━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.134━2008.01.17━
船井総研コンサルタント 野田陽一郎発行
★ショッピングセンター経営のヒント★
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☆今週のコンテンツ☆
『機動力を高める』
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
初売りを見ていると、売れるお店、集客に苦戦しているお店の2極化が
進んできたことを実感します。
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☆ショッピングセンター経営のヒント☆
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■機動力を高める
2007年の歳暮商戦は、各百貨店軒並み前年比増を記録しました。
これは店頭販売が前年ほぼ横ばいであったのに対して、インターネットでの
受注増が主な要因です。
主な百貨店でも20%〜30%増と前年比プラスになっています。
売れ筋商品も客単価も変わらない中で、売れる時期は店頭とインターネットで
異なり、インターネットからの受注は後半に偏るといった傾向になっています。
このインターネットで買物をする流れや、購買心理といったものを小売側では
大きく変えることができません。ですから、それを無理に変えようとしたり、
見ないふりをして従来の商売をし続けていては、売上をつくっていくことは
難しいように思います。
それよりも、いかにその流れに対応していくことができるかが今問われます。
インターネット販売からの受注が偏るようであれば、それに対応する人員の
確保が必要ですし、土日に平日の3倍集客があるのであれば、それに対応した
人員の確保、店頭・什器配置を変更するといった売場づくりが必要となります。
ショッピングセンターでテナントさんのお話を聞いていると、「わかっている
けど対応できない・・・」と言う言葉をよく聞きます。
売上は取れる時に取る。これが原則ですが、同じ「10%増」でも母数が100なのか、
1,000なのかによって確保できる売上・利益は大きく異なります。
特に、「予想外」の変化があった時に、すぐに売場・商品の対応ができるかが
結局のところ締めてみたら大きな差になっているのです。販促効果で予想外の
集客があった時に商品補充に対応できるか、急に気温が下がった時に店頭のボディ
を変えることができるかといった細かなことに対しても同様です。
お客様の嗜好がすぐに変わる、平日の夜が売れないといった環境の変化への対応力、
予想外の変化にもすぐに対応できる機動力が今求められており、それは今後
ますます必要となってくる店舗力ですので、店舗の皆さんや店長会での情報共有、
シュミレーション等による訓練をして機動力を高めていただけたらと思います。
SC経営のヒント133:長期的成功
年始のご挨拶
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船井総研の山本匡です。
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
昨年末に、20年ほど前に話題になったレストラン2件に
出向く機会がありました。
ひとつは、最盛期に年商20億円を超えた大阪の巨大テーマレストランです。
残念ながら当時のような繁栄ぶりはみられない様相になっていました。
他地域にも複数出店していたのですが、すべて閉店されたようです。
もうひとつは、サテライト的店舗を多数出店している
兵庫県のメーカー直営レストランです。
ここは、実に更にパワーアップしている感すらうけました。
通信販売も充実しており、団体客も多数来店しています。
店内は以前と同じく生演奏が流れており、ホールからは能楽の舞台が見えます。
(分かる人は、これでお分かりいただけるでしょう)
一時話題になり市場や業界を席巻することと、長きに渡って繁栄を続けること、
それは決して同じものではない、と考えざるを得ませんでした。
片方はランチ客単価が1000円代で、カジュアルに楽しめますが、
何度かいくと飽きるようです。私も20年前によく利用していました。
もう片方は、ランチでも2000円代とやや高く、
そう高頻度に訪問するものではないものの、
一年に何回かは行きたくなるような店です。
メニューの組み立てや提供のタイミング、ある程度お客様が自由にできることなど、
いろいろ工夫されていることがよく分かりますし、
またそれらは20年前とほとんど変化がありません。
単価の違い、商売に対する考え方の違い、客層の違い、同じ話題の店でも、
様々な違いがあります。
SC業界では、最近話題の店や集客力の高い店に目を奪われがちです。
新しくオープンするSCの多くはそういった要素を重視して開発されています。
しかし、ここ数年話題になった企業で、10年経っても繁盛を維持している
店はどれだけあるでしょうか。
また、90年代に業界のリーダー格であったにも関わらず、その後凋落し、
長期にわたり経営再建中であったり、
あるいは他企業に買収された企業も数多く出てきました。
多くのSCは「いいとこどり」でもやってゆけますが、
それだけでは、競合が出たらとたんに大きな影響を受けます。
全国的に競合過多の時代の中で、
長きにわたっての繁栄を目指すという視点がSCにも必要になってきていると、
強く感じています。
SCのハード面や契約、運営といった基本に加えて、テナント企業との対話、
テナント企業への助言、優秀な人材の採用と育成、
こういったソフト面の充実がこれまで以上に大切になってきそうです。
長い目で見た繁栄とは、揺るぎのない定番を持つことといえそうです。
それがいったいなんなのか、それを突き詰めることは決して容易ではないでしょう。
しかし店舗プランナーである前に経営コンサルタントである我々は、
目先的短期的繁栄だけでなく、長期継続的繁栄を可能とするビジネスモデルに、
本年も精力的に取り組んでゆきたいと感じています。
SC経営のヒント132:上手な閉店セールの仕掛け方 その4
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、丹羽英之でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は、テナント専門店向け閉店セールの上手な仕掛け方の第二段について
お伝えします。反響が多いので私も嬉しく思います。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■上手な閉店セールの仕掛け方 その4
~テナント専門店編 後編~
店舗改装のための閉店セールは当然のことながら、各テナント専門店の
店舗改装が前提となります。その意味では各テナント専門店がオープンに
向けてどれだけ変われるかが、リニューアル後の売上の推移を決めると
言っても過言ではありません。
リニューアルオープンセール期間中は、全体客数が伸びていることもあり、
店舗間の格差が気になりませんが、早いSCでは1ヶ月も経てば店舗間の
格差が如実に出るものです。
それでは良い店舗と厳しい店舗の違いは何なんでしょうか?
良い店舗は閉店・リニューアルを機会に変わり、厳しい店舗は結果として
何も変わっていないというのが現実です。
特に、お客様は最終的に商品を買いに来ますので、商品リニューアルが
できるかが最大のポイントとなります。
数多くのSCのリニューアルを経験する中で、商品リニューアルには
!)業界動向、!)商圏動向、!)SC動向の3点を踏まえる必要があるようです。
a)業界動向を正確に把握して、リニューアル後の商品MDを組んでいるか?
例えば、これからは薬局・薬店でなくてもOTC(医師の処方箋がなくても、
合法的に買える医薬品。大衆薬)が扱えるようになることを前提に、
健康食品を新たな柱の商品として育てていく。など
b)商圏内の主要商業施設の改装、閉店情報や新設の商業施設の情報を
いち早く把握しているか?
最近は駅前商業施設、特に若者をターゲットにした商業施設が苦戦。
地域一番店のSCであれば、郊外でもティーンズ、ヤングを積極的に
取り込むことも可能となっています。
c)SC内のゾーン構成にあった商品提供と新規出店テナントの
商品構成との差別化できているか?
例えば、インストアベーカリーがフードコートに隣接するなどの場合、
テイクアウトだけではなく、ランチ対応のイートインメニューの開発が
必要となります。
また、新規で同業種テナントが出店する場合、事前にその店舗の商品MD、
特に価格帯を把握していく必要があります。新規テナントが同一テイストで
下の価格帯を狙っている場合は、客数減が予想されるからです。
その場合、下限商品の入れ替えを前提に、新しい問屋、メーカー商品に
挑戦する必要があります。
これらの商品リニューアルは、店舗移動や面積拡大が予定されている店舗は
積極的に行うのが普通ですが、場所も変わらずに面積も変わらないと
なかなか進まないのが実態のようです。
場所も面積も変わらない中での最善のリニューアル手法は
圧縮・付加法にあります。これは既存の商品構成、在庫をそのまま売場の
80%までに圧縮して、残った20%のスペースに新しいメーカー、
問屋商品を置く手法です。
!)既存在庫は金額を変えないこと。!)新商品は店頭近くで
訴求することの2点です。
閉店、リニューアルオープンは、スタッフモチベーションが高くお客様の
買う気も高いので、商品リニューアルがそのまま売上に直結します。
実は、この圧縮・付加法はSC全体の改装、リニューアルといったことが
なくても、1年に1回は定期的に実施することで大きな成果が期待できます。
リニューアル後は1年に1回のソフトリニューアル(商品リニューアル)で、
新しい店舗づくりに挑戦していただきたいものです。
>>SC経営のヒント128:上手な閉店セールの仕掛け方 その3
SC経営のヒント131:商業ビルの基本を知ろう3
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
2007年も残すところあとわずかになりました。
今年やり残したことは今年中に片付けて新年を迎えたいですね。
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■商業ビルの基本を知ろう 3
□人の流れは、最も人を集めるものと、その次に人を集めるものの間に生まれる
人を集めるもの=集客施設=TG(トラフィック・ジェネレーター)とも
呼びます。たとえば、大都市で最も人を集める拠点はターミナル駅です。
そして商業地の中では、中核となる百貨店がその次に集めます。ですので
渋谷も新宿も駅から百貨店の間に主要導線が形成されます。
これは、冷静に考えれば当たり前のことなのですが、あまり意識されて
いないことです。郊外型商業施設ですと、駐車場と食品売り場の間の導線が
最も強いものになります。駐車場が1箇所にかたまっているような場合は、
より顕著になります。駐車場~食品売り場の導線に乗ってこない場所は
必然的に通行数が減少します。
同じことは、ロードサイドにもいえます。ある街でロードサイドが栄える
ポイントは、地域の核となる大型SCにはさまれたエリアになります。
そういう場所がなければ、その大型店に近い場所から栄えます。
ロードサイドの場合は路面と異なり「場所の有無」が重要になりますから、
たとえばインターチェンジ近くに用地が多く出てきたためにインター付近が
ロードサイド銀座になったり、あるいは新しい道路ができるときに、
こぞってチェーン店が出店してくるのです。
SCでいえば、食品売場と店前の平面駐車場がこのTGに相当します。
このことは、立地の良否を判断する上で極めて重要なことです。エリアの
集客の核はどこか、その核の集客力はいかなるものか、そこから導線上
無理なく誘導できるか。それによって自社の出店する立地の良否が
決定されてしまうのです。
□エリアの集客力は、核の集客力で決まる
核となる大型SCの集客力がまず商圏を開拓します。そこに業種別大型専門店が
進出し、核店舗の売上を奪いつつ、シェアを高めてゆきます。核店舗と周辺の
大型店が相乗効果を生むことで、さらに商圏が拡大します。こうして、
エリアの集客力は高まります。
ですので、キーポイントはそのエリアの核となる店がどこで、それは
どれほどの集客力を持つものなのかという見極めが、エリアの集客力を
見定めるポイントになります。
ロードサイドとて、核らしい核がなく形成されているものはさほど大きな
商圏にはならず、一方で大型SCと大型専門店が林立するゾーンは商圏が
広域に広がり、特に土日の集客力が飛躍的に高まります。
□立地がいいとは、不特定多数の買い物客が店前を多く通行することである
これはロードサイドとインテナント・路面などでは状況が違うように
思われますが、いずれにしても通行量が多く人目に触れやすいところほど
いい立地といえます。
そういう一目で見て分かるような場所はすでに押さえられてしまって
いますから、その周辺で探すほかはないというのが実情ですが。
ただし、どんな店でも立地さえ良ければよいというものではありません。
「業種特性」の考慮が必要です。
業種特性でひっかかるのは、購買目的・動機上の特性と、限界賃料の2つです。
たとえば家具店は目的購買ですから、ひっきりなしに通行客が多く入店が多いと
むしろ困ります。買いに来たお客さんにだけしっかりアプローチをすることが
重要です。またリサイクルショップなど、あまりに賃料が高いと坪効率上の
限界から賃料を払いきれない業種場合は、いい立地であったとしても賃料で
あきらめることになります。
たとえば人に見られると恥ずかしいような店の場合は、立地がよければ売上が
上がるとは限りません。業種特性とは、このようにお客様の購買行動に
のっとって判断される必要があります。
□需要額と充足度
小売業はある地域で獲得される商圏の大きさと、それに対する店の充足度の
バランスで1店舗あたりの売上が決まります。たとえばSCで
一業種一店舗であれば(書籍やゲームセンター等)、SC全館の売上により
その店の売上が読めます。
また、飲食店や雑貨店などのグロスの売上が読めれば、それを何店舗で
シェアするかによって、一店舗あたりの繁盛度合いも予測可能です。
これはSCが成功するか否かではなく、入店する自社にとって有利な環境か
不利な環境かによります。
集積の魅力による集客増についてはどう考えればよいでしょうか。
たとえばフードテーマパークなどのように、特定の業種を集積させて、
話題性を高めれば、商圏が拡大し基礎的な集客力が増えます。
ですのでこういう業態の場合は商圏が拡大すれば売上が上がり、
開業とともに商圏が縮小すると売上が下がるという現象が起こります。
通常のSCでは複数の同業種が出店した場合、店の数だけシェアする相手が
増えることになりますから売上は下がります。
もっとも、デベロッパーがそのことに無知なわけではなく、全体の
規模からみたバランスを都度チャレンジしていますので、ときどき、
ある業種が多すぎる、ということが起こります。
供給過剰になると、弱い店から影響を受けやすくなります。
どれもこれも、いわれてみれば当たり前のようなことばかりですが、
原理原則ほど意識しないと見過ごしがちなものもないといえるでしょう。
SC経営のヒント130:店舗の方向性を創造する
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
12月は小売業にとって季節指数が高い月ですので、
チャンスロスを極力失くすよう、チェックをかかさずにしたいものですね。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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■店舗の方向性を創造する
年末商戦月に突入し、てんやわんやの店舗さんも多いと思いますが、
今回は店の新しい方向性を自ら作り出され拡販しているお客様の
お話をさせていただきます。
この方はもともと茨城県土浦市で飲食店(とんかつ・うどん)を
経営されている方なのですが、この冬にある商品を開発されました。
その商品とは『れんこんドレッシング』です。
http://renkon-an.ocnk.net/
今まではとんかつ屋としてとんかつを提供しているお店でしたが、経営者が
とんかつと一緒に食べるキャベツが通常のソースやドレッシングよりも
おいしく食べれるために開発しました。
地元土浦市は、れんこんの生産量が日本一でもあるので、その地元産品の
れんこんを使用して開発したものです。自らの手で創造することも地元産品を
きちんと使用されているのも素晴らしいと思います。
最も合うドレッシングを探すのではなく、自ら創造する。
それを店舗だけでなく、全国の方に食べていただきたい思いで拡販する。
まだまだ取り組みの始まりではありますが、新しい潮流をこのとんかつ屋さん
なりに創り出しました。
今までメーカーの直売進出、小売店出店という流れはありましたが、
逆の流れは多くありませんでした。
私のお手伝いしている、海外の低コスト商品の仕入れ支援のお客様にも
多いですが、最近ではインターネットショップで仕入れ品を販売されていた方が
オリジナル商品(OEM、完全オリジナル)の開発に着手する例も
増えてきています。
この店舗では、メーカー化への新しい方向へ舵を取りました。
顔が見えるお客様のニーズを反映させたオリジナル商品の開発や直売によって
粗利の確保を行っていく企業努力が求められています。
メーカーの直売進出、小売のメーカー化、どちらも決して簡単ではありませんが、
2008年以降も確実に増えてくる流れだと思います。
SC経営のヒント129:「訴えない販促」とマージンミックス
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、藤巻好仁でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回は販促についてです。
異業種の事例も参考にしていただき、お役に立てて下さい。
株式会社船井総合研究所
藤巻 好仁
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■「訴えない販促」とマージンミックス
秋季になり、セールチラシやリニューアルなど、たくさんの販促コストを
掛けて、売上拡大を目指されている企業様も多いことでしょう。
販促手法として、セールでのチラシやイベントなどお客様へ直接的に
「訴える販促」によって売上を拡大することに加え、「訴えない」販促を探し、
お取り組みすることもお勧めいたします。
訴えない販促とはお客様には直接的に伝わりはしないが、結果として
売上に貢献させるために掛けている販促です。
訴えない販促を効果的に行うにはどのようにすればよいでしょう。
船井総研のお付合い先のゴルフ場をケースを挙げます。
このゴルフ場では、昼食メニューをバイキング形式に変更することで、
前々年比約1.5倍の客数、約1.4倍の売上に貢献する昼食を作ることに
成功しました。
メニューをバイキング形式にした際のポイントは、レストラン単体では
全く利益を取らず、昼食はお客様にゴルフを楽しんでいただくための
サービスの一貫として位置付けていることです。
数多くのメニューを並べ、価格はたったの1,050円。なんと食材の原価率は
71%です。(一般的な飲食店では、食材原価30%位)
そして、さらに特徴的なことは、ゴルフを利用しないお食事のみのお客様も
満席でなければ利用可能であるということです。地元の方への認知度UPは
もちろんのこと、初めは食事だけでもいつかプレーしようと考えてもらう
きっかけを作っています。
こうした訴えない販促はより効果を得るための活動をすることが可能です。
このゴルフ場の例では、バイキングを起爆剤として、よりゴルフ場を
アピールするために、お客様のアンケートでより話題となるメニュー作りや、
バイキングの話題をプレスリリースで発信しています。
こうして食材原価を”販促費”として利用することで、ゴルフ場全体の
活性化に寄与しています。
<結果的に集客商品となり、マージンミックスに寄与>
上記の販促手法はゴルフ場全体のマージンミックスへ大きく寄与していると
考えることができます。
マージンミックスとは、粗利率が高い商品(プレー代)と、粗利率は低い商品
(バイキング)をミックスすることで、一定の粗利率、客単価を
確保することです。
今回のケースでは、プレー代という主力商品の獲得のため、食を集客商品とする
マージンミックスであるといえます。
SCの集客や商品購買動機として、様々なイベントを開催することがあるか
と思いますが、マージンミックスに注目した販促手法を確立すれば、
より効果的な粗利獲得と客単価を狙った販促が可能となります。
皆様のお店でも、是非一度、マージンミックスに注目した、目に見えない
「訴えない販促」をお取り組みしてみてはいかがでしょうか。
SC経営のヒント128:上手な閉店セールの仕掛け方 その3
編~
テナント専門店にとって閉店セールの開催時期(立ち日、期間)が
一番気になる点だと思います。閉店セールに限らず、大型催事では中心となる
ファッション関連のテナントが最も売上をあげやすい開催時期にするのが
一般的です。
しかし、決定権はテナント専門店にないので臨機応変の対応が必要となります。
例えば、閉店セールが9月のような端境期(季節の変わり目)になってしまう
場合は、夏物の在庫は少ないし、秋物はプロパーで売りたい悩みがつきません。
このような場合はどうしたら良いのでしょうか?
1、閉店セールは晩期商法で
店舗改装のための閉店セールの基本は在庫を売りつくさないことにあります。
つまり、必要な(秋物)在庫は残し、売りにつながる(夏物)在庫は再投入が
必要になるということです。
というのも、閉店セールのお客様は実需ニーズが高いため、夏物処分を全面に
訴求(最大70%引き)していくことが重要です。
できるだけ、問屋・メーカーさんに早めにお声掛けして商品協力を
いただくことが大切です。テナントは夏物の晩期商法に徹し、秋物については
在庫を絞って20%引きを上限にします。
※晩期商法
実需のピークを過ぎた商品をメーカー、問屋から上代の10~20%で
仕入れて、上代の50~70%引きで売っても利益を出す商法スタイル
2、陳列は「さばく店」づくりで
閉店セールの売場は「さばく店」づくりが基本となります。具体的には、
アイテム別やメーカー別陳列からサイズ別陳列(S、M、Lか24.0cm、25.0cm、
26.0cm)や価格帯別陳列(千円、5千円、一万円均一)にすることが大切です。
滞留時間を高め、接客主体で売る「行く店」「来る店」から、セルフで短時間で
買物を終えられる「さばく店」づくりが大切です。
また、閉店セールが1ヶ月間以上の長期になる場合、チラシ折込が入る週末は
「さばく店」づくり、平日は普段の「行く店」「来る店」に戻すといったことが
できるのが理想です。
3、売場は店頭への圧縮法で
閉店セールも終盤に近づくと、在庫がどうしても薄くなります。これは通常の
サマーセールやウインターセールでも同様ですが、ここでのポイントは店頭
(1/3)の坪当たり在庫だけは維持することです。
それには、売場の後方や中央で薄くなった在庫を店頭に圧縮することです。
主通路を歩いているお客様には期間中はいつでも、買いたい商品がある
ということが大切です。
それでも在庫が薄くなる場合は、大型POP(模造紙大)、紅白幕、のぼり
といった店頭のにぎやかさでお客様をその気にさせるようにしていきましょう。
閉店セールだから来る、閉店セールだからお客様が売れるといった時代は
ずっと前から終わっています。閉店セールで勝つためには、それなりの
成功ルールがあり、それを愚直にやり遂げることが必要なのです。
今回のご提案は閉店セールに限らず、大型の催事やセールに共通するものでも
ありますので、ぜひ参考にしていただければ嬉しいです。
また、皆様が取り組まれた結果をレスいただけることを期待しています。
次回の上手な閉店セールの仕掛け方、テナント専門店編後半もご期待ください。
>>SC経営のヒント132:上手な閉店セールの仕掛け方 その4
>>SC経営のヒント125:上手な閉店セールの仕掛け方 その2
SC経営のヒント127:商業ビルの基本を知ろう2
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、山本匡でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
前回の「基本を知ろう」が思いのほか反響が大きかったので、
しばらく続編を続けることとします。
皆様に基本を知っていただき商業施設開発の質の向上につながれば、
私としても大変嬉しく思います。
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■商業ビルの基本を知ろう2
立地と建物の基本に忠実なものは、繁栄します。そこではテナントも
デベロッパーもハッピーです。出店の成否は、商業施設が企画された時点で
すでに決定しているといっていいでしょう。
企画にもさまざまな内容がありますが、まずは施設計画をチェックして、
企画の未熟さゆえの悪影響を受けないように図面を見抜き、早い時期に
デベロッパーと交渉してよい場所に再配置を検討してもらえるよう
働きかけることも必要です。
相手が百戦錬磨の有力デベロッパーですと、あらゆることを承知の上で
計画を策定しますから選べる範囲はほとんどないですが、
そうでない場合もありますので、図面をよく見ることが大事です。
□回遊性
商業施設の回遊性とは、上下階の回遊性と平面の回遊性の二つがあります。
いうまでもなく、回遊性は限りなくよいにこしたことはありません。
回遊性が悪いと「死に場所」が生まれます。そこは後々、貸そうにも
貸せない場所として全体の採算性を悪化させることになります。
そこに入った店には、努力すれどお客様はやってきません。
回遊とは、読んで字のごとく、全体を回遊し循環するように導線が
設定されていることが大事です。
巨大なモールであればセンター通路が広いため、実質的に循環する導線が
設定できますが、細い通路の一本道では行き止まりになってしまいます。
オープンモールの回遊性がよくないのは、一軒一軒ドアをあけて入らねば
ならないことです。そういう抵抗要因を極力排除し、お客様が歩きやすく
なるようにすることが大事なのです。
上下階の回遊性は、これまた同様に上下導線が一本通っていて、
かつスムースに上下できることです。具体的には、エスカレーターが
横から見て×の形で最上階から最下層階まで通っていることです。
ときどきフロアによってエスカレーターの位置がずれたり、あるいは
×ではなく様々な方向を向いてついているビルがありますが、こういうのは
上層階への回遊性を下げているだけで、ろくなことがありません。
設計士のこだわり(おあそび)でエスカレーターのつき方の変なビルが
多数ありますが、テナントにとっていいことなど一つもありません。
後から多額の工事費をかけてエスカレーターを付け替えたビルもあるくらいです。
□お客様は、水の流れと同じく、下に溜まり、上に上がらない
以前、山の斜面を切り開いて作り上げたSCを見ました。下に位置する
場所にはお客様が流れるものの、上のゾーンは閑古鳥でした。
こういう場合は、駐車場を一番上に集中して持つことが必要と思われますが、
そういう計画になっていません。
そもそも、山の斜面を切り開いて商業施設にすること自体に無理があります。
これは立地を見るときも同じです。高台の上、坂の上、丘の上、
こういう場所に商業施設をつくることは避けるべきことです。
もちろん競合らしい競合がなく、施設としての魅力が高ければある程度は
リカバリーできるものの、そもそも論としてよろしくないです。
自転車や徒歩のお客様は来づらいです。
旅館のおみやげ物売場などでも、階段を数ステップあがったところに売店を
つくっている例がありますが、これなどもよくないです。たった数ステップを
上がるのが億劫で、ちょっと見てくれなくなるのです。
数ステップ下げるのならよいです。店を作るなら、なるべく低いところがよいです。
ビルの回遊性は、おおむね基本的な企画の骨格の段階で検討されます。
図面化された後には、計画そのものを変更することは不可能になっています。
ですので、著しく不利な場所でないかどうかのチェックと、ダメな場合の
対応策が協議可能かどうかを判断材料にすべきでしょう。
SC経営のヒント126:売場力を鍛える
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、野田陽一郎でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
在庫を置く倉庫を1.5坪×5部屋から、28坪1部屋に変えてよいものかと相談を受け
3万/月賃料が高くなるけれど、やったほうが良いですとお答えしました。その際
在庫管理をわかりやすくしていただいたことで、結果的に商品鮮度のUP、
業務効率の飛躍的向上に繋がり、仮事務所としても使えて、急な商品仕入れにも
耐えられるという一石四鳥くらいになりました。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
野田 陽一郎
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■売場力を鍛える
先日、インターネットショップを経営されているお客様と話をしていて気づいた
ことがありました。
そのショップさんでは、日用雑貨やアクセサリーをメインに販売されていて、
商品の質や鮮度にはこだわっています。ようやくオリジナル商品の販売にも手が
届きそうです。
以前中国へ一緒に商品買付けに行った際に、アクセサリのネックレスを仕入れま
した。商品自体はキャッツアイを使用した女性受けするものでしたが、その販売
方法に驚いてしまいました。
販売開始しましたと言われてホームページを見ると、そこはオークションサイト。
出品カテゴリはアクセサリーの中でも奥の奥。よほど詳しい方でないと見ない
カテゴリに出品されていました。
また、価格は100円スタート。確かに手法として100円スタートという販促手法が
ありますが、これではせっかくの商品が輝ききれません。社長としては腹を決め
て原価割れからスタートしたわけですが、それが逆手に出てしまった感がありま
した。あまりにも安いとお客様の中で不信感が勝ってしまうものです。
さらに、ページのつくりも、5色セットの商品でしたので、各色ごとに1枚づつ
綺麗な写真が掲載されていたまではいいのですが、その下には事務的に商品重量
などが掲載されていただけでした。
「もったいない!」と思いましたが、やはり結果は思わしくありませんでした。
出品カテゴリは、実店舗における立地にも通じる大切なものですし、価格も超
目玉であっても、そんなに安売り商売をしては労多くして功少なしです。そして
来店いただいたお客様に訴求する店頭(商品トップページ)でチャンスロスを
しているのです。
次回は徹底的に店頭(商品トップページ)をお金をかけずに手間隙かけて作り
こんでいただくことにしました。
せっかく良い商品を揃えても、お客様に価値が伝わらなければ購入いただけませ
ん。そのお客様との最初の接点が店頭なのです。
私が近頃感じるのはインターネットショップさんに限らず、実店舗の皆様も商品
には力を入れられています。しかしそこまでやったのに、(お客様に最も近づく
一歩なのですが)最後のあと一歩が意外と踏み込めていないということです。
店頭での売場力をもっともっと鍛えていく必要があると感じています。
そして店頭での訴求力が売上に与える影響も増えてきています。最近、
ファッション雑誌を定期購買せずに、時々買ってトレンドだけ捉えて、実際買う
ものは店舗で決めるという方が増えているそうです。これも売場力が必要とされ
る大きな流れの1つです。
しっかりとした商品力の上に、より多くの方に伝える販促力、そして価値を伝え
販売する売場力が何より求められていますので、今一度、自店の売場力を確認し、
チャンスロスしている点はないかを再確認して年末商戦に入ってください。
SC経営のヒント125:上手な閉店セールの仕掛け方 その2
ご挨拶
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こんにちは。
船井総研、丹羽英之でございます。
いつもご愛読いただき有難うございます。
今回も前回に引き続きまして、閉店セールの上手な仕掛け方について
お伝えします。
1・2回はデベロッパーの立場での上手な閉店セールの仕掛け方、
3・4回はテナント専門店の上手な閉店セールの対応についてお伝えします。
株式会社船井総合研究所
ショッピングセンターチーム
丹羽 英之
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■上手な閉店セールの仕掛け方 その2
①閉店セールは第1弾が決め手
ショッピングセンターの閉店セールは何といっても第1弾が
決め手となります。SCにはあらゆる業種・業態が揃っている
ため、閉店セールに相乗りしやすい店舗(衣料・服飾・雑貨)と、
相乗りしにくい店舗(食品、飲食、サービス)に分かれます。
基本的に相乗りしやすい店舗は第1弾から、相乗りしづらい
店舗は2弾・3弾(最終弾)の参加となります。
そうは言っても、閉店セールは第1弾がポイントとなるため、
この第1弾の参加店舗数を増やすことが成功の絶対条件と
なるのです。
つまり、飲食・サービスとった店舗は協賛という形で第1弾から
参加してもらうことが重要です。
次に、店頭での賑やかしも非常に重要な成功のポイントと
なりますので、第1弾からの参加の有無に関わらず、全店舗が
店頭・ファサードでの共通の顔出しをしていくことが必要です。
②チャンスロスのない商品・人・売場づくり
一般的に閉店セールの集客(=売上)は第1弾が最も高く、
2弾目が下がり、3弾目(最終弾)に盛り返すという傾向に
あります。
よく第1弾から最終弾に向けて売り減らしをしていくケースが
見られます。これをすると、3弾目(最終弾)に店頭に商品がなく、
客数はきているが、売上がとれなくなってしまいます。
ここでのチャンスロスをおこさせないことが必要です。
今回の閉店セールでもあったのですが、各テナントさんへの
指示で下記の3点が重要となります。
1、十分な商品在庫(各メーカー、問屋さんへの協力商品の
打診、現金問屋への即時買付、店間移動)
2、十分な人員(レジ増員と増設)
3、回遊しやすい売場づくり(アイテム別陳列からサイズ別陳列、
価格別陳列etc)
下記は‘第2弾の速報’と題して送られてきた販促担当者様から
いただいたメールです。
おかげさまで閉店セール第2弾、始まりました。
下記にて速報ご連絡させていただきます。
なお、昨対比は昨年度曜日にあわせてあります。
1.閉店セール第2弾
・9月15日~17日まで
昨対比 141.6%
15日2000万、16日2500万、17日2500万
計7000万のぼり旗を入り口にたててスタートしました。
15日はそこそこ、16日、17日はけっこう客入りしました。
第1弾スタートまではいかないものの、ファッション・
雑貨店を中心にお客様入ってました。
お店のほうもだいぶ慣れて客待ちをそれほど出さずに
販売できたようです。ただ一方で100%切るお店も。
飲食部門を中心に14店舗が負けました。
・9月1日~17日まで
昨対比 約140%
このまま維持できればと考えております。
次回は、テナント専門店の上手な閉店セールの対応をお伝えいたします。
>>SC経営のヒント128:上手な閉店セールの仕掛け方 その3
>>SC経営のヒント123:上手な閉店セールの仕掛け方 その1