬉しいサービスです。

通常バックヤードなどにある店長室もここでは店内にあり、
常にお客様の近くにいようというメッセージが伝わってきます。

ただ立地やテナント揃えの良さだけではなく、
地元のお客様により良いサービスや空間を提供しようとする努力が、
今の大繁盛を支えているのだと思います。

ヨシヅヤ名西店外観1

ヨシヅヤ名西店外観2

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 * 経営コンサルタント
 * 発行人:株式会社船井総合研究所 野田 陽一郎
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SC経営のヒント92:SCリニュアルに向けて vol.4 『MDにかたよりがないか』

ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。

今回は「SCリニュアルに向けて」の第4弾として
「MD」のバランスについてお伝えします。

MDのバランスをとったはずの店舗入れ替えが、
気づけばSC内のMDのバランスを
崩してしまっていることがあります。

今回は、その「MDの落とし穴」を中心にお伝えします。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
山本 匡

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ショッピングセンター経営のヒント92:

『SCリニュアルに向けて vol.4 MDにかたよりがないか』

●SC内のMDのバランスを考える

都心の駅ビルなどですと、
様々な専門店から入居の申し込みがあり、
結果として時流に乗って人気の高い店を
数多く入れることが可能ですが、
郊外型のSCですとなかなかそうはいかず、
探して探してご入居いただくということになりがちです。
ただ、そこで「入ってくれるのだから」という理由で入れると、
同じような店ばかりになってしまって、
一方で欠落商品があるというような、
MDがアンバランスな状態になる可能性があります。

たとえば、ベーカリー店の売上の半分以上は菓子パンであり、
菓子やファーストフードの店が
リニュアル後に多く入居すると影響が出ます。
大きなSCでは問題になりにくいですが、
小さなSCのベーカリー店にとっては影響は深刻です。
ファーストフード店もテイクアウトの比率が多く、
飲食店だと思っていたら
実態は惣菜物販店だったということもあります。

衣料品やファンシー、雑貨店などは、
結果として同じような商品を扱う店ばかりに
なってしまうケースがあります。
特に、ナショナルチェーンほど似たようなターゲットと
価格の商品がかぶることが多いです。
まず誘致対象企業の店頭商品をよく見て、
他のテナントと同じような価格・仕様の商品が多くないか、
目で見て確かめてみる必要があります。
また、既存店の店主や店長に売上構成比の高い品目や客層を
ヒアリングしておくことも重要です。
入居後も、アパレル関係は毎年商品が変化してゆきますので、
年々どこかと似たような商品になってゆくチェーンもあります。
そういったことも予測の上で、
新規導入店舗を決定するとよいでしょう。

テナント誘致企画者は、店単位ではなく商品群や客層単位で
商売を理解しておくことが大切です。
同じようなSCが世の中に多くあるのに、
「なぜかうちのSCはこの部門が不振だ」という場合は、
たいてい面積が大きすぎるか、似たような商品を扱う店が多すぎるか、
に起因していることが多いです。

●同じ業種の商業集積の注意点

一方、大商圏のSCで、政策的に同じような業種や商品を
集積させる試みもあります。
原則的に同じ業種を多数集積させた商業集積は、
都心の大商圏でないと成立しません。
秋葉原の電気街や神田のスポーツ店、
書籍の街などは東京の中心部だからこそ成立したわけで、
小商圏であえて特徴を出そうとして結局失敗している例もあります。
なんとなく同一業種が集まっていると
集積の力が発揮されそうに思えますが、
許容量を超えると全店不振になりますので、
これは市場規模を冷静に見て、
食い合わない範囲での集積にとどめることが重要です。

一方、集積力を生かして、ラーメン博物館のように広域に
プロモーションを展開して、
商圏を拡大する効果があるならば効果的です。
こういった取り組みは、MDだけではなく
プロモーションとの連携が欠かせないため、
分かりやすいコンセプトで施設が統一され、
一体的なオペレーションができていることが重要です。

●[次回以降の予定】
SCリニュアルに向けて vol.5 テナント個々のパワーはどうか
SCリニュアルに向けて vol.6 関連業者さんの選定
SCリニュアルに向けて vol.7 スケジュールと体制
SCリニュアルに向けて vol.8 経営体制はこれでいいのか

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 * 経営コンサルタント
 * 株式会社船井総合研究所 山本 匡
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SC経営のヒント91:『チラシを一切うたない大繁盛店スーパー』

ご挨拶
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こんばんは。
船井総研、丹羽英之でございます。

久し振りに絶賛したいスーパーに出会いました。
百聞は一見に如かず。
やはり、足を運んで体験・体感することが大切ですね。
いつもご愛読いただき有難うございます。

株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之

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SC経営のヒント91:『チラシを一切うたない大繁盛店スーパー』

一昨日、お付き合い先の方々と山梨県内の
店舗視察クリニックをしてきました。
その中で、参加された方々が絶賛したのが
Aコープこま野白根店でした。

こま白根店の最大の特徴は「チラシを一切うたない」ところにあります。
折込チラシの廃止によって、年間3,000万円近く削減された
販促費分のコストは、調味料や日用品などの生活必需品の値引きに当て、
砂糖97円、醤油97円など120アイテムを3ヶ月間、
格安で販売する「ショックプライス」や「冷凍食品が半額の日」などを
設定する方法に切り替えています。
※折込などの多額の販促費用をかけてのチラシ配布は行っていませんが、
手配りや店内にチラシを置いています。

この日の価格も、もやし8円(一般価格は28円)、
菓子パン(ヤマザキ)60円、お弁当200円など目を疑うばかり。

また、この日は定期的に開催されるポイント10倍デーだったこともあり、
その集客力は凄く、平日にもかかわらず、駐車場は満車、
300坪のフロアはお客様でごったがえしていました。
年間で34億円を売上る大繁盛店はスタッフもよく声がでていて、
お客様が本当に楽しそうに買い物をしているのが印象的でした。

このAコープがある白根は町村合併により、
現在は南アルプス市になったものの、3km圏内人口2,9万人と
決して商圏的に恵まれている立地ではありません。
むしろ足元商圏が薄く、過疎高齢化していく町にあって、
買上額は少ないが来店頻度の高いお年寄りには
積極的に話しかけて名前を覚え、
次回来店を促進させているのです。

ポイントカードを導入している店舗の多くは、このような企業に憧れ、
チラシ回数を減らして、その浮いた費用を
商品価格の割引にあてるなどして来店客の上客化を目指します。
しかし、現実はチラシの回数を減らすと目に見えて売上が下がるため、
結果としてポイントカードとチラシの
2つの販促を継続するところがほとんどです。

今回の視察を通じてわかったことは、
チラシもポイントカードもツールであって、
当たり前ですが、それだけではお客様は集まらないということです。

チラシ回数を減らすと売上が下がる店舗の多くは、
チラシを入れるときにしか企画を準備しなかったり、
再来店への仕掛けがないところがほとんどなのです。

販促とは、お客様が喜ぶ商品(価格)と
売場(企画)が準備できたことを
効果的にお知らせする手段でしかないのです。
チラシを入れなくても、毎日お客様に喜んでもらえる商品(価格)と
売場(企画)に挑戦している、そんな店舗が皆さんのまわりにも
あることを励みに、ぜひ次年度の販促を見直すきっかけに
してもらいたいものです。

SC経営のヒント90:SCリニュアルに向けて vol.3 レイアウトはこのままでいいのか

前回では、リニュアルを考える際にまず面積バランスを考えることが
大切であることをお伝えいたしました。
同様に重要なのが「館内立地の価値を高める」ということです。
SCをひとつの街と見立てた場合、メインストリートと路地裏があるように、
人が流れやすい場所・流れにくい場所がでてきてしまいます。
これを改善し、まんべんなく全館にお客様が流れるように計画するのが
もっとも理想的であるといえますが、実際には敷地や建物形状の制約、
駐車場位置、入り口位置、エスカレーターの位置などから、
この導線は制約をうけることになります。

ここからが知恵の出しどころなのですが、
リーシングラインを変更して店舗の位置を変えるだけでなく、
入り口位置の変更、エスカレーターのつけかえ、吹き抜けを埋め戻す、
などの建築に手を加える変更を実施することが必要になるときがあります。
特に多層階のビルでは、エスカレーターの付き方が適切でない場合、
上層階は致命的な打撃を受けます。
ですので、非常にコストはかかりますがエスカレーターを
つけかえた事例もあります。
一般に、エスカレーターは同じ場所で上下に通っていることが大切で、
たとえば1階から上向きと地下向きで別の場所についているような場合は、
地下への回遊性が悪化することが多いです。
また、エスカレーターの方向に関しては、
建物の長手方向にそって設置することが必要です。
導入口の変更については、路面からの入り口のほか、
駐車場からの入り口も見直す場合があります。

館内のレイアウトに関しては、なるべく死に場所をつくらないよう、
四角い館内回遊計画に基づいて、導線自体がイレギュラーに
ならないよう工夫することと、横に細長い建物の場合は両端に
大型店を配置して回遊をつくりだすという工夫が必要になります。

とにかく、各専門店の売上をあげるためには「立地をよくする」ことが
最も効果的なのです。
各店が品揃え、接客などの魅力をそれぞれが高めるのはもちろんですが、
デベロッパーにとっては「各店の立地をよくする」ために何が出来るかを
重視せねばなりません。
レイアウト、導線はそのためにあります。
通路の幅、曲げる場合の角度など、
細心の注意をはらって検討されることが必要ですし、
必要とあれば建築に大きな手を加えるという決断もありえます。